見出し画像

7月28日の新聞1面のコラムたち

 涌井慎です。趣味は新聞1面のコラムを読むことです。知ってる時事問題を扱っていることもあれば、コラムを読んで「そんなことがあったのか」と知ることもあります。なんにせよ、読み物として実にありがたい存在です。タイトルに「7月28日の新聞1面のコラムたち」って書いているので日付はもう本文では書かないことにします。

 読売新聞『編集手帳』は「ブックマッチ」の話題でした。ブックマッチって何?プロレスラーが2対2で闘うやつ?リュックサックとかナップサックとかバックパックの仲間?TikTokみたいなやつ?お弁当?建設工事の作業服?いいえ、ケフィアです。違う違う、そうじゃない。二つ折りのマッチの通称です。なんでも、国内で唯一、二つ折りマッチを供給していた兵庫の企業が近く製造を終えるんだそうです。我が身を振り返ってみれば、確かに近頃、マッチを見なくなりました。タバコを吸うときにマッチを擦れば、独特の焦げた匂いのおかげでタバコがうまく思えたりしましたし、喫茶店やホテル、居酒屋なんかにはお店のロゴの入ったマッチがギンギラギンではなくとも、さりげなく置いてあるところ、昔は結構ありましたけどね。今はどうなんでしょうか。一昔前は「このマッチ棒を3本動かして数式を成り立たせなさい」とかいう意地悪なクイズも流行りましたが、今の子供たち、ひょっとするとマッチのこと知らないんじゃないかしら。Z世代は「マッチ売りの少女」と言われてもピンと来ない世代なのかもしれません。なんか寂しい。

 無くなってほしくないものは無くなっていくのに、どうして無くなってほしいものは、こうものさばるものなのでしょう。京都新聞『凡語』はミャンマーの現状を憂う内容でした。民政移管を主導したアウンサンスーチーちゃん率いる政権を転覆させた国軍は、抗議する市民を激しく弾圧しました。さらに今週、スーチーちゃんの側近の元議員ら民主活動家の死刑執行が明らかになっています。軟禁されていたスーチーちゃんは刑務所に収監されました。自由や平穏な暮らしを願う人たちの思いが封じ込められているのはウクライナだけではないのです。

 ミャンマーとは別の国の死刑について書いていたのが日経新聞『春秋』です。彼の国では7人を殺害、10人に重軽傷を負わせた死刑囚の死刑が執行されました。死刑囚はかつて法廷で動機について「ネットでの嫌がらせをやめさせたかった」と語っていたそうです。現実社会で孤立して、ネットの世界に居場所を求めたにもかかわらず、ネットで嫌がらせに遭ってしまった。身勝手な言い分ではありますが、彼をそこへ追い詰めてしまったものの問題について、社会が向き合っていかねば今後も同様の事件は起こり続けるでしょう。それを抑止する力は死刑にはなさそうです。

 朝日新聞『天声人語』も読売新聞『編集手帳』のマッチの話同様、「そんなことがあったのか」という内容でした。通信網や家々を守るため、雷を人為的に誘導する実験が始まったそうです。NTT宇宙環境エネルギー研究所では、雷雲が近づいたらドローンを飛ばして、電線を垂らして雷を海へ落とす、という世界初の誘雷実験を行っているんだとか。実験場所は冬場の雷の多さから「雷銀座」と呼ばれる石川県内灘町。今年2月末には、雷雲とドローンの間の放電は捕捉できなかったものの、ドローンから垂らした電線の先端と海面との間で大電流を観測できたということです。いまいち、どういうことなのか、わからないまま書いています。それがどういうことなのか、わからないから知りたくなる。興味がなければ知りたくもなりません。「わからない」と「興味ない」には雲泥の差があります。私調べでは、自分のセンスに自信がある人ほど自分の知らない、わからない物事に対して「わからない」ではなく「興味ない」と言います。別にええけど、それ、わざわざ口に出して言う必要ある???

 さて。雷が多ければ「雷銀座」ですが、電気を通すと書く場所は、どうやら「不正銀座」「癒着銀座」「中抜き銀座」金絡みのありとあらゆる醜いものの集積する銀座らしいです。銀座銀座〜銀座銀座銀座〜♪本当にドブネズミみたいに汚い銀座。写真には写らない醜さがあります。産経新聞『産経抄』は、あの電気を通すと書く会社の元専務であった東京オリンピック・パラリンピック運営組織委員会元理事をめぐる疑惑について書いていました。あなたの手に入れた金メダルの金は「かね」と読むんですね。
疑惑が真実なのだとしたら、三国志の序盤に張飛に打擲された賄賂大好きの督郵ちゃんみたいに「太ぇ奴」です。誰か、雷を落としてやってください。電気を通す前に筋を通しなさい。

 毎日新聞『余録』もそんな元理事の話題でした。商業化が始まった1984年ロサンゼルスオリンピック以来、電気を通すと書く会社のスポーツ事業を成功させた立役者とされているそうです。2002年のワールドカップ日韓大会招致にも関わり、05年にはドイツ誌の「世界のスポーツ界に影響力のある100人」にも選ばれています。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会でも理事をされていたわけですから、こんなに地位も権力もお持ちの方に対して、周りは何も直言はできないでしょう、残念ながら。強権的になるのもやむを得ないでしょう。いま、ごくごく小さな企業でさえ、トップに立つ人が、濃厚接触の疑いのある者に対するPCR検査の強制など、本来ならば人権の侵害にすらあたることを平気でやってのけてしまう世の中ですから、元理事が自分の思惑通りに事を運ぼうとすることくらい、あれだけの力を持っているのですから、そりゃあ、やってしまうでしょうね。抑止力が無ければ人は、不正に手を染めることや人権の侵害程度のことは、軽くやってのけてしまうものです。無くなってほしくないものは無くなっていくのに、どうして無くなってほしいものは、こうものさばるものなのでしょう。

#令和4年7月28日  #コラム #エッセイ #新聞
#新聞コラム  #note日記 #日記 #随筆
#読売新聞  #京都新聞 #朝日新聞 #産経新聞
#毎日新聞  #日経新聞 #涌井慎 #ジャミロワクイ
#ジャミロ涌井

いいなと思ったら応援しよう!