【名作】危険な好奇心(オマージュリライト)【怪談・怖い話】
あらすじ
小学校5年生の夏、主人公と友人の慎、淳が野良犬ハッピーとタッチと共に過ごした秘密基地。夏休みの一晩泊まりの冒険は、夜の音に怯えながらも楽しげだったが、途中で謎の人物を尾行したことで、次第に恐怖の連鎖が始まった。
尾行の末、藁人形に釘を打つ中年女性に遭遇し、逃げるも彼女に執拗に追い回され、ハッピーとタッチが犠牲となる。淳の名前が秘密基地に呪いのように刻まれ、彼の精神は次第に追い詰められていった。その後、中年女性は主人公の自宅に現れ、恐怖は頂点に達するが、警察のパトロールにより彼女は逮捕される。
5年後、3人は再会する。中年女性は社会復帰し、病院で働く姿を見せていた。彼女は謝罪し、過去を反省している様子だった。3人はその変化を信じようとしつつも、過去のトラウマが完全には消えない。退院した淳を迎えて再び結束を固め、事件の教訓と向き合いながら少しずつ成長していく……
第1章:秘密基地の設立と友情
夏の始まり、主人公たち数人の仲間は学校の帰り道に話し合い、裏山に秘密基地を作る計画を立てた。放課後や週末になると、彼らは手に入る材料を少しずつ持ち寄り、汗をかきながら作業を進めていく。木の枝を組み合わせて骨組みを作り、段ボールで壁を補強しながら、一つ一つ完成に近づいていくたび、胸が高鳴った。
秘密基地は、彼らにとって大人の目が届かない特別な世界だった。中に入ると、外の現実を忘れられる。小さな基地の中には、彼らが集めた宝物やお菓子の隠し場所があり、基地の周囲には野良犬が集まってきた。彼らは犬たちを「仲間」と呼び、名前をつけては餌を与え、一緒に遊んだ。
完成した基地は、汗と泥の結晶だった。仲間たちは互いに顔を見合わせ、笑いながら「ここが俺たちだけの国だ」と誓い合った。これが彼らの友情をさらに深め、同時に未知の冒険と恐怖の幕開けとなる運命の場所になるとは、誰も予想していなかった。
第2章:森の奥で見つけた謎の石碑
ある日、秘密基地で遊び疲れた仲間たちは、さらに奥の森へ探検に出かけることにした。子供たちにとって、森は未知の冒険が詰まった場所だ。木々が重なり合い、昼間でも薄暗い森の奥へ進むと、足元の土はしだいに湿り、ひんやりとした空気が漂っていた。
進むうちに、仲間の一人が苔むした石の角に足を引っ掛けた。「なんだこれ?」振り返ると、そこには古びた石碑がひっそりと佇んでいた。表面には何か刻まれているが、年月を経てほとんど読めない。それでもよく目を凝らすと、かすかに不思議な記号のようなものが浮かび上がっていた。
誰も意味がわからないながらも、その場の空気は一変した。おしゃべり好きの仲間たちが口を閉ざし、森の静寂が耳に迫ってきた。その石碑には触れてはいけないような、不思議な威圧感があった。しかし興味を抑えきれない彼らは、周囲を掘り返して石碑の全貌を探ろうとする。
そのうち、石碑の下から小さな穴が見つかった。穴の奥に光るものが一瞬見えたような気がして、誰かが「中に何かある!」と叫ぶ。しかし、そこから先を調べる勇気は出なかった。結局、その日は森を出ることにしたが、誰も心の中の疑問を拭えず、石碑が忘れられない存在となった。
第3章:石碑をめぐる噂
石碑の発見以来、仲間たちの中で「森の秘密」が熱い話題となった。学校での休み時間や放課後、彼らは石碑にまつわる想像を膨らませた。「古代人が埋めた宝物があるかもしれない」「呪いがかけられているんじゃないか」――様々な仮説が飛び交った。
噂はやがて学校全体に広まり、他のクラスの生徒たちも興味を示し始めた。一部の子たちは「そんなもの、嘘だ」と冷笑し、あるいは怖がる様子を見せたが、興味を持つ者も多かった。ついには「森に行って確かめてみたい」と言い出す者も現れる。
だが、実際に森へ行こうとする者は少なかった。森の奥深くに足を踏み入れることは、子供たちにとって冒険心と同じくらいの恐怖を伴うものだった。石碑を見つけた仲間たちは、次第に自分たちが選ばれたような特別な存在だと感じ始める。自分たちだけが知る秘密がある、そんな高揚感が彼らを結びつけていった。
第4章:不気味な夜の訪問者
ある夜、秘密基地に泊まることになった仲間たちは、何か胸騒ぎを覚えていた。風が強まり、木々がざわめく音が遠くから聞こえる。懐中電灯の明かりを頼りに、彼らは基地の中で雑談を続けていたが、ふと全員が口を閉ざした。
