営業のK

此処では創作ホラーや長編ホラー、そしてジャンルに縛られる事なく好きなものを書いていきたいと思います。 たとえ需要が無くても・・・・。 だから、有料でお読み頂く事は全く考えておりません。 全て無料で・・・・。 あしからず・・・・。

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最近の記事

首くっくりの山には入れない

この話は実在する人物を基にした創作になります。 「1.夜行列車に乗って・・・」   突然鳴り出した携帯に驚いて思わず床に落としてしまう・・・。 慌てて拾った携帯で発信者を確認しようとした俺はその場で凍り付いた。 決して見間違いなどではない。 表示されている発信者の名前は祖母・・・。 もう10年以上も前に亡くなっている祖母の名前だった。 決して可愛がってもらっていた訳でもないし俺自身も懐いていた記憶はない。 そんな祖母がどうして俺に電話をかけてくるのか? いや、そもそもどうし

    • あれから・・・後編

      しかし次の瞬間、突然緊張感の無い笑い声が病室内に響いた。   住 ガハハハ、なかなか面白い反応じゃのう!どうだ?入院した気分は?少しは良くなったか?   上を見上げるとそこには富山の住職の顔があった。 何が嬉しいのか、呑気に大口を開けて豪快に笑っていた。   俺 あっ、てめえ、何してくれんだよ!っていうか、どうしてお前が此処にいるんだよ?しばらく戻れないって言ってなかったか?そのせいで一人で何とかしようとしてこんな目に遭ったっていうのに!だから呑気にイタズラしてんじゃねえよ!

      • あれから・・・中編

        長いコールの後、電話がつながった。   俺 あっ、もしもし俺。ごめん、今、大丈夫か?   住 おお~!大作家様じゃないか!どうした?元気か?それともわざわざ電話してくるなんて、また何かあったか?   俺 ああ、ちょっとな。実は写真がらみの怪異で困ってるんだ。   住 写真?心霊写真系なのか? まさかあの東京の写真じゃないだろうな?あれはマズいぞ、というかお前死ぬぞ?Aさんにもそう言われてただろ?   俺 いや、あの写真じゃない。あの写真は幸運にも手元にないからな。だから別の写

        • あれから・・・前編

          最後にAさん関連の話を書いたのはいつ頃だっただろうか? 書かなかった理由は面倒くさかったのではない。 書きたかったが書けなかったというのが本音だ。 話したい事は沢山あったのに「書いてはいけないのでは?」という気持ちがブレーキをかけていた。 しかし、多くの方から心配する声を頂いて、俺も重い腰を上げようと思う。 あれから色んな事があった。 そして俺の周りの環境がガラリと変わってしまった。   先ず、富山の住職だが、富山県内のお寺の管理はそのままに他県のお寺も二つほど管理する事にな

          三千世界のタクシースムージー

          これは以前乗った女性のタクシーのドライバーさんから聞かせてもらった話。 そのドライバーさんが実際に体験されたらしいのだが・・・。 その日、彼女は遅番という事で午後8時頃から運転業務に就いた。 繁華街の泥酔客を何組か送り届けた頃には既に午前0時を回っていた。 そこまででもかなり良い売り上げを上げていたらしく後半の時間帯を頑張る為にも少し休んでいこうと決めた。 彼女の場合、市内に幾つかの休憩エリアを決めており、その時に最も近かったのは郊外の公園だったという。 その公園ならば他のタ

          三千世界のタクシースムージー

          憑依スムージー

          降霊と憑依は似て非なるものだ。 恐山のイタコが有名だが、降霊とは生きている誰かの身体を借りて亡くなられた方が話したりする事。 それに対して憑依というのは霊に乗り移られ操られる事。 つまり1人の人間の中に別人格である霊が入ってきて主導権を握るということだ。 その為、憑依と精神疾患というのはとても似た状態を示す場合が多い。 きっとそれは憑依も精神疾患もどちらも脳が関係しているからなのだろう。 だからその症状がどちらなのかを判断するのはとても難しい事になる。 どちらも明確な判断基準

          憑依スムージー

          怨霊の館

          この話は以前私が体験したAさんに同行した洋館での除霊を怨霊側から 書いてみたものです。 だからあくまで実話です。 アタイが此処に棲みついてから、もう100年くらいになるかねぇ。 森の奥にある古い洋館があたいの住処さ。 昔ここには仲のいい家族が住んでいらしてねぇ。 こんなアタイにも優しくしてくれたのさ。 でもね・・・ある日、此処からいなくなった。 とっても悲しい理由でね・・・。 だからアタイは決めてるんだよ。 あのご家族が此処に戻ってくるまでこの屋敷を護ろう

          エッセイみたいなスムージー

          人生にはいろんな場面がある。 全てを飲み込んで耐える場面・・・。 全てを注ぎ込んで勝負をかける時・・・。 全てを賭けて戦う時・・・。 全てを投げ出して逃げる時・・・。 人間には元々そういった場面を読む能力が大なり小なり備わっているのだと思う。 だから本能のままに耐え、勝負をかけ、闘い、逃げればいいのだと思う。 きっと頭で考えてからでは遅い場合もあるだろう。 しかし、怪異に遭遇した時、人は逃げるという選択をする場合が多い。 別に逃げるという選択を否定している訳ではない。 私だっ

