短編小説『あなたはどっちだと思いますか』
祇園祭は後祭のほうがしっとりとした風情があって実は好きなんですって書いてる人がいて。まあ、いわゆるインフルエンサー的な人。いや、たいして影響力なんか無いんやけど、インフルエンサーぶってる人。自称インフルエンサー的な。京都のこと、詳しいんどす〜っていう感じ出してくる人。まあ、それなりに詳しいんやろうけど、正直「だから何？」レベルのことしか書いてない人。そういう人が、祇園祭は後祭のほうがーって書いてたりするんやけど。
祇園祭って前祭（さきまつり）と後祭（あとまつり）があって、ニュースなんかで「何十万人の人出」とか報じられてるのが前祭。確かに人出は前祭のほうがアホみたいにすごくて、それに比べると後祭って人も少ないし、歩行者天国にもならないし、露店もあんまり出ないし、祭りとしては物足りないけど、その分ゆったり楽しめるというのはある。でも、その人の投稿を遡ってみたら、前祭もめちゃくちゃ満喫してて「最＆高」とか書いてたりするんやけど、実は後祭のほうが好きって書いてるのを読んだあと、その前祭の「最＆高」な投稿を見てみると、なんともいえない味わい深さがあるんですよね。
前祭宵山はものすごい人。これぞ京都の夏の平常運転！やっぱりこうでないと夏が始まらない！最＆高！
１時間並んで長刀鉾の粽ゲット。これだけは祇園祭の決まり事やからね。夜は鱧の落としをいただいてミッション完遂。
ぶんぶん辻回し！今年も見れた祇園祭最＆高🎵
と、まあ、こんなのを、他にもいろいろ投稿しており、前祭を全身全霊で楽しんでいる人が一週間後には、その前祭より後祭のが好きやねんって書いてるこの節操の無さたるや。この人なんでもありなんだなー、このくらいなりふりかまっていられない人じゃないと自称インフルエンサーにはなれないのか、そんな人だから自称インフルエンサーにしかなれないのか、あなたはどっちだと思いますか。