京都新聞に載りました
オープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしております。
あれはもう十年前のこと。金曜日でした。なぜ金曜日と覚えているかというと、当時、お昼の番組のADをしており、DJが金曜日担当の方で、ディレクターも当時金曜日を担当していた方だったことを覚えているからだ。あのDJとあのディレクターだから金曜日だったはずなのだ。
中華のハマムラが府庁前に移転オープンするという京都新聞の記事を見つけました。いつもなら「京都新聞に本日、ハマムラ移転オープンと書いてありました」と紹介するのですが、京都のラジオ番組が京都のお店のオープンを伝えるのに京都の新聞のネタをそのまま引用するのって面白くなくない?と思った私はディレクターさんに「開店の様子を見てきますわ」と伝え、オープンの三十分前くらいを目指してお店へと向かいました。
なんといっても京都中華の本流といった趣のハマムラですから、(実際にそうなのかはわからずイメージで書いているだけですから間違っているかもしれない)きっと開店前から行列ができているにちがいないと思ったのですが、いざ到着してみたところ、誰も並んでいないから、はからずも私、1人目の客になってしまったのでした。
移転オープンしたハマムラの1人目の客として入店したとき、入口の扉を開けて中へ入った瞬間、私はこのうえない心地よさを体全体に感じました。ああ、この中華の老舗の新しいスタートの歴史が私から始まってしまった、という戸惑い、喜び。お店の人にとってはどうやら「たまたま1人目に来た客」でしかなかったようですが、私としては、完全に歴史を動かした気分です。たぶん、プロ野球の開幕投手ってこんな気分なんじゃないかな。長いシーズンの140試合以上のうちの1試合にすぎないといえばそうですが、そのシーズンを占うという意味でも、1試合以上の価値がある試合を任される先発投手の気分を味わったことはないですが、逆に巨人の菅野や海を渡った山本由伸あたりが、1人目の客になったとき、「あれ?この気持ち、なんやったかな?そや、開幕投手や!」となるに違いない。
と、まあ、そんな風にして、府庁前に移転オープンした中華のハマムラの1人目の客になったのが十年前。それから五年ほど経ったあとに本格的にオープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしまして、コロナ禍を経て先月末、そんな趣味を記録した一冊の本を作りました。『1人目の客』、本日の京都新聞朝刊でも紹介されました。暇書房というネットショップにて販売しております。皆様、どうぞ、よろしくお願いいたします。