映画『薬の神じゃない!』
中国で、500億円の大ヒットを記録した映画。
実際に起きた
ジェネリック薬にまつわる事件を
もとにした物語。
上海でインドの強壮剤を販売する
店主のチョン・ヨンが金に困って、
国内では認可されていない
インド産のジェネリック薬の密売に
手を染めるのだが、もととなった事件は
「陸勇事件」の名で有名らしい。
インドから安価なジェネリック薬を
購入していた
慢性骨髄性白血病患者の陸勇が、
2014年に逮捕されるも、
裁判撤回の市民デモが発生し、翌年に釈放。
この事件と映画公開をきっかけに、
中国医薬業界に変化が起きた。
とパンフレットに書いてある。
正規の薬は「法外」な価格で、
貧乏人には手が出ない。
それなのに、効能が同じで破格の
インド産ジェネリック薬は、
国から認められていないから
「ニセ薬」として取り締まられる。
チョン・ヨンは違法と知りながら
密輸に手を染め、慢性骨髄性白血病患者に
利益度外視でジェネリック薬を販売するが
警察の包囲網についに引っかかってしまう。
違法なのは密輸するチョン・ヨンだが、
その違法行為によって、
無数の命が救われている。
いっぽうで合法の薬は、
法外な価格であるため、
求める者たちに行き届かない。
作中、印象深い言葉が二つあった。
(本当はもっとあったけど覚えてない)
チョン・ヨンが違法行為に
手を染めていると知りながら、
内実を知っているため、
捕まえられないと言う若い警官に対し、
上司が放つ、
「情と法なら法に従うのが私たちの務めだ」
という言葉。
もう一つは、チョン・ヨンから
密売を引き継ぐことになった
ペテン師野郎の言葉で、
「どうしても治らない病気が一つある。
それが「貧乏」だよ。つける薬がない」
観る場所が変われば、
抱く感想も大きく変わるだろうと思うが、
私はこの映画を観て、
心を動かされる場所にいることがわかり、
よかった。
無理やりに法を侵す必要はないけれど、
法よりも情を大事にしていきたい。