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心霊美容院【怪談・怖い話】

これは、私が美容院に勤めていた6年前の話です。

その美容院は明るい雰囲気で、霊などという言葉とは無縁の場所でした。しかし、時折訪れる自称霊感のあるお客様が
「ここには男性の霊がいる」
「受付の辺りから男性の話し声が聞こえる」
と言うことがありました。

スタッフは特に気にしていませんでしたが、あるチェーン店で心霊騒ぎがあったため、ついでに我々の店舗でもお祓いをすることになりました。

当日現れたのは、織田無道のような姿の大きな僧侶でした。首に太い数珠をかけ、下駄を履いて現れたその僧侶は、まず店内をしばらく歩き回りました。そして、「このお店は全ての窓が羽目殺しで開かないため、不純なものを溜め込んでいる」と言い出し、誰も説明していないのに受付の前に塩、酒、米を並べました。

僧侶は読経を終え、「かなり強い悪霊がいます。この塩や酒に霊を封じ込めましたから、午前中のうちに川に流すか、神社の裏に埋めてきてください。ただし、振り向かないでください」と念を押しました。私たちはその言葉を半分笑い話のように聞いていましたが、それが間違いの始まりでした。

次の日、私はサブトレーナーのS・Tと共に近所の川にお供え物を捨てに行きました。道中はむしろ楽しげでしたが、川に着くと、S・Tが「瓶はそのまま捨てられないから中身だけ捨てよう」と言い出しました。

その後、帰り道でS・Tが「誰か呼びました?」と立ち止まりましたが、私は冗談だと思い笑い飛ばしました。

その夜、S・Tは店に戻ると急に体調が悪くなり、翌朝も出勤してきませんでした。電話も繋がらず、ようやく繋がった家族から「夜中に血を吐いて病院に運ばれた」との知らせがありました。S・Tは大動脈瘤破裂と診断され、手術を受けました。医師によると、若い女性がこの病気にかかるのは非常に珍しいとのことでした。

S・Tは手術後も回復が順調に思われましたが、店に遊びに来た途端、再び体調を崩し緊急入院することになりました。今度は脾臓の問題で手術が必要となり、その後、彼女はお店に近づくことを恐れてしまいました。

彼女は今は元気で結婚もしたと風の便りに聞きましたが、あの時のことを思い出すたびに、S・Tが「お供え物を川に捨てたとき、本当に男の人が呼んだんですよ」と言った言葉が蘇ります。私は未だに霊の存在には半信半疑ですが、これは確かに実際に起こった出来事です。

[出典:454 :本当にあった怖い名無し:2008/01/25(金) 14:24:07 ID:94eC9EyF0]

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