基地の外で、何かが動く音がしたのだ。最初は風が作る音かと思ったが、それは規則正しく地面を踏む音のように聞こえた。やがてその音は近づき、基地のすぐそばで止まる。
「誰だ?」勇気を振り絞って仲間の一人が叫んだが、返事はない。ただ、静寂だけが深まった。仲間たちは息を潜め、音が再び聞こえるのを待った。だが、それ以上の音はしなかった。
夜が明けると、彼らは基地の周囲を調べた。湿った土には、大人のものとも子供のものともつかない、不思議な足跡が残されていた。その形は動物のようでもあり、しかし人間の足跡のようにも見えた。仲間たちは困惑しつつも、これが森に隠された謎と関係していると確信し始める。
第5章:隠された洞窟の謎
森の探検を続けていた子供たちは、ある日、偶然苔とツタに覆われた洞窟を見つけた。洞窟の入り口には、小さな石碑と同じ記号が刻まれた岩が立ちはだかっている。その不気味さに足を止める者もいれば、「何があるんだろう?」と興味を抑えられない者もいた。中を覗くと、洞窟から冷たく湿った風が流れ出し、全員の背筋がぞくりと震えた。
それでも意を決した一人が「入ろう」と言い、懐中電灯を片手に暗闇へと足を踏み入れた。洞窟内は薄暗く、壁には謎めいた彫刻が刻まれていた。それらは、古代の儀式のようにも見え、どこか禍々しい雰囲気を醸し出していた。その中でも特に目を引いたのは、大きな目を持つ奇妙な生物の姿だ。
奥へ進むと、大きな石の扉が姿を現した。扉の表面には再び石碑と同じ記号がびっしりと並んでおり、中央にはくぼみがあった。「ここに何かをはめる必要があるんだ」と呟く声に、全員がうなずく。しかし、その鍵らしきものはどこにも見当たらなかった。子供たちは、この扉の先に重要な何かが隠されていると確信した。
第6章:禁忌の地
洞窟の発見から数日後、子供たちは森の謎を解く手がかりを探すため、地元の図書館へ向かった。古い記録や地図を漁る中で、森の過去にまつわる驚くべき事実を知る。文献によると、その森は古くから「禁忌の地」と呼ばれ、村人たちは決して近づかない場所だったという。
記録には、森で目撃された不思議な光や、謎の失踪事件が記されていた。また、森の奥にはかつて古代の部族が住んでおり、彼らは「森の守護者」と呼ばれる存在を信仰していたという。その守護者が何者なのか、詳細は書かれていなかったが、部族が守護者の力を恐れて洞窟を封印したことが示唆されていた。
これらの情報は、子供たちが発見した洞窟と石碑に関係しているのではないかという疑念を強めた。次第に、彼らは自分たちの手でこの森に隠された秘密を解き明かす使命を感じるようになっていった。
第7章:揺れる絆
森の謎に夢中になる子供たちだったが、その熱意が全員に共通しているわけではなかった。中には、「もうやめよう、これ以上は危険すぎる」と不安を訴える者もいた。一方で、「こんな機会は二度とない!やり遂げよう」と主張する者もいる。意見の食い違いが徐々にグループの中に亀裂を生み出していった。
特に、洞窟の奥に潜む未知の存在について話し合う時、衝突が激しくなった。「もし扉の向こうに危険なものがあったらどうするんだ?」という懸念に対し、「怖いからといって、すべてを諦めるのか?」という反論が飛び交う。皆の顔に険しい表情が浮かび、雰囲気は険悪さを増していった。
それでも、森の謎を諦めきれない思いは全員に共通していた。ある日、一人が「一度だけ、洞窟をもう一度調べよう。そこで最終的に進むかどうかを決めよう」と提案する。渋々ながらも全員がその案に賛成し、再び洞窟を訪れることが決まった。
第8章:扉の鍵
再訪した洞窟で、子供たちは前回見逃していた小さな発見をする。石の扉の足元に埋もれるようにして、金属の破片が光っていたのだ。それは、扉の中央にあるくぼみにぴったりはまりそうな形をしていた。しかし、鍵はこれ一つではなさそうだった。「これ、鍵の一部なんじゃない?」と誰かが声を上げる。
手にした破片をじっくり観察しながら、彼らはこの洞窟以外のどこかに残りの鍵のかけらが隠されているのではないかと考え始める。扉を開けるためには、すべてのかけらを集めなければならない。
この発見は新たな興奮を引き起こした。彼らは破片を手がかりに、洞窟や森の中をさらに詳しく調査することを誓う。洞窟の奥にある秘密を知るため、そして自分たちの冒険を完成させるために。
第9章:散りゆく欠片
