私の夏が終わりました
サザンオールスターズ のライブビューイングを観に行きました。全19曲のなかには聴けてよかった曲と今回は別によかったんやけどなという曲もあったのですが私はそういうところも好きなのです。100パーセント私好みのセットリストがあったとしてもどうあがいても19曲しかないのなら「聴きたかったけどやってくれなかった曲」というのは出てくるものですから、そうであるなら今のサザンが演奏したい、歌いたい曲で構成されているライブを受け入れて存分に楽しみたい。ありのまま気ままのサザンで心はレインボーなのです。
それに、私がそんなにテンションの上がらない曲に対してお客さんたちが「うおおおお」と盛り上がっているのを観るのも変にテンションがあがるし、ちょっと斜に構えて観てしまってる自分のことを痛いと感じてしまい、あんまり好きではなかったけど今度ちゃんと聴いてみよ。という気持ちになったりもする。
私が観た映画館では「真夏の果実」歌唱中に席を立ち外へ出ていった方がおられ、よりによってそのタイミングかえ!と思ってしまい、そんなことに目が向いてしまう己の集中力のなさに腹が立った。
どういう事情で外へ出たのかはわかりませんし、よほど切迫した事情があったのかもしれませんけど、同じ列のスクリーンに釘付けになっている他のお客さんをかき分けて出ていくのが「真夏の果実」の歌唱中でなければいけなかったのだろうか。前を通られた人たち、かわいそうだな、とこらえ切れなくてため息ばかり出そうになりました。いちばん後ろの席だったからそんなところまで見えてしまったわけなのです。
「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」のアウトロでロネッツの「BE MY BABY」を歌う桑田さんにいつも涙がこぼれてしまう。あそこにあのメロディをあてるのはクセみたいなものなのでしょうか。もともとそのつもりで作られたのではなく、あとあと「BE MY BABY」を歌えるやないかこの部分と気づいて歌いはじめたって感じがして、すごく音楽が好きでずっとご自身のルーツを大切にされているんだな、というのが伝わってきます。実際にどうなのかは知りませんけど。
芥川龍之介がスライを聴いたり、ビーチボーイズならグットバイブレーションだったからヒップあたり揺れてたり、新曲のMVがおもいっきりエリッククラプトンだったりするのもたまらなく好きで(新曲のクラプトンについては私と同じくサザン大好きな方に教えてもらったのですが)サザンきっかけで私はいろんな音楽に触れることができました。芥川龍之介が聴いてたスライがスライ&ザ・ファミリーストーンだと知ったのは実はつい最近ですが。
毎年やってる奈良の正倉院展って、正倉院所蔵の宝物を年に数点(数十点?)展示するんですけど、仮に百年毎年観に行き続けても絶対に全部の宝物を観ることはできないらしく、それってものすごく浪漫を感じる話やな、と思うんですけど、サザンも同じで、一生ライブで聴くことはないんやろなという曲が無数にあることが私にはとてもロマンチックなのです。
それにしても、毎回毎回、ライブ(ビューイング含む)を観るたびサザンが好きでよかったと思う。そういうバンドが私にも存在するのがうれしいし、それがサザンであることが気持ちいい。夏が終わりました。せつない胸に風が吹いてます。
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