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日の出海岸①

キャンプファイヤー

「日の出海岸」という名前の海岸が今住んでいる所の近くにある。
その名の通り、日の出が綺麗に見える海岸だ。

と言いたいところだが、僕はまだここで日の出を拝んだことはないのでわからないけど、おそらくそういう事だろう。

いずれにしてもいい名前だと思う。

旅先には金曜日に到着し、週が明けた月曜日に早速オーナーさんから嬉しいお誘いがあった。

「明日の夜、日の出海岸でキャンプファイヤーやるかもしれないんだけど来る?」

もちろん行きますと二つ返事。
しかし、オーナーさんも誘われた側らしく、本当にやるのかも分からないし、この辺の人が来るのは分かっているけど実際に誰が来るかもわからないとのことだった。

僕はこういうあいまいな状況や約束が嫌いじゃない。
特にこういう旅をしている間においては、何が起きるか分からないワクワク感というものが感じられて良い。

そして、翌日の夜キャンプファイヤーは無事開催された。

たき火という言い方もできるかもしれないが、今の僕にとってキャンプファイヤーの方が発音した時口が嬉しいのでキャンプファイヤーと書く。

それと、もう一つ「キャンプファイヤー」と書きたい理由がある。

多くの人が小学校や中学校の時の野外学習でキャンプファイヤーを一度は経験していると思う。

しかし、実は僕にとっては初めて。
ちょうど小学校五年生の野外学習の直前に腕を複雑骨折したのだ。

野外学習のキャンプファイヤー当日は、輪の外から体操座りをして同級生の背中の向こうで燃え盛る火をぼんやりと眺めていた。

そんな中突然雷が鳴りだした。
すると先生が雷が怖くて足がすくんでしまった男子生徒の手を引き、僕の所へ連れてきた。

「雷怖いらしいからちょっとこの子見といて」
「!?」

かくして僕の野外学習の思い出は

隣の同級生のすすり泣きを聞きながら、遠くで躍る同級生の背中越しで燃え盛る炎の傍観

という何とも味気のないものになった。

大勢で火を囲み、談笑したり、音楽に合わせて踊ったり、そういう明るい思い出があの時の野外学習にはない。

開幕

さて、キャンプファイヤー当日に話を戻そう。

当日は20時頃からやっているということだったが、オーナーさんは20時半頃にしか行けないという事だったので、僕はそれより少し遅れて行くことにした。

僕が参加者の中で知っているのはオーナーさんだけだった。
だからオーナーさんより先に行き、キャンプファイヤーしてる人たちがうっかり2組以上もあろうもんなら、僕は路頭ならぬ火頭に迷ってしまう。
それもそれで面白いかもしれないが。

宿から15分ほど歩いて日の出海岸へ向かう。

日の出海岸へ着くと、わかりやすくキャンプファイヤーをやっている人たちがいた。
この人たちであってくれと願いながら近付くとオーナーさんの姿が見えて一安心。

参加している人たちに僕の事を紹介してくれ、僕も簡単に自己紹介をした。
それぞれ名乗ってくれたり、オーナーさんが紹介してくれた。
その場にいたのは自分を含めて合計8人。

近所の人が参加すると聞いていたので、できあがったコミュニティに一人知らない人間が入って行くのは少し緊張した。

しかし、僕が参加してから少し話していると、その中の一人が言った。

「ちなみに、今日はこれどういう集まりですか?」

良かった、自分以外にもそういう人がいたのか!
と多少気が楽になった。

そして、その質問に対する答えを聞いていると、人によっては名前はよく聞くが実際に会うのは初めてだったり、前情報一切なしの初対面だったりするようだった。
なんなら全員を知っているという人はその中にいなかった。

初めて会う人達と火を囲む、初めてのキャンプファイヤー。
これは楽しくなりそうだ、と火を眺めながら持参したお酒を口に運んだ。

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メンバー紹介

ここで会った人達はもちろんみんな良い人たちで、それぞれ個性があって覚えやすかった。

普段はしたくない事だが、あえて簡略化して紹介する。
読んでいる人が少しでも覚えやすいように地元の人=(岡)、他県出身=(他)という風に分ける。
分け方間違っていたらごめんなさい。
そもそも、別にメンバー覚えなくてもいいんだけど。

・オーナーさん(他)
僕のフリアコ先のオーナーさん。
渡航国数99か国もある!カメラマンもやっている。
村上春樹が大好き。

・けん玉達人さん(岡)
昔大会でチャンピョンになったことがあるらしいが、本人は謙遜してそれを自分からは言わなかった。
それを尊重して達人と書く。けん玉居酒屋を経営している。

・Mちゃん(他)
けん玉達人さんが経営している居酒屋で働いている学生。
バイトを掛け持ちして鬼のように働いている。
居酒屋の看板娘。

・Kさん(岡)
オーナーさんとオーストラリアのアボリジニで一緒に暮らしたことがあり、キャンプファイヤーに誘った人。
ディジャリドゥ奏者。カフェ三店舗を経営。
僕が着いた時ギターを持っていた。

・Eさん(他)
年明けから青森を出て太平洋沿いに南下してきて、この当日岡山に来た人。
車中泊などしながら国内を気ままに移動している。
Kさんに誘われて参加。

・Oさん(岡)
パフェが売りのカフェを経営しながら、教壇にも立っている博識な人。
のちにKさんのギターを借りて、弾き語りをして場を盛り上げた。
なれるのならサイボーグになってみたい人。

・革命児さん(岡)
岡山に革命をもたらしたというイベント企画者。
話を聞けば、本当に革命的な事をしていて驚いた。
他の人とアルファベットが被るのでこの名前にしました。
たくさんいい音楽を教えてもらった。

そして、あとから二人追加で参加した。

・和菓子職人さん(岡)
近くの和菓子屋で働いている人。
凄くもこもこした温かそうな服を着ていたので、後日会った時に想像していた雰囲気と違って、勝手にびっくりした。一緒に朝ランニングした。

・蜂の人さん(岡)
養蜂場で働いている人。薪の追加も持ってきてくれた。
西洋ミツバチと日本ミツバチの違いを教えてくれた。
後日、蜂蜜を頂いたがとても美味しかった。

この人たちと火を囲んだ夜、目を疑うような幻想的な体験をする事になった。

つづく

読んで頂きありがとうございました。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

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