岡山怪談会その後・・・。

2024年7月14日に岡山県岡山市のライブハウスでぼっけい岡山怪談会が開催された。
俺にとっても初めての県外遠征であり否が応にも力が入っていた。
おかげさまで怪談イベント自体は大成功で幕を閉じたが俺が書きたいのはこれ以降の怪異である。
実はイベント終了後、すぐに愛媛県に向かわなければいけなかった俺は楽しそうな打ち上げにも参加せずに1人岡山駅へと移動した。
そして午後6時半の特急電車に乗り焼く時間かけて愛媛県の松山市へ。
今思えばこの電車に乗った時から少しずつ怪異が忍び寄っていたのかもしれない。
岡山駅を出て1時間ほど経過すると窓の外は完全に夜の闇に包まれた。
何も見えない外をぼーっと眺めていた時、何故か窓に映り込んだ通路反対側の座席が気になった。
窓側には20代くらいの女性が座り通路側にも同じく20代くらいの男性が座っている。
最初に座ったのは窓側の女性でそれから10分ほど遅れて通路側の男性が席に着いた。
どうしてそれが気になったのかと言えば、最初はその2人が知り合いなのかな、と思っていた。
なにしろその車両はガラガラで俺の他にはその2人を含めても5~6人程度の乗客しか乗ってはいなかったのだから。
わざわざガラガラの状態の車両で見ず知らずの2人が並んで座る必要性は無い。
だからその2人を知り合い同士だと思い込んでいたのだがいつまで経っても一言も会話が無かった。
何も話さず女性は窓の外をぼんやりと眺めており男性はイヤフォンで音楽を聴きながらスマホを操作している。
なんなんだ・・・このカップルは?
そう思っていた俺だったがしばらくするとようやくその謎が解けた。
乗務員が各座席を回りながら切符の確認をしだしたのだ。
ぼんやりと窓の外を見ていた俺にもその様子ははっきりと確認できた。
最初に乗務員はその2人の座席にやってきて切符の提示を求めた。
しかし確認したのは窓側に座っている女性の切符だけ。
通路側の座席に座る男性をスルーして今度は俺に対して切符の提示を求めてきた。
えっ?
なんであいつはスルーされるの?
そう思い乗務員の方へと振り向いた時、通路側の座席には誰も座っていなかった。
つまり窓にはしっかり映っていた男性の姿は目視では確認できなかったのだ。
乗務員が立ち去ってからもう一度窓に映り込んだ反対側の座席を確認するとやはり男性の姿がしっかりと映り込んでいる。
普通ならぼんやりと窓の外を眺める女性が幽霊であり男性が生きた人間だろう。
なにしろ男性は音楽に体を揺らしながらスマホを忙しなく操作していたのだ。
そんな幽霊もいるのは知っていたが・・・・。
そして次に怪異を体験する事になったのは三宮のホテルだった。
今回の3泊4日の旅行の最後の宿泊の宿だ。
最後という事で疲れが溜まっているであろう事を考慮してそれなりに新しく高級なホテルに泊まった。
そのホテルで起こった不可思議な現象はこんな感じだ。
・夜中、眠れなかった俺は何度も1階のフロント近くにある喫煙室を利用したのだが喫煙室の隣にあるエントランスの自動ドアが何度も何度も開いた。
それなのに誰もホテルのロビーに入ってきた様子は無かった。
気になった俺はホテルのフロントにいたホテルマンに確認したのだが一瞬驚いた顔をした彼は落ち着いた様子で「はい。もう慣れましたが、そういう土地なので仕方ないのかもしれませんね。」と返してきた。
・そのホテルには2階と8階に自販機コーナーがあるのだが深夜に2度ほど利用した俺は1000円札を入れてコーヒーを押したのだが何故か少し遅れて押してもいないお茶のペットボトルと缶ビールが取り出し口に出てきた。
勿論、俺は押してはいないし絶対に俺なら選ばない銘柄。
しかもコーヒー以外を取り出そうとしたら何故か取り出し口の蓋が開かなかった。
やはり見えない誰かが押したとしか思えなかった。
仕方なく自販機室から出て部屋に戻ろうとした時、突然自販機室のガラス戸の向こう側に3人ほどの人が立っているのが見えた。
しばらくそれらと睨みあっているとスーッとガラス戸が開いて何か黒いものが中へと入ってきた。
ガラス戸が閉まっている時にははっきりと男二人と女一人の姿が映っており服装までがわかるくらいだったにも拘らず引き戸が開いた瞬間、それら3人は黒い影のようになりそのまま部屋の中へ入ってきた瞬間にスーッと消えていった。
あれは一体何だったのか?
・夜中に何度か喫煙室を利用したが1度勝手に重い引き戸が開いた。
俺以外には誰もおらず誰も入ってきてはいないのに・・・。
深夜という事もありさすがに気持ち悪くなって喫煙室から退散しようとしたのだが何故か重たい引き戸がびくともしない。
そして感知型の空気清浄機が轟音を立てて忙しなく稼働し始めた。
まるで大勢が一気に喫煙し始めたかのように。
その他にも部屋のシャワーが突然流れ始めたりテレビが点いたりという現象もあったのだが一番奇妙だったのはチェックアウトで知った事実。
どうやらそのホテルでは午前0時~午前6時までは喫煙室の鍵がかけられ使用禁止になっていた。
だとすれば俺はどうして喫煙室を利用できたのか?
そしてもう一つ。
どうやらそのホテルでは深夜0時~午前5時まではフロントには誰もいない事になっている。
人材不足が理由らしいが、それならば俺は深夜のフロントで誰と会話したというのか?
確かに不可解な現象が多かったが身の危険を感じる事は無かったので特に気には留めなかったが・・・。
そして全ての行程を終えて自宅へと戻った俺は家の明かりが点いている事に気付き愕然とした。
しっかりと戸締りと電気、ガスは確認した自信はあったし何なら電気に関していえば妻立会いの下でしっかりとブレーカーを落としてから家を出たはずなのに。
その後、家の中を隅々まで確認し誰かが侵入した痕跡も盗まれた物も無い事は分かったが3泊4日の電気代を考えると眠れない夜が続きそうである。

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