よくある発想
自民党総裁選の9人の候補者のうち誰が選ばれるのか、消去法で考えてみたら全員消えて「そして誰もいなくなった」というオチをいろんなところで見かける。人の考えることなんぞ結局似たり寄ったりなのである。
以前、アメリカのペロシが来日した際に私はツイッターに「そんなペロシに騙されて」とつぶやいたのだが、その後「そんなペロシに騙されて」で検索してみたらアホほど同じツイートが出てきた。
面白いか面白くないかというのは発想だけで決まるものではない。むしろ発想なんぞは誰しもそこまで差異はないものなのだ。
以前、私は「ザ☆マジシャンズ」という本当に売れる気があるのか?と疑われても仕方ない名前のバンドで歌っており、作詞作曲なんぞも手掛けていたことがあるのだが、当時「雨の烏丸」という曲を作ってしばらくしてからWEEZERというバンドがアイランドインザサンという曲をリリースした。その曲のコード進行が「雨の烏丸」にすごく似ていて「こっちのが早かったのに」などと言っていたのだが、気持ちのいいコード進行なんてものはだいたい決まっており、似ているコード進行の曲なんて世の中に溢れかえっている。グローバーワシントンジュニアの「Just a two of us」で使われているコード進行はそのタイトルのまま、「Just a two of us進行」と呼ばれ、いまではこの進行を使った椎名林檎の曲のタイトルで「丸の内サディスティック進行」と呼ばれることもある。
WEEZERが「雨の烏丸進行」の曲を作ることくらい、よくある話なのである。
音楽に限らず「これ、俺の完全オリジナル」と言い張るのはむしろ滑稽である。何かしら外から吸収したものに影響を受けて私たちは生きている。その外部からの影響をなかったことにして完全オリジナルを主張するのは他者への敬意の欠片もない愚行であると考える。
これからもあらゆるものから影響を受け、取捨選択しながら一つの作品を作り上げていく。
私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?