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映画の記録『メイド・イン・バングラデシュ』

 日本にも溢れるファストファッション。アパレルブランドを支えているのがバングラデシュの首都ダッカにある縫製工場です。過酷すぎる労働現場。過酷の過が「過ぎる」という意味なので過酷すぎるは「頭痛が痛い」的誤った表現かといえばそんなことはありません。過酷すぎるんです。残業代は支払われず、主張をすれば面倒な女だと煙たがられる。基本給が安すぎるから家賃の支払いも滞っており、明日の暮らしの保証なんかどこにもない。劣悪な環境を改善すべく労働組合を結成しようと立ち上がるシムですが、工場の幹部からは脅しをかけられ、夫や仲間からも激しい反対に遭います。それでもシムは集会に参加して法律を学び現状を変えようと奮闘するのですが。

 いろいろな不満を抱えながらも現状を「そういうもんやで」と受け入れながら生きている私としては、行動するシムがカッコいいと思ったし反面アホやな〜とも思ったんですが、私はその意味でアホになりたいとも思ったのです。私はアホのくせに賢く立ち回りすぎている。

 と同時に縫製工場の劣悪な労働環境についても考えてみた。確かにこんな働き方は間違っていますから、改善されるべきだと考える。いっぽうで、そのために衣服の価格が上がれば私はその衣服を買うことができない。今の価格だから手が出る私のような者もいる。生活に余裕のある人たちはそりゃあ衣料品の価格がうん千円上がったところで、どうってことはないでしょうけど、そうも言っていられない人間もいる。そうも言っていられない人間を下請け業者としてこき使っている連中が得意げに「エシカルエシカル」言っているのを聞くと本当に意味をわかって言ってるのかえ?と思ってしまう。遠く離れた縫製工場を憂う心があるのなら、まず、すぐ近くの労働環境に目を向けてみなさいよっていうことはどうしても考えてしまう。なかなか簡単な問題ではないですよね。わかりやすい劣悪さでなければ伝わらないくらい感受性の乏しい人たちにどうすれば厳しい労働環境や低賃金のことを理解してもらえるのでしょう。そりゃあ、バングラデシュの縫製工場の労働環境に比べれば恵まれてるんだとは思う。それでも私はどうしても身の回りのことに置き換えて考えざるをえなかった。労働力を搾取する卑劣な男たちが身近なあの人たちに見えてくるかも?

「メイド・イン・バングラデシュ」
京都シネマで上映中です。

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#メイドインバングラデシュ

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