子供たちは洞窟の扉を開ける鍵の残りを探すため、森全体をくまなく探索し始めた。彼らは小さな手がかりすら見逃さないよう注意深く歩を進めたが、森の広大さとその静寂が時折不安をかき立てた。
ある日、森の北側にある古びた祠を見つけた。その中には古代の部族が使っていたと思われる道具や装飾品が散らばっていたが、特に目を引いたのは、祠の中央に置かれた奇妙な石板だった。その表面には、洞窟の扉と同じ記号が刻まれており、さらに扉の中央にあるくぼみの形に似た窪みがもう一つあった。
石板を慎重に調べた結果、彼らは隠し仕掛けを発見した。石板を動かすと、底から小さな金属片が姿を現した。それは、洞窟の扉にあったくぼみにはまりそうな形状をしていた。「これも鍵の一部だ!」全員の表情が一気に明るくなった。しかし、それと同時に「他にも鍵が必要なのでは?」という疑念も頭をよぎる。
森にはまだ解かれていない謎があることを確信しつつ、子供たちは更なる探索を続けることを決意した。
第10章:奇妙な影
探索を続ける中で、子供たちは時折自分たちを見つめる奇妙な視線を感じるようになった。森の奥深くで見たはずの影が、すぐに消えたり、どこからか聞こえる低いざわめきのような音が彼らの心を揺さぶった。
ある夜、キャンプを張って休んでいると、突然森の奥から不気味な光が現れた。それは青白くゆらめきながら漂い、まるで彼らを洞窟の方向へ誘うかのようだった。一人が恐る恐る「追いかけてみよう」と提案するも、大半は反対した。「何が起きるかわからない」と怯える声が上がる中、好奇心に駆られた数人がその光を追いかけた。
光を追って行き着いた場所は、巨大な古木が立ち並ぶ広場だった。その中心に、奇妙な形の台座が鎮座していた。台座には再びあの記号が刻まれており、その中央に三つ目の鍵が埋め込まれているのが見えた。しかし、手に取ろうとした瞬間、背後から低いうなり声のような音が響き渡る。それは、この森に潜む何者かの警告のようだった。
第11章:試練の始まり
三つ目の鍵を持ち帰った子供たちは、何かに見られているような不安に駆られながらも、これで扉を開ける準備が整ったのではないかと胸を弾ませた。しかし、洞窟に戻り扉の前で鍵を確認してみると、まだ一つ欠けていることが判明した。
「やっぱり最後の一つがどこかにあるはずだ」そう確信した彼らは、森の奥地へとさらに踏み込むことを決意する。しかし、その行く手には数々の試練が待ち構えていた。道中、足元が急に崩れる罠のような地形や、急に濃くなる霧など、森そのものが侵入を拒んでいるかのようだった。
試練を乗り越えながら、彼らは最も古い木々が立ち並ぶ区域へと辿り着いた。そこには長年誰の手も触れていないと思われる大きな祭壇があり、その上に光を放つ金属片が置かれていた。ついに最後の鍵を見つけたのだ。
しかし、鍵を手に取った瞬間、地響きとともに森全体が揺れ始めた。空が急に暗くなり、奇妙な囁き声が四方から響く。子供たちは急いで洞窟へと引き返した。
第12章:封印の解除
扉の前に戻り、四つの鍵を揃えた子供たちは、ついにそのすべてを中央のくぼみに当てはめた。鍵を押し込むと、鈍い音を立てて扉全体が振動し始める。そして、ゆっくりと扉が開いていき、冷たい風とともに洞窟の奥が姿を現した。
奥には広大な空間が広がり、その中心には輝く水晶のような物体が浮かんでいた。それは、まるで生きているかのように脈動し、神秘的な力を放っていた。「これが…森の秘密?」子供たちは立ち尽くし、言葉を失った。
しかし、突如として洞窟全体が揺れ始め、背後から扉が閉まり始める音が聞こえた。「急がないと出られなくなる!」一人が叫び、全員が出口へと駆け出した。水晶の力を手に入れるべきか、それとも生還を優先するべきか、彼らは究極の選択を迫られることとなる。
第13章:輝きの代償
水晶を目の前にした子供たちは、その神秘的な輝きに圧倒されながらも、迫り来る危機に戸惑いを隠せなかった。「この水晶は何なのか?」「これを持ち帰るべきなのか?」その場にいた全員の間で意見が割れる。
ある者は「このまま放置しておくべきだ」と主張した。それが森や洞窟を守る鍵であり、持ち出せば何か大きな災いが起きると恐れたからだ。しかし別の者は「これを村に持ち帰れば、みんなを救えるかもしれない」と説いた。水晶の輝きは、彼らがずっと追い求めていた答えそのもののように見えた。
