1人目の客になれた話 大宮高辻あたり編
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。
もう8年ほど京都市内を中心にいくつも1人目の客になって順序も覚えてキスも上手くなりましたが、はじめて新店を訪れるときはいつも震えます。
特に自宅および職場から歩いてどの程度時間がかかるかわからないお店に行く際はどれだけ早くに出発してもひょっとしたらもう誰か並んでいるんじゃないか、と急ぎ足になります。
今日は大宮高辻あたりに新規オープンするカレーのお店に自宅から歩いていきます。
自宅の近くにある中学校の側道を南へ下がると介護施設の送迎車が停まっており、腰の曲がったおばあちゃんが職員とみられる女性の肩に手をかけておりました。
肩をかけられた女性はそれを何も無いかのごとく、隣のおそらくおばあちゃんの娘とみられる女性と会話しておりました。
近頃ひんやり肌寒くなってきましたが今日は小春日和というのでしょうか、あたたかい日射しが降り注いでいます。私は「よかった」と思いました。
日射しみたいな名前の「NISSHA」横の通りを南下し、四条通りに出ると車の音がやかましい。さすが京都のメインストリート。歩道もほどよく広いので歩きやすい。
NISSHAに日射が降り注いでいます。
ここもどうやら源氏物語ゆかりの地であるらしく、NISSHAの敷地内にそれを示す看板が立っています。何があった場所なのか、ちゃんと読んだことはありません。
NISSHA前を東へ進むとJRの高架があり、そこには学生時代から慣れ親しんだ坦々麺の美味い店があります。近頃は経費削減のためなのか、オープンしていても店内はいつも薄暗いのですが、さっき通り過ぎたときにはまだシャッターが閉まっていました。
四条大宮界隈には私が1人目の客になったお店がたくさんあります。LIFE四条大宮店、肉和タリ庵、浜焼ボーイと串カツガール、お酒の美術館、南国ジンジャー、ホリーズカフェ・・
こうして振り返ってみると北斗の拳の区切りの回でケンシロウがライバルを回顧している場面みたいです。
嵐電四条大宮駅隣のあまりキレイではない公衆トイレで用を足し、今度市長選挙があったら市内の公衆トイレを全部キレイにしてくれる人に投票したいと思う。別に素手で便器のお掃除なんてしなくてもいい。
飛んで飛んで回って回る人が経営しているという音楽スタジオを通り過ぎ、四条大宮をさらに南へ下がると風の行方も変わった気がして、風を支配した気になったのですが、同時に風はラオウに一瞬でひねり潰されたことを思い出す。私はやっぱり雲がいい。
高辻あたり、たぶん大宮通り沿いだから、それらしき店舗を探しながら歩いていると小さな看板を見つけました。
このお店はオープン前からインスタグラムのアカウントをフォローしていて、看板の感じも把握していたので間違いありません。
大宮通りに面して入口があるのかと思っていたら、細い路地を入っていったところに入口があり、京都で新店がオープンする際によくみるコミュニティ・バンク京信理事長からの胡蝶蘭が置いてありました。
先日、円町にオープンしたカレーのお店は美味しいカレーのお店を渡り歩いているという方がずいぶん早くから並んでおられ、1人目の客になれなかったので、今回は同じ過ちを繰り返さぬよう、オープン1時間前には到着しておこうと思っていたのに10分遅れの11時10分になっておりましたが、幸い誰も並んでおりませんでした。
入口扉のガラス越しに私を見つけた店主さんが出てきてくださり、「オープンまでもうちょっとお待ちくださいね」と声を掛けてくださいました。もうこの時点で「いい店」確定です。
大宮通り沿いに立てかけてあるお店の看板を眺めて通行人の男性が「12時オープンやて。もう1人目のお客さん並んでるわ」と言って去っていきました。開店準備中の店内からはボブ・マーリーが聞こえてくる。気持ちええわ。
令和6年11月11日12時、大宮高辻あたりにオープンした「キョウハスパイス」の1人目の客は私です。
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