1人目の客になれた話 三条京阪編その2
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。
今朝7時にオープンしたヨーグルト専門店「Gurt Base」の隣に焼肉屋さんがオープンすることも知っていた私は、しかし、夜は家に居ないといけないし、と逡巡していたのですが、よくよくチェックしてみたところ、なんと焼肉屋さんなのにお昼から営業していることを知りました。それなら行けるやないかい。
土曜日の朝はテンション高めのおっちゃんの面白いラジオ番組を聴きながら仕事をするのが日課です。昭和から平成にかけての心くすぐるヒットソングがかかりがちなので大好き。今日もサザンのロックンロール・スーパーマンがかかりました。そんなラジオを聴きながらする仕事は捗りそうで捗りません。聴き入ってしまうんです。ながらのラジオにはあまり向かない面白いおっちゃんのラジオ。
そうは言っても仕事は仕事。今日やるべきことはきっちりやってから趣味には走りたい。
幸い、朝7時オープンのヨーグルト専門店の1人目の客になったため、いつもより早く職場には辿り着けておりましたため、ロックンロール・スーパーマンに仕事の手を止められながらも人の少ない職場でちゃっちゃかちゃっちゃか仕事を進める。
朝は自転車で現地まで行ったのですが、職場のある四条烏丸からは徒歩で行きます。
三条京阪まで歩いたら何分くらいかかるのかしら。ちょうど職場に川端通り御池のあたりに住んでおられる方がいたので聞いてみたら「30分くらいちゃう?」ということやったので、逆算してみる。
11時30分オープンの40分前に着けばおそらく1人目の客になれるから10時50分が目標で、そこまで30分かかるから10時20分には出発しなければなりません。意外にすぐです。それでも仕事に手抜きするわけにはいきません。仕事に趣味にいつも全力投球。思えば宮本浩次ばりに力の入った人生を送っている。
10時前、四条烏丸にえげつない雨が降り出しました。えげつないというのは量のことです。質のことではありません。赤色の雨とか、めちゃくちゃ臭い雨とか、そういう「えげつない雨」ではありません。バケツをひっくり返したみたいな雨。四条烏丸でこの大雨ということは、十中八九、京阪三条までの経路はずっと雨です。私がASKAならはじまりから終わりまでずっと雨と歌います。語呂とか符割りとかは無視してやります。
10時を過ぎた頃にはやんだので、20分頃、満を辞して四条烏丸を出発。雨は降っていません。かつて雨男の名を欲しいままにした私ですが、今日は雨のコントロールが悪いらしい。
仮に雨が降っていたとしても、四条烏丸からなら河原町三条まではアーケードや地下を通れば雨に濡れずに行くことはできます。
河原町三条。
大雨。
ここに来て雨が私に照準を合わせてきやがった。何か印象深い出来事があるとき、いつも雨が降っている気がする。私が桑田佳祐でも、思い出はいつの日も雨と歌うでしょう。
傘を打つ雨音が天ぷらのぱちぱちする音に似ています。河原町三条から三条京阪なんぞは猛ダッシュすれば息継ぎなしでいける距離ですが、そんな短距離でさえ、傘がなければずぶ濡れになっていたことでしょう。
10時50分。
多少雨に濡れながらもも無事到着。
誰もいない。
しかし、このまま傘を差しながら40分も待っていたらお店の人たちも気を遣うのではないかしら。というわけで、私はいったん、朝も利用した公衆トイレで用を足してから戻ってくることにしました。
戻ってきたときに誰か並んでいたらそれはそれで面白いではないか。
戻ってきても誰も並んではいません。
あと30分。
結局、お店の人に気を遣わせることにはなってしまいますが、だって私は1人目の客になるためにここまで来たんですから仕方ないじゃありませんか。
入口の扉をせっせとお掃除しているスタッフの方はしかし、私のことがまるで見えていないかのように作業に勤しんでおられます。どうやら気を遣わせることはないようですが、おそらく怖いんだと思う。大雨のなか、1人目の客Tシャツを着たおっさんが傘を差して店の前で立ち尽くしているのです。せめて、怪しいものではありませんくらい言えばよかったかもしれない。
こういうときのために名刺が必要ですね。
11時30分。
朝もおられた男性スタッフの方が「お待たせしました!」と出迎えてくれ、表で写真も撮ってくださいました。気持ちいい。
令和6年10月19日午前11時、三条京阪にオープンした「焼肉スタミナ山」の1人目の客は私です。
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