          エッセイみたいなスムージー

          少しずらせば・・・

          ・・・幽霊を見てみたいけど遭遇出来ない そんな言葉をよく耳にする。 そもそも幽霊なんかに会ってどうするのか?という疑問は置いておくとして俺の経験上、この世には至る所に幽霊はいる。 俺も常日頃から視えるわけではないが本物の霊能者と会った後は1週間ほど視えてしまうし何ならその霊能者と一緒に行動している時にはどこを向いても幽霊ばかりだ。 歩道、車道、ビルの中、公園、駅、家の中と何処にだっていつも幽霊はいるのだと分かった。 動いているモノ、動かないモノと様々だが確かに其処にいるのだ。

          少しずらせば・・・

          眼が合っただけ

          営業マンの育成セミナーでは、常に相手の眼を見ながら話せ、と教えられる。 相手の眼を見ながら話していると、相手の考えや心理的動向だけでなく自分の思いを強く相手に伝えられる。 逆に言えば、相手の眼を見ないで、つまり視線を少し逸らして話していたのでは何も伝わらないし成功は無い・・・。 そんな事を延々と力説されたことがある。 しかし本当にそうだろうか? 確かに相手の眼を見つめながら話していれば、自分的には仕事しているという満足感が得られるのかもしれない。 しかしそんな際に、相手と視線

          眼が合っただけ

          あいのり

          飲み会が多い時期に困るのはやはりタクシーがつかまらない事。 飲みに出て盛り上がり、気が付いた時には午前0時を回っているという事は誰にでもあるのではないだろうか? そんな時刻にバスが走っているはずも無く、頼りはタクシーという事になるがそんな時に限ってタクシー乗り場に長蛇の列が出来てしまっていると絶望に近い感覚になる。 しかもタクシーは引っ切り無しに来る訳ではないのだから待つといっても数時間という場合もザラにある。 それでもそのまま大人しくタクシー待ちの長い列に並ぶか、それとも自

          川の字

          川辺さんは現在、結婚20年を超えている。 夫が転勤族であり3年に一度くらいは転勤がある事から一戸建ての購入には踏み切れずアパート暮らしが続いている。 引っ越しが面倒という理由から大きな家具は出来るだけ置かない事にしておりその為ずっと床に布団を敷いて寝ているそうだ。 最初はどうしても床や畳の固さが感じられてしまいベッドで寝る事に憧れていたそうだがずっと布団で寝ている今ではすっかり慣れて不満は感じていないという。 そんな彼女が新婚当時、こんな事があった。 寝ていると夫が手を繋いで

          バス停のスムージー

          和歌山県にお住いの篠原さんは若い頃、自転車で日本一周した事があった。 お金に余裕などあるはずもなく彼は野宿を主体とした旅行になる事は覚悟していた。 「日本一周中」という旗を立てた自転車で走っていると時折思いがけない親切や援助に出会えることもあったらしくとても貴重な体験になったそうだ。 そしてこれは信州を走っている時に体験した怪異だそうだ。 その頃も9月だというのにまだまだ暑い日が続いていた。 その日も気温としては35度程度だったらしいが体感的には40度を遥かに超えている感じが

          バス停のスムージー

          三千世界に断捨離を

          断捨離というものが流行りだしてもう随分になる。 断捨離とは要らないものを捨てて身軽に暮らすという意味だけでなく物に依存する生活から離れるという意味もある様だ。 ライフスタイルをガラリと変えたり、もっと自由に暮らすという事はとても良い事だと思うし人生自体の価値を再認識する近道なのかもしれない。 しかし断捨離という言葉に惑わされて全てを捨ててはいないだろうか? 不要ではない大切なものまで捨ててはいないだろうか? 捨ててはいけないものに気付けるのはいつもそれが取り戻せない遠くに行っ

          三千世界に断捨離を

          食卓のスムージー

          油井さんは1人でマンション暮らしをしている。 以前は実母と2人暮らしをしておりお互いのプライベート空間を確保する為にそれなりの大きさの部屋で暮らしていたが現在ではそれも無駄にしか感じられない。 だから本来ならばもっと小さくて家賃の安価な小さめの部屋に住み替えるべきなのはわかっているが引っ越しが面倒でそれも出来ていない。 毎日、朝早くに家を出て電車を2回乗り継ぎ仕事に向かう。 仕事が終わってからは帰り道にスーパーによって食材を買って帰り自炊して夕飯を食べる。 実母はいつも手作り

          食卓のスムージー

          籠の中の小鳥(後編)

          振り返ると派手な服を着た美人さんが立っていたそうだ。 その女性は二人に着いてきて家を外からしばらく見ていたが、やがてひとりで頷いてこう言ったという。   なんとなくわかりました。 この家の怪異の原因も・・・そして女の子の行方も・・・。 でも、今すぐにはなんとも出来ません。 だから次の日曜日、またお邪魔しますね!   そう言って帰っていったそうだ。 そしてここからは俺とAさんのやり取り。   俺 あのさ、なんで仕事で疲れてるのに帰り際に呼び出されなくちゃいけないの? A 何言っ

          籠の中の小鳥(後編)