the flow of migration〜ふらふらしてる人たち〜
令和3年4月6日の日記
趣味で英語の勉強をしているんです、というとどういうわけか、「ものすごく英語ができる人」と思われてしまうのですが、まったく英語はできません。小学5年生の長男と一緒に少し背伸びしてNHKラジオの「中学生の基礎英語2」を聴きながら二人して「わからん、わからん」言っております。京都精華大学のサコ学長が著書で書いていましたが、日本人は「趣味にしている」ものに対してプロフェッショナルを求めすぎると思います。(←確かこんなことを書いていたと思う。)
そんで、私は「中学生の基礎英語2」とは別に、読売新聞に週1回掲載される『えいご工房』の英文だけ読んで、自分なりに訳してみる!ということを今日まさに始めたのですが、(始めたと書くことで継続を示唆していますが、今日だけで終わるかもしれません)今回チャレンジしたのがコチラ。
President Joe Biden on Wednesday named Vice President Kamara Harris to lead U.S. efforts with Mexico and Central America's Northern Triangle countries to try to stem the flow of migration to the United States.
これをわからない単語はGoogleで調べたりしながら、自分なりに訳してみたのがコチラ。
「水曜日、バイデンはハリスに命じました。何を命じたのかといいますと、メキシコとか北米三角地帯のふらふらしてる人たちを、アメリカに移住させるように促しなさいと命じましたのです。」
続いて新聞に掲載されていた和訳はコチラ。
「バイデン大統領は3月24日、メキシコや中米の北部三角地帯諸国と協力して米国への移民流入に歯止めをかけようとする取り組みの責任者に、ハリス副大統領を任命した。」
語彙力はとりあえず置いておきましょう。情けなくなるから。いろいろとツッコミどころはありますが、いちばん問題なのは本来「移民流入に歯止めをかけよう」としているのに私の和訳は「アメリカに移住させるよう促して」いることです。真逆です。こんなやつが首相付きの翻訳とかしていなくてよかったと思いますね。
どうしてこんなことが起こったのか、といいますと、もちろん私がアホであることが根本的原因なのですが、訳が逆になった直接的原因は「stem」にあります。「stem」は「幹」とか「根幹」とか、そんな意味があるらしいので、私は「the flow of migration」(ふらふらしてる人たち)←この訳し方もどうなん?と思いますが、とにかくこの人たちが「stem」するように促した・・「stem」は「幹」だから「根無草のような人々が根をはって暮らす」ように促したのかと思ったのです。
しかし、もう少しちゃんと調べてみると、「stem」には「食い止める」「堰き止める」というような意味があるらしい。だから「歯止めをかける」になるわけですね。幹のようなものをぶっ刺して通行止めにするっていうイメージでしょうかね。
今回の和訳が正反対になってしまったことについては、もっと普段からアメリカのことを勉強しておけば、防げた部分もあったかと思います。なんとなくバイデンが移民流入を食い止めようとしているというニュースを知っているだけでも、少なくとも正反対の訳し方をすることは避けられたかと思います。つまり、英語の勉強は英語だけ勉強しておけばいいわけではないということです。
一つ賢くなったのは喜ばしいことなのですが、しかし、いっぽうで私は「stem」を「移民がその土地に根を張る」という意味に捉えてしまっていた頃の自分が少し懐かしかったりもします。もうそんな勘違いはしようがないんですから。なんにも知らなかった頃のほうが無限に可能性を伸ばすことができていたわけで、ただ、その可能性は世の中にも私にも必要ないものだから、無くしていっていいわけなんですけど、あったらあったで面白いし、愛らしいし、残しておいてもよかったかなーっていう、名残惜しい気持ちもあったりするのです。
語学の勉強を続けていれば、この類の喜びをどんどん手にしては捨てていく、ということを繰り返せるわけでして、それがたぶん、私に英語ほか外国語を勉強させるモチベーションになっているんじゃないのかな、と思った次第でございます。だから、英語の勉強を趣味にしているからといって、英語ができるのかといえば、決してそうではないんです。
わかるかなー、
わっかんねーだろなー。