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1人目の客になれなかった話 オープニングセレモニー編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。学生の頃から親しんでいた北大路ビブレがイオンモール北大路に変わり、グランドオープンします。ホームページも昨晩まで「北大路ビブレ」だったのが今朝は「イオンモール北大路」に変わっていました。一抹の寂しさはありますが、やがて、感傷はなくなっていくのでしょう。

 さて。ご想像の通り、私は今日、イオンモール北大路の1人目の客になるつもりなのですが、果たして、あのような施設は何をもって1人目の客とするのか、わかりません。まず、何箇所にも入口があるので、仮に北大路駅前の入口から入ったとして、他の入口からは既に誰かが入っているかもしれません。「イオンモール北大路」に変わってしまったホームページを見てみると、9時20分から、センタープラザでオープニングセレモニーがあるらしい。私はセンタープラザの場所を検索してみました。施設中央にありました。施設内の店舗は、だいたい午前10時オープンです。施設自体がいったい何時に開くのか、わかりませんが、とにかく、私は、このセンタープラザで開かれるオープニングセレモニーの1人目の客になろうと思いました。

 午前8時30分頃、地下鉄北大路駅に到着し、北大路通り沿いに繋がる長めの階段をあがります。地上に繋がる階段は、歩きながら見上げると、外の風景が次第に大きく広がっていきます。学生の頃から幾度となく眺めた景色ですが、あの頃と今とでは、いろんなものが変わってしまいました。ビブレがイオンモールに変わってグランドオープンすることを伝える幟が見えます。爽やかな空色に虹がかかる幟です。実際の空より、空色をしているのが、ややあざとい。あざといの使い方、合ってますかね。

 地上に出ると目の前が北大路通り、振り向けば、奥のほうにイオンモール北大路への入口があります。もう開いています。百貨店のオープンのように入口の扉前に行列ができているということがありません。あまりにも日常です。気に留めなければ、嵐のラストコンサートでも、いつのまにか終わっているんだから、そんなものなのでしょう。

 いつも通りで名前だけ「イオンモール北大路」に変わってしまった施設の中へ入ると、入口付近のイタリアンのお店は、もう客が入っています。7時から営業していたらしい。センタープラザへと向かいます。施設の中央にあります。知ってます。センタープラザは、まだ、シャッターが閉まっており、そのシャッターの前には、もう5人、並んでおりました。9時20分から始まるオープニングセレモニーのために、もう5人、並んでおりました。私は、よくわかりませんでした。オープニングセレモニーのために開始前に並ぶなんてことが、あるとは思っていなかったのです。1人目の客になることを趣味にしていない限り、そんなことをする人はいないだろうと思っていたのです。1人目は茶色いTシャツを着た若者です。シャッターが開いたセンタープラザの写真を撮っています。どうせ、インスタグラムにあげるんやろ!テックトックか!「イオンモール北大路のオープニングセレモニー、予期せず1人目やったんだがwww」とか書いてるんやろ!いや、もしかすると、彼も私と同じ、1人目の客になることを趣味にしているのかもしれません。

 私は悔しさのあまり、普段はカーデガンで少し隠している「1人目の客Tシャツ」を前面に押し出してやった。カーデガンをカバンにしまい、Tシャツ1枚になった。1人目の彼は、しかし、6人目の私のことなど見向きもしない。客を案内する女性スタッフのうちの1人だけが、私の顔とTシャツの「1人目の客」の文字を交互に見比べていました。

 6月24日(金)にグランドオープンしたイオンモール北大路のオープニングセレモニーの1人目の客は私ではありません。

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オープニングセレモニーに並ぶ人が私以外にも、、、

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