知られざるBPOの素顔:身内に甘いってホント?
NHKがらみの事案に関してBPO(放送倫理・番組向上機構)が見解や委員会決定を出すと、必ずといっていいほど「NHKからの天下りだから身内には甘い」などの否定的な意見がたくさん出てくるんですが、そういう風に決めつけない方がいいと思うんですよ。
クロ現の件でお世話になったから肩を持つわけじゃないけど、BPOって実態が知られてないせいか、疑心暗鬼で悪く言われがちじゃないかと思うのね。
確かに、NHK含め各局のOBが理事会や事務局の要職を占めてはいるけれど(NHKと民放から成る任意団体だから当然ですよね)、各委員会の委員は「放送事業者の役職員を除く」有識者です。
具体的には、弁護士、作家、大学の先生など、外部の人たちが委員会を構成しています。
つまり、
・理事会と事務局=放送局のOB
・各委員会の委員=外部の有識者
というように、別々の人員を配置して役割分担しているんですね。
あと、NHK放送文化研究所が出してる「放送研究と調査」という月報があって、これなんかを見ると、BPOがどういう組織運営をしているのかってことが、何となくわかります。ちなみに2017年5月号には、「BPO 放送倫理検証委員会の10年」という記事が載ってます。
中立性や公平性をどう保つか、という点について書かれている箇所を見つけたので、以下にご紹介しますね。上の記事の第2部「BPO放送倫理検証委員会の更なる理解のために」からの引用です。
事務局には調査役という人たちがいて、年間2万件もの視聴者意見をチェックしたり、各種メディアから情報収集したりして、必要に応じて委員会に提出するのだそうです。
さて、ここからが肝心なんだけど、視聴者からの意見でNHKを批判するものがあっても、調査役にNHKの人がいたら、なかなか取り上げてもらえないのでは?という疑念が生じますよね。そういう「えこひいき」を防ぐ手だても一応はあるらしい。
NHK出身の調査役はNHKの事案を扱わないようにしている、ということです。手心を加えたと勘ぐられるのを避けるためですね。こういうことをもっとアピールすれば、BPOへの不信感が少しは和らぐのかな?
BPOって、秘密のベールに覆われているというわけでもないのに、実態があまり知られてない。発信力が足りないせいもあるんでしょうね。
業界の人たちなら詳しいかというと、そうでもなさそう。若いテレビマンはBPOの存在自体を知らない人が多いって、都市伝説みたいな話聞いたけどホントですか?
それは極端な例でしょうけど、BPOを敬遠するあまり、その本当の姿を知る機会を逸してる、という業界人はけっこう多いのかもしれない。
ましてや一般の視聴者は、BPOの何たるかなんて知りようがありません。普通の平穏な生活をしていれば、「某公共放送に捏造報道されたので、BPOに申し立てる」なんていう事態に陥ることはないですから。
時おりどこかの放送局がやらかして、BPOとかいう「お役所みたいなところ」からお叱りを受ける、という程度の認識でしょうか。あとは、けしからん内容の番組について苦情を言うと、放送局にダメ出ししてくれるところだとか、そういうイメージですよね。
BPOの立ち位置や役割とかを、みんな誤解してる気がします。放送局が悪さをしたら罰してくれるところだと思ってる。そんなん、ぜんぜん違いますって。だからBPOが何か見解を示すと、手ぬるいとか身内びいきだとか、不満の声がたくさん上がるんだよね。
次回からはそんな誤解を解くべく、BPOの真の姿に迫っていきます。
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【追記】BPOについては他にもいろいろ書いてます。地味だけど、実は社会的意義が大きいのではないかな。BPOも使いようですね。
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