七色いんこ【2013年7月13日】
まあ先週まではブラックジャックが話題でしたが・・・
Facebookの思い出で出てきました。
チャンピオンコミックス版の七色いんこを買っている。実はこれ買う前に(もちろんこれは古本で買っている)ハードカバーの愛蔵版七色いんこは既に持っていて、でもこうやって「シバリ(古本屋でバイトしていた時はそう呼ばれていたまとめ売りのやつ)」で見かけてすぐに買ってしまいました。
しかしこのチャンピオンコミックス、すごいんです
チラッと見えますが、表紙は舞台の写真にいんこの絵が重なっているというデザインになっておりまして
1巻/サンシャイン劇場
2巻/サンプラザホール
3巻/岩波ホール
4巻/明治座
5巻/紀伊国屋ホール
6巻/東京厚生年金会館ホール
7巻/俳優座劇場
とのこと。
こういうデザインにしようっていうのは誰が言い出したのか、ちゃんと劇場も協力しているわけだし。やはり手塚治虫だよなあきっと。って思ってしまいます。
また加えてすごいのは
なんと全話にエピソードの下敷きとなった演劇の解説がしてあるんです。
少年誌のコミックでこんなことやっていたなんて!って思います。手塚治虫の伝記的なものを見るといつも5・6人の編集さんがイライラと待ってる絵が出てくるんだけれども、コミックにするときにこれだけ演劇に情熱をかけて編集していた編集者の方がいたのかと少々感動します。
「演劇面白いんだからもっとみんなに知って欲しい」そういう想いが溢れ出ている、そうして編集者さんもそれをより大切にしている、「ドカベン」とか「らんぽう」とか「月とスッポン」「750ライダー」の読者にですけど(マカロニほうれん荘は終わっていた)
さて豪華版との比較なんですが
残念ながらハードカバーの豪華版にはこの「演劇解説」は載ってないです。
みてわかる通り「演出/千田是也 ハムレット/仲代達也」「演出/浅利慶太 ハムレット/平幹二朗」と、実際の演劇場面を使っているから今では許可とか大変だろうし無くなった劇場もあるからでしょうね。しかし全てにルビがふってある丁寧さ、ほんと感心しますよね。
ただ、全編みてみると、豪華版には載っているけどチャンピオンコミックスには載ってないエピソードもあって、あれ?おかしいなあと思いました。
今では許されない差別的な表現なども豪華版には普通に載ってますし。(そういえば「ブラックジャック」の4巻の「植物人間」はクレームがあって後々差し替えられたんですよね、脳死のお母さんと息子の脳を電線で繋ぐやつ。)
で、不思議だったのでネットで調べてみたら、
「手塚治虫は自身が気に入らなかったもの、完成度の低いものはコミックに載せなかった」という記載を見つけました。
だから没後の豪華版にはチャンピオンコミックスに載ってなかったものも載っていたということになります。
しかし、チャペックの「R.U.R」、確かに一話完結の物語の中ではオチがちょっときついけど、手塚はなんでそんなに気に入らなかったのかなあ。って思ったりするのです。