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1人目の客になれなかった話 太子道あたり編
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。
十五年ほど会っていない大学時代の先輩から今日、京都音博を観に東京から車で来てるんだけど久しぶりにちょっと会わないか、と連絡があり、その先輩は拙著『1人目の客』も購入いただいており、私が出演した明石家電視台を見てくれてもいたので、「今日は11時半に太子道あたりにオープンするカレー屋さんの1人目の客になりにいくんですが一緒に行きます?」と聞いてみたら、「いいね!」ということだったので一緒に行くことにしました。
自宅近くのコンビニにて合流。
1人目の客Tシャツを持っていったら買ってくださり、お店の近くの駐車場に車を停めたあと、着てくれたので、1人目の客Tシャツのペアルックでお店へと向かったのが10時50分。
だいたいオープンの40分前に到着すれば1人目の客になれるので、今日もそうなるだろうと思っていたのですが、既に二人、並んでおられ、せっかく1人目の客ペアルックであったのに1人目の客になることができませんでした。
私一人ならそのまま帰宅したと思いますが、せっかくここまで付き合ってくれた、というか、車で迎えに来てくれてここまで連れてきてくれた先輩の手前、やめましょうとはいえず、完全にカレーの口になっていたこともあり、1人目の客Tシャツを着ておきながら、3人目と4人目の客として待機することにしました。
1人目の客のお兄さんと2人目の客のお兄さんは何やらカレーやラーメンについて話をしておられるようなので、人気店を食べ歩いておられるのかもしれません。
せっかくペアルックで来たから、ということで1人目のお客さんにお願いして先輩と二人の写真を撮ってもらいました。
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「実は僕がオープンしたお店の1人目の客になるっていうのを趣味にしてまして」
「ほんとだ。1人目の客って書いてある。二人でやってるんですか」
「いえ、こっちは大学の先輩で。たまたま今日京都に来てるっていうんで一緒に来たんです」
そんな話をしていると2人目のお客さんが入ってきて、「そういえば似たようなことをされている方のことを何かで見た気がします」とおっしゃったので先輩が「それ、こいつだと思います。本も出したんですよ」と言ってくれ、そこから1人目と2人目のお客さんが私のことを検索してくださり、1人目のお客さんはInstagramで、2人目のお客さんはXで私をフォローしてくださったのでそれぞれフォロー返ししました。
1人目のお客さんはもともとラーメン屋行脚をされていたのですが最近はカレーにシフトしたとのこと。Instagramを見てみたら確かにスパイスカレーだらけでした。ラーメン屋は人気店だと11時新規オープンのお店に深夜2時頃から並ぶ人もいるそうです。私はあいにくそこまで暇ではない。
2人目のお客さんは、なんと前から私もよくチェックしている京都の新店情報を発信しておられる「京都のお墨付き!」の管理人さんでありました。お墨付き!の情報をもとに1人目の客になったことも何度かあります。まさかそんな方と知り合えるとは。
1人目のお客さんもそのことはご存じではなかったらしく、そこではじめて、この二人は知り合いではなかったのだと知る。めちゃくちゃ仲良く喋ってたのに初対面やったんや!と驚くとともに、そういえば私たちも既にかなり親しくなっていることに気づく。
お墨付き!の管理人さんからは新店発掘の仕方を教えてもらいました。書かないほうがいい気がするので書きませんが、ものすごい情報収集能力をお持ちです。私には到底真似はできません。待ってる間にも十件ほど新店オープンの情報を教えていただきました。これからも私のような者に有益な情報を与え続けてください。
11時30分。まもなくオープンという頃にはけっこうな行列ができておりました。聞くところによると、これまでいろんなところで間借り営業されていたのが、本日満を持してオープンされるとのことで、その頃からのファンの方たちも集まってきているみたいです。
そろそろオープンか、というタイミングで店長らしき男性が出てきて「大変申し訳ないのですが11時30分オープン、無理です、間に合いません。もうしばらくお待ちください」とおっしゃると行列の人たちからどっと笑いがおこる。かまへんかまへんかまへんよ〜という寛容の笑いにこっちまで嬉しくなる。
「あと、オープン間に合わないくせに申し訳ないんですけど、あとで皆さん、写真撮ってもらえます?」とお願いするとまたしても歓声があがる。どうやらこうして間借り営業の頃から愛されてきたらしい。
十分経ったくらいでしょうか。店長と女性スタッフ二人が出てきて、「オープンします。その前に写真を皆さんお願いします」と再び店長。みんなが思い思いにスマートフォンで写真を撮る。店長のスマートフォンで撮らなくてもいいのね。そうか、知り合いだからあとでLINEで送ったりできるのか。
和やかな空気とは裏腹にさっきから地獄みたいにお腹を刺激するばちばちにいい匂いがお店の中から漏れてきており、とにかく早く食わせろという気になってきました。
この期に及んで私は内心、「あなた1人目の客になりたいんなら先にどうぞ」と1人目のお客さんが譲ってくれはしないかと少しだけ考えてもいたのですが、そんなことにはもちろんならず、私たちは3人目と4人目の客として入店しました。
メニューが豊富でカレーは5種類。そのうち3種をあいがけでいただくことができます。私は「秋鮭と舞茸のココナッツカレー」「チェティナードチキンカレー」「ポークビンダルー」の3種にし、先輩はチキンとポークは同じで、秋鮭ではなく「なすとじゃがいものキーマカレー」をあいがけにし、ご飯とルウを大盛りにしてラッシーまで注文しました。私はご飯のみ大盛りに。
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我々の隣に座った男女のお客さんが私たちのTシャツに反応してくださり、「待ってる間から気になってたんです」と男性がおっしゃるので、「私がオープンしたお店の1人目の客になるのを趣味にしておりまして・・」と説明すると喜んでくださり、これまたすぐに私のXをフォローしてくださったのですが、こちらの方はどうやら私の職場のある界隈でお仕事されているらしく、不思議な縁を感じずにはいられません。
「磔磔でイベントされるんですか?」とおっしゃるので、もうそんなことまでXでチェックしてくれたのかと驚く。来年2月10日なのでよろしくお願いしますと声を掛けました。本当に来てくださったら嬉しいな。年に一度、上がり過ぎた磔磔の価値を下げる名物イベント「涌井大宴会in磔磔」は2月10日(月)の開催です。よろしくお願いいたします。
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その後、おそらく一緒に来られていた女性の方からもXをフォローしていただき、二人ともフォロー返しいたしました。1人目の客にはなれませんでしたが、そんなこと以上の実り溢れるひとときでした。カレーも美味しかったです。
令和6年10月12日、太子道あたりにオープンしたspice stand solaの3人目の客は私です。
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私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。
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