谷脇がコーテツ
令和3年3月9日
「武田良太総務大臣は昨日、放送関連会社「東北新社」やNTTの澤田純社長ら利害関係者から繰り返し高額な接待を受けていたとして、事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官を昨日付で官房付に異動させたと発表しました。事実上の更迭とみられます。」
私はラジオが好きだ。生業にしているからでもあるが、それ以上に思いもよらない空想の世界に連れていってくれるところが好きなのだ。「谷脇がコーテツ」と聞こえたらドラゴンクエストで育った私は鋼鉄の兜をかぶった谷脇氏を思い浮かべてしまう。(ドラクエの鋼鉄の兜の読み方はハガネだけれど)鋼鉄の兜って買うのにお金も時間もかかるから、買える頃には経験値もだいぶ稼げてるからけっこうレベルアップしてるのに、しょうもない接待なんかでこれまでの経験値が無くなってしまうなんてバカなことをしたもんだねーと、自分のなかですっかり鋼鉄と更迭の掛詞を作り上げてしまう。いま、Yahoo!で調べてみたところ、英語にすると鋼鉄はsteelで更迭はchangeらしい。更迭がchangeになっちゃうのか。これこそ、更迭の被ってる鋼鉄の兜を剥ぎ取ってマッパになった感じがする。ビリージョエルのMovin'outってめちゃくちゃカッコいいけど、あれ、引っ越しするって歌ってるだけやでと聞かされたときのことを思い出した。引っ越しがMovin'out!なんだから更迭はchangeだよなーってどういう納得なんだろうか。steelはスチールだから、こっちは盗むほうのstealを連想してしまうから、確かに更迭をchangeにしてしまう感覚からすると接待なんてのもstealに違いないかもなんて思ったりもする。「谷脇がコーテツ」だけでこんなに自由に遊べてしまうのがラジオの魅力だといくら主張したところで誰も共感はしてくれないんだろうね。
朝のニュースをラジオで聴いて、これだけ遊べたら、もうその日は十分。寝るまでに何かしら起こったとてプラマイゼロに戻るくらいのものだ。番組終わりのDJさんと話をした。
「昨日は国際女性デーやったから、性差別を無くそうっていう運動があって、そのこと自体はとてもいいことやと思うんやけども、SNSを見ていたら、そういう女性の皆さんも割と過激な言葉をつかってるもんやから、せっかく志の高い行動のはずやのに、じゃっかんトゥーマッチな感じがしてしまいましたわ」とおっしゃり、ああ、確かにそういうところがあるなーと私自身も反省をした。世にも有名なエコーチェンバー現象というやつだ。
そんな話をしていたところ、これも巡り合わせなのだろうか。某新聞のコラムに「空気」に関することが書いてあったので少し引用する。『場の雰囲気から状況を察してふさわしい行動を取る。私たちは空気に敏感だ。共感、思いやり、足並みをそろえる。社会生活では必要な要素と言える。ただ近頃は同調や承認を他者に求め過ぎではないか。過度な期待は圧力になる。顔が見えない会員制交流サイト(SNS)でもトラブルを生むことがある』
SNSは思考(思想?)が尖り鋭くなり過ぎる。キツくてわかりやすい言葉が一人歩きして収拾がつかなくなる。ドギツい空気を読んでしまい「あ、ここはアクセル踏んでもいい場所や!」とグイグイ進んでいってしまう。泥沼にハマってしまうと、そこから抜け出そうとしてさらにグイグイ踏み込むしかなくなる。そういう悪循環が生まれないようにしないといけない。
無責任な想像で遊べるラジオは楽しい。かといってSNSなんてやめてしまえばいいとも思わない。SNSもラジオみたいに楽しめればいいのにと思う。「昨日付で官房付」とか、音だけのラジオより文字のあるSNSのほうが上手く遊べそうだ。何でどうやって遊ぶのか、考えるだけで面白い。そうやって生きていきたい。
そういえば、今日は1円もお金を使わなかったけど、なんだかとても気持ちが豊かだ。朝のラジオで聴いた「谷脇がコーテツ」のおかげだ。ついでに言うと「山本は小鉄」だ。猪木、かんばれ。
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