結婚式が怖かった。

七五三は、してもらったと思う、多分。

でもそこから、綺麗な服を着て、お洒落をする、ということに、縁遠かったことに気づいた。

成人式は出なかった。
自分は、綺麗な振袖を着て、祝ってもらえる資格なんかないと、どこかで思っていた。
前撮りとか、衣装選びとか、遠い世界の話に思えた。誰も私に、やりなよなんて言ってくれなかった。

専門学校の卒業式は、何も考えずにスーツで出たけど、クラスの子達がみんな着物を着ていて、びっくりした。

そうか、そういう日だったのかと、みんなの綺麗な袖を見ながらぼんやり思った。
上京して一人暮らしで、働きながら学校に通っていたから、そんな余裕もなかった。

昨年の11月に入籍して、名前が変わった。
私の母や、旦那の両親や、旦那になった人も、熱心に何度も、結婚式の話をしてくれた。

私は、呼びたくない人がいるから…と、曖昧にしていた。正直やりたくなかった。
お金はたくさんかかるし、みんなに都合をつけてもらうのも申し訳ない、と思って。

妊娠がわかって、体調が悪いのを言い訳に、何度もブライダルフェアに誘ってくれた旦那のことも考えてなかった。


そのうち、父が亡くなった。
母と離婚して、孤独死だった。

私は出血が続いて絶対安静を言い訳に、葬儀には出なかった。


そして、ふと気づいた。

わたしに、お金をかけたくない、と言っていた人は、もういないんだな…って。

今わたしの近くにいてくれる人たちは、みんな、写真だけでも残したらいいよ、って熱心に言ってくれていることに。

わたし、綺麗な服を着て、写真撮ってもいいのかな…

いつか、結婚式、とかしても。

もう誰にも、怒られないんじゃないかな…?

式を挙げる時は絶対に飛んでくるから、って言ってくれた旦那の友達にも、結婚式するよ、って報告できるのかな。

なかなか会えなくなったお友達と、絶対に会いたがっている旦那にも、

式やろうよ、って、言えるかな…

いきなりは少し、恥ずかしいけれど。


私にもできるかな、自分を労わることが。おめでとうって、言ってあげることが。

初めて、できるかな…

わからない。

わからないけれど、今まで何度も誘ってくれてたのにごめんねって、今とても旦那に謝りたい。
大事にするのが下手でごめんねって、涙が溢れて止まらない。

#毒親育ち
#結婚式が怖かった

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カナ
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