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唯一無二といわないで
唯一無二っていう言葉があまり好きではなくて、「唯一無二の歌声」とか「そのパフォーマンスはまさに唯一無二」とか言われても、なんの説明にもなっていないからなんですよね。そんなこと言い出したら私の歌声だって唯一無二だし、私のパフォーマンスも唯一無二だし。コピーを考えた人がそのコピーの対象となる人やモノのことをよくわかっていないから、とりあえず形容するのにちょうどいい言葉ですよね、唯一無二。よくわからないけど褒めていることにはなるし、四字熟語でちょっとカッコいいし。でもこんなに中身のない言葉もありませんから注意が必要です。唯一無二と書かれているということは、それを書いている人にすら、その魅力が十分に伝わっていないということですから。私なら自分のことを「唯一無二」なんて書かれたらなんとかやり直ししてほしいですけど、しかし、書いてる人がけっこう権力のある人で断りきれなかったりするのかもしれませんけど、それはそれで「唯一無二」なんて言葉を使う人の権力が強いのもどうなんですかね。っていうことをいろいろ考えてしまうくらい、私は「唯一無二」っていう言葉があまり好きではありません。肝心なのは「唯一無二」であることではなく、「何がどう」唯一無二なのか、ですから。なのでラジオでも雑誌でもネット記事でもなんでも、台本や原稿を書く人には是非気をつけていただきたい。簡単に唯一無二を使ってはいけません。だいたい、多用してしまったらその時点でもはや唯一無二ではないではないか。
例えば五七五の十七文字しか使えない俳句の世界で「唯一無二」なんていうなんの中身もない言葉はもったいなくて使えないわけです。十七文字のうち六文字が中身のない言葉だったら残り十一文字でどう巻き返してもその俳句は駄作でしょう。十七文字分の六文字だから目立ちますけど、それは長い文章でも同じです。必要のない言葉はなるべく削ぎ落とさないとすっきりした伝わりやすい文章にはなりません。
唯一無二が使われている台本は要注意です。
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