最終的に、グループのリーダー的存在であった少年が「ここに残る時間はない。持ち出すしかない」と判断し、慎重に水晶を抱え上げた。その瞬間、洞窟全体が激しく震動し始め、岩肌に亀裂が走る音が響き渡る。洞窟の外からは、低いうなり声が轟き、森全体が目覚めたかのようだった。
「急げ!」叫び声と共に子供たちは出口へと全力で駆け出した。
第14章:森の怒り
洞窟から脱出した子供たちは安堵する間もなく、森の中で新たな異変に直面した。空は不自然に暗くなり、木々がまるで生きているかのように動き始めた。枝が彼らの進路を塞ぎ、地面が裂けて逃げ道を消していく。水晶を手にしたことで森の怒りを買ってしまったのだと、全員が悟った。
彼らは何とかして森を抜け出そうと必死だったが、進むたびに道が消え、また新たな障害が現れる。追いつめられた子供たちは、森の中心へと吸い寄せられるように追い込まれていった。そこには古びた大木がそびえ立ち、その根元には奇妙な紋様が輝いていた。
突然、空に雷が走り、光の柱がその大木を照らした。そこに現れたのは森を守る存在――巨大な影のような姿をした守護者だった。守護者は子供たちに向かい、低く響く声で問いかけた。「その輝きを手にする覚悟はあるか?」
第15章:試される意志
守護者の声に圧倒されながらも、少年は水晶を抱きしめながら答えた。「この力が人々を救えるのなら、どんな代償も受け入れる!」
守護者は沈黙したまま、子供たちを鋭い目で見つめていた。すると突然、大木の周囲に光の輪が浮かび上がり、そこに子供たちは引き込まれた。目の前には過去の出来事が映し出され、森がどのようにして生まれ、守られてきたのかを知ることとなった。
かつて、この森は多くの生き物にとって楽園だった。しかし人間がその豊かさを求め、無分別に木を伐採し、土地を侵略したことで森は次第に力を失っていった。水晶は森の生命そのものであり、それを持ち去ることは森の死を意味していたのだ。
「それでも持ち帰るつもりか?」再び守護者が問いかけた。子供たちは言葉を失ったが、少年は震える声で言った。「森を守る方法があるのなら教えてほしい。俺たちは村を救うためにここに来たんだ。」
第16章:最後の選択
守護者はしばし黙り込み、やがて「その意志を信じよう」と言葉を発した。すると水晶が少年の手から浮かび上がり、輝きを増していった。「ただし、この力を得るには、誰かが森にその命を捧げねばならない。」
全員が驚愕した。「命を捧げる?」彼らの中で葛藤が広がった。そんな中、リーダーの少年が静かに立ち上がり、「俺が残る」と言った。「この森と水晶を守ることで、村が救えるなら、それが俺の使命だ。」
他の仲間たちは彼を止めようとしたが、少年の意志は固かった。彼は静かに水晶の前に立ち、目を閉じて覚悟を決めた。
第17章:新たな守護者
少年が水晶に触れると、その輝きが彼の体に吸い込まれていった。同時に、森全体が静けさを取り戻し、動き続けていた木々が元の位置に戻った。守護者は少年に微笑みながら言った。「お前の意志は森と一体となった。これからはお前がこの森を守る存在だ。」
少年はその場で目を閉じ、ゆっくりと大木の根元に姿を消していった。それを見届けた子供たちは涙を流しながら、森の出口へと向かった。少年の選択は、彼らの心に深く刻まれた。
第18章:帰郷
村に戻った子供たちは、森で起きた出来事を語った。村人たちは驚きとともに、少年の犠牲によって村が救われたことを知り、悲しみと感謝の念を抱いた。その後、森の中に入ることは禁じられ、村人たちは自然との共存を誓うようになった。
第19章:森の静寂
森は再び穏やかな姿を取り戻し、その中で少年が守護者として眠っていることを知る者は少なかった。しかし、森を訪れる風が彼の声のように響き、木々が揺れるたびに彼の意志がそこに宿っていることを伝えていた。
第20章:新たな希望
時が経つにつれ、村は自然と調和した生活を取り戻した。かつての少年たちも成長し、森を守ることの大切さを次世代に語り継いだ。そして、彼らの心の中には、森の奥で共に冒険した仲間の記憶がいつまでも輝いていた。
彼らが残した物語は、新たな希望と共に語り継がれていく。
[出典:801 本当にあった怖い名無し 2006/04/22(土) 03:48:18 ID:moTdWLP+O]
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