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「アナウンサーが頭を下げて終わり」はもうやめませんか

去年の9月6日、NHKに番組内で訂正・謝罪をされたときに、私が感じたのは、「アナウンサーが頭を下げて終わりなのか……なぜ番組責任者が出てこないのか」ということでした。アナウンサーに謝られても仕方がないんですよ。ただの身代わりですからね。責任を取るべき人間は、陰に隠れて出てこない。テレビ局の不祥事あるあるです。

私の取材を担当したディレクター、その上司であるプロデューサー、番組責任者……誰ひとり「お詫び」映像には出てきませんでした。そういう発想が彼らにはないのです。かといって、完全に黒子に徹しているわけでもなく、番組の宣伝講演会イベントなど、華々しい場には積極的に出てくるんですよ。それが不祥事の謝罪となると一転してだんまりとは、呆れてしまいます。

そんな調子だから「お詫び」をされても、誠実さが感じられなかった。責任感も反省もないように見えるんです。事実、NHKは過去に何度も不祥事を起こし、BPOに勧告されてもいっこうに改める気配がありません。再発防止策が形ばかりのものであることは、私のnoteで以前に指摘した通りです

そしてついにNHKは、最大級の不祥事を起こしてしまいました。8月19日のラジオ国際放送での「不適切発言」です。

国際問題に発展しかねない深刻な事態にも関わらず、NHKはこの件についても「アナウンサーが頭を下げて終わり」にしようとしています。テレビの国際放送で英語ニュースを担当しているアナウンサーを、地上波に引っ張り出してきて、唐突に「お詫び」をさせる……。なんだか肩透かしを食った気分。ズルいよね、と思います。

本来であれば記者会見を開くレベルの不祥事ですよね。番組責任者と当該部門の長とNHK会長が出てきて、説明と謝罪をするべき。でも、テレビ局の不祥事で記者会見って、あまり聞かないです。「謝ったら死ぬ病」が重症化しているのもあるけど、映像の力をよくわかっているから、自分たちに不都合なことにはその力を使いたくないんでしょう。今回の件もNHKは放送で扱うことは極力控えて、プレスリリースで済ませようとしています。

NHK会長はじめ "おエライさん" たちは、政治家、政党へのお詫び行脚に忙しいようです。

外交上のややこしい問題が絡んでくることもあり、詳しい経緯やら何やらをまるっと公けにすることは無理かもしれないけど(注)、これで幕引きとはあまりに無責任です。少なくとも、アナウンサーに代弁させるのではなく、責任者の口から直接語ってほしい。そうでなければ、視聴者・国民は納得しないでしょう。

この報道によって直接的に被害を受けた人や団体がいないために、抗議が盛り上がりにくいのはたしかです。NHKは相手の出方によって態度を大きく変えるので、強く抗議すれば対応が変わる可能性はありそうですけどね(私の場合はそうでした)。

8月19日にこの「不適切発言」事件が発生して以降、報道各社の記事を毎日チェックしているのですが、さすがにここ最近は報道が下火になっているようで、取り上げられることが少ないです。NHKの思うつぼですね。

「刑事告訴も検討中」とありましたが、裁判となるとNHK側も不都合な事実を明らかにしなければならないし、ポーズだけで終わりそう。このままうやむやにされてしまうのでしょうか。


(注)NHK党による総務省へのヒアリングを見ると、何かしらの政治的判断が働いていることがわかります。※音量注意↓
https://youtu.be/DU1-fOv4NnA?si=p9VmniYanMxTkiGd&t=1290



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