営業のK

此処では創作ホラーや長編ホラー、そしてジャンルに縛られる事なく好きなものを書いていきた…

営業のK

此処では創作ホラーや長編ホラー、そしてジャンルに縛られる事なく好きなものを書いていきたいと思います。 たとえ需要が無くても・・・・。 だから、有料でお読み頂く事は全く考えておりません。 全て無料で・・・・。 あしからず・・・・。

最近の記事

眼が合っただけ

営業マンの育成セミナーでは、常に相手の眼を見ながら話せ、と教えられる。 相手の眼を見ながら話していると、相手の考えや心理的動向だけでなく自分の思いを強く相手に伝えられる。 逆に言えば、相手の眼を見ないで、つまり視線を少し逸らして話していたのでは何も伝わらないし成功は無い・・・。 そんな事を延々と力説されたことがある。 しかし本当にそうだろうか? 確かに相手の眼を見つめながら話していれば、自分的には仕事しているという満足感が得られるのかもしれない。 しかしそんな際に、相手と視線

    • あいのり

      飲み会が多い時期に困るのはやはりタクシーがつかまらない事。 飲みに出て盛り上がり、気が付いた時には午前0時を回っているという事は誰にでもあるのではないだろうか? そんな時刻にバスが走っているはずも無く、頼りはタクシーという事になるがそんな時に限ってタクシー乗り場に長蛇の列が出来てしまっていると絶望に近い感覚になる。 しかもタクシーは引っ切り無しに来る訳ではないのだから待つといっても数時間という場合もザラにある。 それでもそのまま大人しくタクシー待ちの長い列に並ぶか、それとも自

      • 川の字

        川辺さんは現在、結婚20年を超えている。 夫が転勤族であり3年に一度くらいは転勤がある事から一戸建ての購入には踏み切れずアパート暮らしが続いている。 引っ越しが面倒という理由から大きな家具は出来るだけ置かない事にしておりその為ずっと床に布団を敷いて寝ているそうだ。 最初はどうしても床や畳の固さが感じられてしまいベッドで寝る事に憧れていたそうだがずっと布団で寝ている今ではすっかり慣れて不満は感じていないという。 そんな彼女が新婚当時、こんな事があった。 寝ていると夫が手を繋いで

        • バス停のスムージー

          和歌山県にお住いの篠原さんは若い頃、自転車で日本一周した事があった。 お金に余裕などあるはずもなく彼は野宿を主体とした旅行になる事は覚悟していた。 「日本一周中」という旗を立てた自転車で走っていると時折思いがけない親切や援助に出会えることもあったらしくとても貴重な体験になったそうだ。 そしてこれは信州を走っている時に体験した怪異だそうだ。 その頃も9月だというのにまだまだ暑い日が続いていた。 その日も気温としては35度程度だったらしいが体感的には40度を遥かに超えている感じが

        眼が合っただけ

          三千世界に断捨離を

          断捨離というものが流行りだしてもう随分になる。 断捨離とは要らないものを捨てて身軽に暮らすという意味だけでなく物に依存する生活から離れるという意味もある様だ。 ライフスタイルをガラリと変えたり、もっと自由に暮らすという事はとても良い事だと思うし人生自体の価値を再認識する近道なのかもしれない。 しかし断捨離という言葉に惑わされて全てを捨ててはいないだろうか? 不要ではない大切なものまで捨ててはいないだろうか? 捨ててはいけないものに気付けるのはいつもそれが取り戻せない遠くに行っ

          三千世界に断捨離を

          食卓のスムージー

          油井さんは1人でマンション暮らしをしている。 以前は実母と2人暮らしをしておりお互いのプライベート空間を確保する為にそれなりの大きさの部屋で暮らしていたが現在ではそれも無駄にしか感じられない。 だから本来ならばもっと小さくて家賃の安価な小さめの部屋に住み替えるべきなのはわかっているが引っ越しが面倒でそれも出来ていない。 毎日、朝早くに家を出て電車を2回乗り継ぎ仕事に向かう。 仕事が終わってからは帰り道にスーパーによって食材を買って帰り自炊して夕飯を食べる。 実母はいつも手作り

          食卓のスムージー

          籠の中の小鳥(後編)

          振り返ると派手な服を着た美人さんが立っていたそうだ。 その女性は二人に着いてきて家を外からしばらく見ていたが、やがてひとりで頷いてこう言ったという。 なんとなくわかりました。 この家の怪異の原因も・・・そして女の子の行方も・・・。 でも、今すぐにはなんとも出来ません。 だから次の日曜日、またお邪魔しますね! そう言って帰っていったそうだ。 そしてここからは俺とAさんのやり取り。 俺 あのさ、なんで仕事で疲れてるのに帰り際に呼び出されなくちゃいけないの? A 何言っ

          籠の中の小鳥(後編)

          籠の中の小鳥(前編)

          これは今から3年ほど前に俺が体験した話になる。 その老夫婦はそれぞれが公務員として働く中で知り合い結婚した。 お互いが真面目で控えめな性格だったから出世とは縁のない人生ではあったがとても暖かく穏やかな生活を過ごす中で2人の娘さんを育て上げて定年を迎えた。 定年後はそれまで貯めてきた貯金だけを頼りに質素な生活を続けながら地域のボランティアとして尽力していた様だ。 寒い日も暑い日もゴミ出しに立ち会い奉仕活動にも積極的に参加していたのは、公務員として働いていた時に感じていた市民への

