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NW9問題がBPO人権委で審理入りしなかったわけ

2020年にBPO放送人権委員会の運営規則が改正され、第5条2項が加えられました。これは審理の除外要件を定めたものです。

2. 委員会は、次の各号に該当する場合には、前項にかかわらず、当該苦情を審理の対象としないことができる。
(1) 申立てに係る放送の内容、権利侵害の程度および実質的な被害回復の状況に鑑みて、審理の対象とすることが相当でないと認められる場合

放送人権委員会「 委員会運営規則」 第3章「苦情の取り扱い基準 」第5条2-(1) ※強調筆者


人権委の委員長・曽我部真裕氏は、これについて以下のようにコメントしています。

形式的には審理入りの要件を充たしていても、放送局の事後対応によっては、委員会の判断により審理入りしない場合があることを規定している

「放送界における人権委員会と今後の課題」(「BPOの20年そして放送のこれから」p149)
※強調筆者

NW9問題でNHKが人権委の審理入りを免れたのは、この条項の適用によるもの。4度の謝罪放送という「事後対応」に、審理入り阻止の狙いがあったのは明らかです。

この改正は放送局に抜け道を与え、被害者の申立てを骨抜きにしかねない。

ほとんど改悪ではないかと思う。


曽我部委員長は、放送局の自主・自律を促すものだと述べておられますが……。

自浄作用がない組織に自主・自律を求めるのは、無理がありますよね。放送局が自律的に放送倫理を守らないからトラブルに発展し、人権委への申し立てと審理要請につながるのです。「自主自律を重んじて、放送局に任せます」という人権委の姿勢には、疑問を感じずにはいられません。

審理入りの要件充たしてる事案は、おかしな例外設けずに、ちゃんと審理してほしい。これじゃあ水際作戦ですよ……

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★前回の記事はこちら👇 文末の注で第5条2項に言及してます。


⑨証言の食い違いへ続きます

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