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1人目の客になれた話 吉祥院八条通編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 オープンの1時間以上前には並ばないと先日決めたばかりなのですが、一つ問題があり、ライバル(つまり早めに並ぶ人)の出現が予想される人気店が自宅(もしくは職場)から遠い場合、どの程度時間がかかるかわからないため、念のために早めに出発をすることになり、そうなると1時間以上前から待つことになってしまいます。

 まあ、別にええか。
 細かいことはテキトーにやるのが私の流儀です。

 自宅がJR二条駅の近くにあり、今日私が狙いを定めた人気店は西大路八条を西へ少し行ったところにあります。
 京都発祥の餃子が有名なお店でして、「餃子の王将」という、知る人ぞ知る名店です。
 かつて西大路八条の交差点にお店があり、その昔このあたりでアルバイトをしていた頃は足しげく通っておりました。

 西大路八条をぐっと西へ行ったところに王将が18時オープンか。まあ、1時間前に着いておかないと1人目にはなれないやろな。
 二条からどのくらい時間かかるかな。
 二条駅から西大路駅までJRで行ったら早いけど今日はまだ3000歩くらいしか歩いてないし、歩数稼げるし歩いていこか。近頃はウォーキングも趣味にしており、1日9000歩を目標にしています。

 歩いたらどのくらいかかるんかな。
 そういえば、こないだ四条烏丸から京都駅まで歩いて30分くらいかかったし、1時間見ておけばいけるやろ。
 ということは、私は王将の1人目の客になるためにオープンの2時間前に自宅を出発することになる。我ながらアホなことをしていると思いますが、悲しいのはそこまでしておきながら1人目の客になれないことです。
 それだけは避けたいとなると、やはりオープン1時間半前には到着しておかないと・・
 そうしたら私はますますアホに・・
 いや、もう十分アホやし、このうえ少しくらいアホを上乗せしたところで、八十歳のじいさんと八十一歳のじいさんどっちが歳上かわからんくらいもうよくわからんやろ。

 と、いうわけで。
 (祇園にあるラブホテルではない)

 16時ちょい前に自宅を出発し、西大路通りを延々下がる。
 途中、思いのほか早くに尿意をもよおし、西大路通りを西に入ったところに公園が見えたので立ち寄ってみたら、公衆トイレがありませんでした。原発のことをトイレなきマンションと呼んだりしますが、まさか公園にトイレが無いとか思いませんやん。しばらく歩いてセブンイレブンがあったので無事、用を足す。

 佐井通りよりさらに西を南北に流れる川沿いを南へ下がる。八条通り沿いには昔、「萩」というハンバーガーのめちゃくちゃ美味い喫茶店がありました。
 かつて私はこの界隈のゴミを収集する仕事をしておりました。

 「萩」のあった八条通り沿いを西へ向くと、「すき家」の手前に見えてきました。セブンイレブンやサイゼリヤに彩りの似ている「餃子の王将」の看板。いや、むしろ、私にとってはセブンイレブンとサイゼリヤがこっちに似ているのですが。

 故郷では家族での外食といえば国道沿いの王将でした。
 大学入学を機に京都に出てきてからは下宿先の近くに王将があり、お昼も夜も王将ということが年に何十回かはありました。

 つい、先日、金閣寺店がオープンした際も、私は1人目の客になりました。
 思い入れがあるお店ゆえ、なれるものならやはり1人目の客になりたい。

16時51分。

 無事、誰も並んでいないお店の前に辿り着くと、「すき家」の方角から女性が二人、手を振ってくれている。隣には男性が一人。あれは金閣寺店のオープンのときにもいらっしゃった人たちではありませんか!!!

 私のことを覚えていてくれ、旧友との久方ぶりの再会であるかのように手を振ってくださいました。うれしすぎるやろ!
「1人目の客のTシャツは他に何色があるんですか?」
「赤と緑です、あ!そうか、こないだは緑を着てましたよね、僕」
「そうなんです!赤もあるんですね」
 こうなったら黄色とオレンジと白も作って王将カラーをコンプリートしてみたい。
 そのあとにスーツ姿の男性を紹介していただき、この方はなんと餃子の王将の専務さんでありました。

 17時の数分前には2人目のお客さんがやってこられましたから、1時間以上並ばないことにストイックになっていたら危うく1人目の客になれないところでありました。

 席の予約の発券をしてもらい、「001」の券を無事にいただく。「こちらのお店はビックテーブルがありますけど、どちらのお席になさいますか?」ということだったので、よくわからないけどビックテーブルを指定しました。

 オープン30分前までには次から次へと入店を志す者がやってくる。「今日は6時からかいな、まだ開いてへんのか」という人もいる。「王将ってすごい人が集まるんやな。そらそうやんな」とおっしゃるおぼっちゃんもいるし、明らかに1人目の客として並んでいる私を追い抜いて入ろうとする人もいる。気づけばもう20人くらい並んでいる25分前。

 25分後に誰よりも早くお店に入る私の姿を想像してにやけてしまう。と書いていたら待ってる人が多いから早めにオープンしてくれました。

令和6年10月15日18時ちょい前、吉祥院八条通りにオープンした「餃子の王将 吉祥院八条通店」の1人目の客は私です。オープン直前はもう50人くらい並んでました。

写真撮ってもらえないくらい忙しそう!
001は気持ちええっすね!
とりあえずビールで乾杯♪

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私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。


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