          籠の中の小鳥(前編)

          創作怪談 金曜日のスムージー

          今日は金曜日。 つまり明日からは2連休なの。 こんな日はとっておきの飲み物を飲みたいな。 バナナジュース?エスプレッソ?フラペチーノ? ううん、そうじゃない。 とっておきというからにはもっとスペシャルじゃないと! うん、決めた! 今日はスムージーを飲もう! 今まで一度も飲んだことが無いけど作り方は簡単なはず。 そうミキサーがあれば大丈夫なんだから。 今日の気分は・・・・やっぱり赤だよね。 だったらとっておきのスペシャルな赤いスムージーを作らなきゃね。 用意するのは・・・トマト

          創作怪談 金曜日のスムージー

          待ち合わせのバナナジュース

          待ち合わせするのは好きだろうか? もしかして逸れは待ち合わせする相手にも依るのかもしれないが、俺はそもそも待ち合わせする事自体が好きだ。 いや、もしかすると誰かと待ち合わせして相手が遅れてくるのが好きなのかもしれない。 ・・・相手はどうして遅れているのか? ・・・急用でも出来たのか? ・・・事故や病気になったのではないか? ・・・どれくらい遅れてくるのだろうか? ・・・そもそも相手は本当に来るのか? そんなとりとめも無い事をぼんやり考えながら待ちぼうけしていると不思議と待って

          待ち合わせのバナナジュース

          9月のスムージー

          名古屋市に住む川野さんはある日、職場の女性から相談がある、と持ち掛けられた。 その女性は彼が入社した時からの同僚で少し暗いところはあったが色々と相談に乗ってもらっていた関係だった。 だからといってとくに彼と仲が良かった訳ではなく単なる同僚の1人という感じだった。 そんなだったから彼女から相談を持ち掛けられた時には驚いた。 何故、自分なのか?と。 だから一度は丁重に断ったらしいのだが彼女から 今まで私が相談に乗った事が何度もあったよね? そのお返しにどうしても相談に乗って欲しい

          9月のスムージー

          風鈴と怪異

          夏の連想させる風物として風鈴がある。 俺の部屋の窓にも水色のイルカの形をしたガラス製の風鈴が掛けられており風が流れていく度にチリーンチリーンと愛すべき音を聞かせてくれる。 ちなみに風鈴と怪異の関係性を考える時、よく聞くのは決して悪いモノではない、という事である。 確かにそれには俺も賛同する。 これまで俺が見聞きしてきた怪異において、風鈴というのは亡くなっている親族による挨拶代わりだったり危険を知らせるアラーム的なものが多い。 窓を閉め切った部屋で鳴る風鈴は、 お盆に帰って来た

          風鈴と怪異

          創作怪談 時には星の下で眠る

          お盆休みは全て仕事に忙殺された。 脱サラして自ら立ち上げた事業が上手く回ってくれて仕事が途切れなかったのだから感謝しなければいけないのかもしれないが少し頑張り過ぎた。 そろそろ疲れが溜まってきたと感じた頃、パタリと仕事の電話が途切れた。 そりゃそうだ・・・誰だってお盆休みの時期に仕事をしたい訳じゃない。 やらなきゃいけないから仕方なく仕事をしていただけなのだろう。 だから僕は仕事から完全に離れる為にスマホの電源を落とした。 こんな時、自宅兼事務所にしておくととても便利だ。 オ

          創作怪談 時には星の下で眠る

          赤と黒

          熊本県にお住いの川尻さんには同い年の彼女がいた。 大学時代に出会った彼らは誰もが羨むほどの仲の良さでそれは社会人になってからも変わらず続いていた。 出会いは大学のキャンパス。 一人きりでずっと花壇を見つめている彼女にふと眼が留まった彼は不思議な魅力を感じ人生初のナンパをした。 仲良くなってから初めて訪れた彼女の部屋は部屋中が鉢植えや花瓶で覆われ、まるで草花に囲まれるように暮らしている彼女に新たに説明のつかない運命的な魅力を感じ2人は付き合う様になった。 彼女もそれは同じだった

          岡山怪談会その後・・・。

          2024年7月14日に岡山県岡山市のライブハウスでぼっけい岡山怪談会が開催された。 俺にとっても初めての県外遠征であり否が応にも力が入っていた。 おかげさまで怪談イベント自体は大成功で幕を閉じたが俺が書きたいのはこれ以降の怪異である。 実はイベント終了後、すぐに愛媛県に向かわなければいけなかった俺は楽しそうな打ち上げにも参加せずに1人岡山駅へと移動した。 そして午後6時半の特急電車に乗り焼く時間かけて愛媛県の松山市へ。 今思えばこの電車に乗った時から少しずつ怪異が忍び寄ってい

          岡山怪談会その後・・・。

          ○(しろまる)

          双子といえば瓜二つの容姿に一心同体といった仲の良さをついついイメージしてしまう。しかしどうやらそうでもない双子が存在していたとしてもなんら不思議ではない。 一卵性と二卵性に分かれるが一卵性と二卵性ではそもそも遺伝子の伝わり方が違う。 一卵性では全く同じ遺伝子情報を持っているが二卵性ならば50パーセントに留まる。 更に生まれてからの生い立ち次第では性格や容姿にもかなりの差が発生するのだろう。 しかし、どれだけ見た目や性格が違っていたとしても、それだけでは説明のつかない神秘的な繋

          ○(しろまる)