短編小説 エアポケット
それではお聴きくださいっ！LMFAOで「花嫁修行」！
エフエム関西の女性DJが溌剌とした声で曲紹介をしたところ、ミキサールームのディレクターからトークバックで指示があった。
ええっ！ほんまや！なんでわたし「花嫁修行」とか言うてしもたんやろ！？言いながらおかしいな〜とは思ってたんですよっ！LMFAOが「花嫁修行」てなんでやねんっ！と思いながら、そやけど邦題やとしたらなかなかおもろいやんとか思ったりもしたんですけど、ごめんなさい！じゃあ、曲終わりで改めてちゃんとしたタイトル言いましょか。
生来のお喋り好きである彼女のお喋りはこれで止まらない。喋ることが職業となるラジオDJは彼女にとって天職といえた。
は〜っ、それにしてもびっくりした。
あ、そや、西山兄さん、わたしめっちゃ腹立つんですけど、これ前も言いましたっけ。パンクバンドやってる玉木って知ってます？あいつ、パンクやってるくせに自民党寄りなんですよ。パンクって基本、反体制のもんですやん。歌の内容とかも、まあ、正直内容なんかないようなもんなんですけど、あ、いまのすみません、なんかダジャレみたいになってしまいましたけど、ていうか、そんなんどうでもよくて。パンクやってるくせに自民党寄りとか、もうそれだけで完全にニセモノやん。ほんましょーもないって思うんですけど、もっとしょーもないんは、自分では「いや〜、ぼくらのやってることってほんまにしょーもない底辺の音楽なんで」とか言うてるくせに「でも富美山さんにはわからないと思います」とか言うて、なんか自分は一段高いとこにおりますねんっていう人を馬鹿にしたような笑い方しよるんです！あろか！と。ほんでわたしにはサンプルCDをくれへん。いや、別にいりませんけど！いりませんけど、わたしの周りの何人かにはこれ見よがしに渡すくせにわたしには渡しよらへん！ダジャレと違うっちゅーねん！ほんましょーもない自民党支持者のくせにイケてるパンクロッカー気取りなん、めちゃくちゃ腹立つわー。人を見下した感じが許せへん！いや、別に自民党が悪いわけとちがいますよ。いや、あれはあれで悪いんですけど、まあ、そこは別に悪かろうがよかろうがなんですけど、反体制なふりしてパンクやってるやつが自民党支持者やったらあかんでしょ？あいつ、ほんまにニセモノのしょーもない音楽やってるくせにそれでいて人のことを馬鹿にしてくる！「富美山さんにはわからないと思います」とか、わかるやつだけホンモノやと思ってるなよ！あほか！
あ、曲終わったな。はい。
お届けしたのは、LMFAOで「パーティーロックアンセム」でした。
いやはやお喋りというのは恐ろしい。喋り出したら止まらないのだ。しかしもっと恐ろしいのはずっとカフが下ろされていないことに誰も気づかなかったことだ。誰が悪いんだ。手を上げろ！手を上げろ！手を上げろ！