五年前の今日1人目の客になれた話
facebookの「過去のこの日」にあがってきました。noteを検索してみたところ、この日のことはnoteには書いていなかったみたいです。
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涌井慎です。
趣味はオープンしたお店の
1人目の客になることです。
10時20分頃、
私は四条烏丸から河原町方面へと
歩きながら迷っていました。
河原町OPAは河原町通り沿いの表口と
反対側から入る裏口とがある。
どちらから入ればスムーズだろうか。
普段は裏口から
入ることのほうが多い。
だいたい烏丸方面から来るし、
それに河原町側は混雑するから、
裏口のほうが入りやすいのです。
人も少ないので、
OPAのオープン待ちをする私が
目立たないのも裏口です。
しかし ちょっと待て。
涌井よ、おまえは
寺町のniko and...coffeeが
オープンしたときも
関係者の冷ややかな視線に耐え抜き
1人目の客になったではないか。
いまさら人目を気にするのか。
OPA側に立って考えてみろ。
表口と裏口、
どっちを先に開ける?
答えは明らかでしょう。
それにOPAのエスカレーターは
表口側から
上るようになっていたはずだ。
裏口から入れば、
その分 時間にロスが出るぞ。
河原町へと続く地下街を
そんなことを考えながら歩き、
地上へ出た私は表口を選択しました。
10時35分くらい。
誰も並んでいません。
勝った。この勝負、勝った。
10時45分、誰も並びません。
10時53分、誰も並びません。
こうなってくると、
意気揚々とやってきた自分が
アホに思えてくる。
どうせなら河原町OPAが
オープンした初日に並びたかった。
10時55分。
あたりを見渡すと、それでも、
OPAに入ると思われる女性が
何人か待機していた。
私のように明らかに
並んでいるのではなく、
開けばいつでも入れるように
待っています。
どうせ私のように、
これ見よがしに並んでいる男のことを
「恥ずかしい人」と
思っているのだろうよ。
私だって本当は
君たちのように何気なく、
さり気なく待っていたい。
しかしそうすると、
その隙を付け込まれることが
ままあることを
私はこれまでの経験で知っている。
11時、扉が開いた。
私は エスカレーターへ早歩きした。
エスカレーターは
もちろん私しか乗っていない。
1人しか乗っていないなら、
少しくらい小走りしてもよいだろう。
私は急いで7階へ向かった。
私が4階にたどり着いた頃、
館内アナウンスが、
「河原町OPA 本日も
オープンいたしました」
というようなことを放送していた。
少しだけ私は
時代の先を行っていることを感じた。
7階のその店に入ってみると、
向こう側から なんと、
おばちゃんが入ってきた。
そうか、OPAには
エレベーターもあったのだ!!
自分が店内に
入ることに夢中だったため、
あのおばちゃんと私、
どちらが一歩目を
店内に踏み入れたかは定かではない。
鼻の差で私と思いたいが。
しかし!
こうなれば 形に残る確かな
「実績」を手にしなければ。
私は1番めの客になりたいだけだから
何を買うという
プランを立てていなかったため、
慌てて店内の商品を物色した。
この優柔不断め!
早くしないと、
あのおばちゃんが先に
買い物してしまうではないか!
焦りながら、
私は 外の天気のことを思い出し、
レインコートを買うことにした。
レジへ持っていく。
知らなかった感じで店員に聞く。
「今日、オープンなんですか?」
「そうなんですぅ。
お客さんが1人目ですぅ♪」
この「♪」のニュアンスを
聞きたいために私はこの活動を
続けているのかもしれません。
河原町OPA7階に
本日11時にオープンした
100円ショップ「Seria」の
1人目の客は私です。
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