1人目の客になれた話 新町四条編
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。昨日はずいぶん呑みました。「呑」という字は便利ですね。何をのんだのか、その一文字でわかりますもの。昼前までくらい寝ていたかったのですが、今日は10時にオープンするお店があるのを知っていました。知らなければいざ知らず、知っているのに眠いから行くのを止めるなどということをやってはいけません。自分に厳しくあるべきところは厳しくなければいけません。
四条烏丸から歩いて10分もかかりませんかね。新町四条を北へ上がったところに、どら焼き屋さんがオープンします。9時30分過ぎに四条烏丸を出発、歩いて現地へ向かっていますと、途中、四条室町の中華そば「萬福」の隣、少し前までフルーツ大福の店やったところが、本日11時、海鮮のお店になるらしい!これは久しぶりに「1人目の客はしご」しなければならないではないか、と思いながら、新町四条上るのどら焼き屋さんに到着したのが9時35分頃。思ったより近かったのか、思ったより私の脚が速かったのか。年を重ねてから、あんまり脚が速いと、すぐに腐りそうで嫌なんですよね。
誰も並んでいないから、無事1人目の客になれそうだな、と思い、お店の前でオープンを待ちます。外からはスタッフの皆さんがオープン前の準備をされているのが見えます。ここで、ちょっとした問題が発生しました。私は、入口で待機しているのですが、この入口は、どら焼き屋さんの入口であり、且つ、隣の印章を扱うお店の入口でもあるため、入口で待機している私の横から、印章を扱うお店の社員とみられる方たちが次々、中へ入っていかれるのです。これは困りました。私は部外者ですから、中に入って待つことはできません。しかし、印章を扱うお店の人たちは既に中に入っていますので、私を一歩リードしているといえます。果たして、このまま、ここで並んだままで私は1人目の客になれるのでしょうか。あ、さっき入ったおっさん、どら焼き屋さんのスペースに入っていきよった!物色してるやん!買い物するつもりやん!
これはまずい。しかし、私にはなすすべがない。このまま、オープンを待つしかない。外から中が見えているように、中からも外が見えているはずです。25分も前から待機している人のことをあの人たちもきっとわかってくれているはず。1人目の客として、私を、私を受け入れてくれるはずだ。5分前、女性二人組が私の後ろで立ち止まり、「どら焼きのお店?へぇ、今日オープンじゃん、気になる〜」と言って消えました。君がどこの生まれか、気になるじゃん。
中を見てみたら、印章を扱うお店のおっさんだと思っていたおっさんが、まだいる。どうやら、この人はどら焼き屋さんの人らしい。もしくは、印章を扱うお店がどら焼き屋さんをはじめるのかもしれない。その辺のことは、私は興味がありません。1人目の客になれればそれで構わないのです。私が到着した頃にはすでに店頭には開店を祝う花がたくさん飾られていましたが、オープン1分前にさらに1基届きました。お店の方が中から出てきて応対されたあと、「そのTシャツは・・・」と話かけてこられたので「お気づきでしたか、実は私、オープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしておりまして、これも自分で作ったんです」と話したら、大変驚かれ、私は実に気持ちがよかった。
無事、1人目の客として入店できた私は、しかし、何を買うか、悩みました。どら焼き屋で何を悩む必要があろう、どら焼きを買えばいいではないか、あほか。その通りなのですが、このどら焼き屋さんは、ドラえもんが大好きな、あの一般的などら焼き以外にも、あずきが上等なやつや、栗入り、あんバター、どら焼きの掛け布団と敷布団に挟まりきらないくらいのモンブランだったり、期間限定のわらび餅入りがあったり、それはもはやどら焼きと呼んでよいのかというものも豊富に揃えられており、お財布事情とも相談し、悩みに悩んで、ドラえもんが大好きな、あの一般的などら焼きと、期間限定のわらび餅入りのを買いました。
レジで精算していると、さきほどのお店の方が他のお店の方たちに「あのお客様は1人目の客になるのを趣味にされていて、あのTシャツは・・・」と説明されていて、私は舞い上がってしまい、勢いで写真を撮ってくださいと頼んでみたら、快く引き受けてくださり、お店の皆さんと一緒に撮影いたしました。
6月17日・金曜日、午前10時、新町四条上るにオープンしたどら焼きのお店「くろーばー結び新町四条店」の1人目の客は私です。
いったん四条烏丸へ帰る途中、10時5分頃に室町四条のまぐろのお店を確認したら誰も並んでいなかったのですが、10時20分頃に戻ってみたら、すでに15人くらい並んでおりました。帰りに並んでおけばよかったです。暇な大人ばかりで困りますね。