ジェットコースター
ジェットコースター
予測不能の壮絶展開、と言ってしまうと大げさに聞こえるかもしれない。
でも体感した身からするとそうとしか表現できない時がある。
まさにレールの見えないジェットコースターに乗ったかのような、あまりにも刺激的な一日の事を綴ります。
この時の体験こそ旅をしていないと絶対しなかっただろうなとワクワクしました。
完全予約制?
「高松に行くならここははずせない」
そう教えてもらった場所がある。
それは完全予約制の古本屋「なタ書」さんだ。
予約制の古本屋さん?って思う方もいるかもしれない。
僕も最初はそう思ったのだが、その開いている時間の不規則性が希少価値となり訪店にも気持ちが入る。
アメリカなどでもそういう本屋はいくつか(いくつも?)あるそうだ。
高松旅行を計画していた僕はさっそくその古本屋さんにコンタクトを取り、予約をした。
予定のない休みが3日間あったので(基本予定はないのだが)その間に行こうと思った。
結果、旅の2日目の14時にお邪魔することになった。
当日ちゃんとたどり着けるように1日目の夜に場所を確認した。
商店街から1本入った路地にあるので、少し見つけにくい。
それがまた秘密の基地感があって気持ちがたかぶる。
そして、当日予約時間が近付きお店に向かう。
昼と夜じゃ雰囲気がまるで違うので少し迷いながらもなんとか到着。
さて、いざ入店。
細い階段を上り、2階の店舗へ。
店舗に入ると空間のいたるところに敷き詰められた本が目に飛び込む。
これこれ、これを求めていたんです。
店主のキキさん(というあだ名?)と会話をしながら店内の本をじっくりと、棚の1つ1つ、1段1段の漏れもないように確認していく。
会話の中でキキさんが高松の街歩き(街紹介みたいなもの?)をしているという話を聞いたのですが、いつ実施しているのかと持ち掛けたところ。
「あー、やってます。僕の気分ですね」
と言われたため今日はやらなさそうだなと諦めた。
本棚の作り方や見せ方が面白いので、店内を眺めているだけでも飽きず、本をじっくりみたり、店内を見渡したりとのんびり時間を過ごした。
おいしい日本酒
途中で若い女性のお客さんが入ってきた。
僕と同じようにキキさんと軽く会話をしながらその女性も本を眺めていた。
本を選び、お支払いをしようという時に児童文学について尋ねたことがきっかけとなり3人での会話が始まった。
その女性は大学4年生で、リモート授業で出席できることを口実に旅をしているようだった。素晴らしい時間の使い方。
コロナでふてくされてるだけではないのが頼もしい。
そんな流れで色々な会話をしていた時、その女子大生がキキさんに切り出した。
「この辺でおいしい日本酒飲めるところ知りませんか?」
これが決め手だった。
「日本酒か~」と言って少し考えたキキさんが「日本酒をテーマには街歩きをしたことがないからそれで行ってみようか」と急遽街歩きをすることに!
この後や次の日の予定を訊かれたため、特に予定はないと答えると女子大生が「じゃあ、街歩きした後今日泊まるゲストハウスでイベントがあるので一緒に参加しましょう!」とのお誘いが。
なんならそのゲストハウスに一緒に泊まりましょうとまで言い出し、ゲストハウスのオーナーに連絡を取って宿泊許可まで取り計らってくれた。
なんとずいぶんなコミュ力をお持ちの女子大生であることか!
実は、なにか予想外の出来事が起きた時の為に2日目の宿は取らずにいた。特になにもなければ夜帰ればいいかと思っていた。
「本泊」って?
さらに僕にとってそのゲストハウスに泊まろうと決めた大きなきっかけが別にある。
それはそのゲストハウスの宿泊の仕方である。
そのゲストハウスでは「本泊」という制度があり、宿のすぐ近くにある新本を扱っている本屋さんで自分の目にとまった本を購入し、宿に寄贈する。
宿泊費と呼べるものはなんとこの本代だけなのだ。
このような宿泊方法があるということもさることながら、当日許可を出してくれたオーナーさんの寛容さ*も、予約をしてくれた女子大生の行動力も、街歩き開催が急遽決まった事も、驚きの連続で事が進んでいった。
*注 僕が言うのもなんですが、通常はちゃんと前日までに予約した方がいいと思います。笑
陽が傾いた夕刻時、街歩きに行くためキキさんが店を閉める準備をし始めた。
念願の街歩きが始まるのかとワクワクしながら、買った本をカバンにしまい、夕方の少し冷えだした空気を感じながら出発を待った。
ほどなく店を出る準備が整い、3人で細い階段を順番に降りた。
いよいよ街歩きスタート!
つづく