赤毛布をかぶった男【怪談・怖い話】
これは、福井県に住む友人から聞いた話だ。
事件が起きたのは、昭和初期の吹雪の夜。福井のとある村に住む小売商の家族に不穏な訪問者が現れた。夜10時過ぎ、戸を叩く音で目を覚ました妻が戸を開けると、赤い毛布を頭からすっぽりと被った男が立っていた。
その男は「本家からの使いだ」と言い、急病人が出たので旦那を呼んできて欲しいと頼んだ。村では本家からの急な呼び出しは珍しくなく、疑うことなく旦那はその男と共に家を出た。
しかし、それが家族に降りかかる恐怖の始まりだった。
数時間後、またもや赤毛布の男が戻ってきた。「病人が悪化し、今度は奥様を迎えに来ました」と言う。心配した妻は、子供たちを隣家に預け、急いで男と共に出て行った。深夜にもかかわらず、男の話し方には奇妙な落ち着きがあり、妻はわずかな不安を感じながらも従うしかなかった。
その後、隣家の戸が再び叩かれた。「両親が、子供も連れてきて欲しいと言っている」と赤毛布の男は頼んだ。しかし、隣家の女性はあまりに不審に感じ、これ以上の要求には応じなかった。深夜に子供を外へ連れ出すことなど、いかに本家の呼び出しであっても常識外れだったからだ。
翌朝、小売商の夫婦は川から遺体で発見された。全身が滅多打ちにされ、顔さえも判別がつかないほどに変わり果てていた。事件の直後、村中で噂になったのは、あの赤毛布の男の正体だった。彼は一度、二度と姿を現し、念入りに家族全員を連れ出そうとしていた。怨恨か、狂気による犯行か、犯人の目的は不明のまま迷宮入りとなったが、村人たちはその夜の出来事を「赤毛布の男事件」として語り継いでいる。
そして今も、赤毛布をかぶった男が村に現れるという噂が絶えない。
[出典:36: 名無しにかわりましてVIPがお送りします 2016/10/12(土) 02:57:10.41 ID:R99SveKW0]
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