京都市長選 1人目に投票した話
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。お店のオープンではなくとも、1人目になれるところには出向けるときは出向きます。
今日は京都市長選挙の投票日です。
5名の候補者がいて、そのうちの1名は謎の多い人物です。東京在住で新聞などのメディアに顔出しをいっさいせず、街頭演説や動画配信などの選挙活動もまったくされていないみたいです。知り合いにもこの方が立候補していることすら知らない人が何人かおられました。どうやらこの方に関しては、当選するということはなさそうですが、0票ということもないでしょうから、この方への票数が少なからず当落に影響を及ぼすことにはなります。
さて。
残りの4名の候補者に関しては、どうやら票が割れるのではないか、といわれております。私が順当にいけばこの人なんやろ、と思っていた人も特別押し出しが強いわけではなく、発言に京都への愛着があるわけでもなく、この人になったからといって市政がどうなるというわけではないような気がします。現状維持を望む人
たちの票はこの人に流れるのかもしれません。現状に満足しておらず、なんだかなーと思っていながら、さりとて特に苦しい思いをしていない人は「いやな変わり方をするくらいなら今のままのがマシ」という理由でこの人に投票するのではないかと思います。
上記の人と当初は競っており、ひょっとすると勝つんじゃないか、といわれていた人は、不祥事が明るみになり、涙ながらに謝罪しておりましたが、さすがに今回、推薦取り消しも相次ぎましたし、この状態で当選するのは難しい気がします。しかし、聞くところによると、街頭演説などで、この方のお手伝いをしている人には若者が多いそうです。私は最初から、この人は「無い」と思っておりましたから、あまりちゃんと主義主張を知らないのですが、未来の日本はこちら側の人たちがどんどん存在感を示していくことになるのでしょうか。
あんた、京都の政治家さんやな、というのが一発でわかる苗字の候補者さんは、つまり、それは政界のサラブレッドともいえるわけで、本来なら本命第一号となってしかるべきなんですが、お父さんも決して市民受けする先生ではなかったような気が私はしておりまして、その苗字がよい方にも悪い方にも影響しそうではあります。私はこの人もおそらく、無いんじゃないかと思っておりましたが、先日飲み会で一緒になったおじさんは、この方を本命と言っておられました。
もう一人は、前回の市長選で大健闘しました。現状維持を望む人からは敬遠されるかもしれませんが、現状に嫌気がさしている人も多いわけで、市政は市長だけでするものではありませんから、すぐにというわけにはいかないでしょうが、この方が当選すれば、他の候補者が当選するよりも、変化は大きいのではないかと思います。その変化はこれまで長きにわたりこの国が向かっている方向と逆に向かうものかもしれず、現状、なんやかんやで「うまみ」を受けている人たち、その「うまみ」を直接は受けていなくとも、例えば、その「うまみ」を受けている人たちから仕事をもらっている、お得意先がいる、などという場合に、「俺はこの人に個人的には入れたいけど、もしこの人が当選してしもたら仕事に影響が出てしまう」ということもあるかもしれません。
ここまで書いて投票用紙を持ってくるのを忘れたことに気づき、あわてて帰宅し、もう一度やってきましたが、幸い、まだ誰も並んでおりませんでした。
ただいま6時42分。まだ誰も並んでおりません。投票は7時からです。私は1人目の投票者になる活動を前回の京都市長選よりも前から続けておりますが、そんな私の肌感によると、7時前に並ぶ人が多いほど、その選挙は注目されている、という風に思っておりました。今回の市長選は市政が変わる大転換期で、注目度は高いと予想していたのですが、意外とそんなことはないのかもしれません。悲しい。
と書いておりましたら、おじいちゃんがやってきて、「あんたが一番か」と聞かれたので、「はい、そうです」と答えたら、「一番になれへんのやったら意味ないから帰るわ」と言いながらしばらくその場に立っておりました。
このおじいちゃんは前回の選挙でも二十分ほど前にやってきて、「一番になれないなら帰る」「わしは前も一番めに投票したんや」などとおっしゃり、言外に「わしに一番めを譲れ」という空気を出してこられ、非常に腹が立ったのですが、今回も同じ態度で圧力をかけてきました。この五年ほど、この投票所の1人目はずっと僕やねん。
さて。
私は誰に投票しようかしら。
誰が当選しても一長一短あるんでしょう。現状維持も悪くはありませんが、決して良いわけでもない。消極的理由で本命とみられる人に投票するのは面白くありません。強者が驕る政界に微力ながら喝を入れてやりたいと思っております。
投票。
いつものように投票箱のなかが空であることを確認し、「この投票箱のなかは空でした」という署名をし、候補者一人の名前を記入した投票用紙を入れる。この一連の流れを任されるのが1人目の投票者の特権なのです。
令和6年2月4日、日曜日。京都市長選、中京区第二十二投票区投票所の1人目の投票者は私です。