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【人見祐三子】不妊や死産を乗り越え妊活を頑張る女性の心と体をサポート。ひとりひとりに寄り添い伴走する「かかりつけセラピスト」~後編~

前半ではサロンを通しての活動、想いについてお伺いしました。後半では、教職員からセラピストに転身した経緯や、今後の展望についてなど、もう少し人見さんのお人柄について深く触れていきたいと思います。

高校の教職員からセラピストへ
一人一人の心にもっと寄り添いたい

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ーー保健体育の教員として15年間勤務されたところから、セラピストに方向転換された経緯についてお伺いしたいです。

私自身、教師という職業は「絶対になりたい!」と思ってついたので簡単に辞めるなんてとても考えられず、想像もしていませんでした。
当時も仕事としてやりがいを感じていましたし、特に部活動の顧問は楽しく、好きでやっていた部分も大きかったですね。

ただ、一方でプライベートは凄くギリギリの生活で。帰宅してから家のことや子供のことなどをワーっと勢いでやって、それこそ必死でした。子供をほったらかして仕事に行っているという気持ちもずっとありましたね。

ーーお子様のことが気がかりではある一方、やりがいもあり充実していた毎日だったのに、何かきっかけがあったのですか?

ええ。息子が小学1年生の時にやっと2人目を妊娠したんです。
その時「産休育休を3年間取れるし、これで息子との時間も少しはとれるかな?」とか「心理学やカウンセリングの勉強をしたい」など妊娠をきっかけに、具体的にやりたいことが頭に浮かんできました。

ーー妊娠をきっかけに産休育休を利用してやりたいと思うことが出てきたんですね。

そうなんです。息つく暇もないバタバタした日常から、具体的に仕事を休んで時間ができるという未來を想像した時に、息子との時間やカウンセリングなどを学びたいという気持ちを再確認して、「よし!ここで実行しよう」と。

ーーカウンセラーの資格もお持ちですが、それはセラピストになってからではなく先生時代に考えていたことだったんですね。

部活やクラスの一部の生徒とは、信頼関係ができていて、深い話ができたり、向き合えていると思える関わり方が自分なりにできていて、そこはとてもよかったし、やりがいを感じていた部分でもありました。

でも、私と関わりが薄い子の中にも、カウンセリングが本当に必要な子供たちが沢山いるとも常々思っていました。なのでもっと生徒を理解する手法として学びたかったんです。

ーーなるほど。先生として生徒と向き合うことをとても大切にされていたんですね。

そこが一番私のやりがいでもあり、もっと深くやりたい部分でもありました。
でも、具体的に計画を立てていた矢先に、残念ながら死産ということになってしまって……。

そこで、「また、あのドタバタとした日常を走り続ける毎日に戻るのか。」と現実をみた時に「休まずまた走りなおすことができるのか?」と初めて自問しました。

2人目の死産をきっかけに今までの人生、これからの人生を見つめなおす機会が訪れたんです。

ーー見つめなおした時にこのまま元通り教員を続けるのは違うかもしれないと?

はい、そうですね。このまま以前と同じ生活を続けていく道と、全く違う道をいくという2つの選択肢が思い浮かびました。

続けるとしたら、カウンセリングなどを学ぶためにも2年は休ませてもらいたい。でも、もし手法を学んで資格を取り学校に戻ってきたとしても、この現場で「納得のいくカウンセリングがちゃんとできるのだろうか?」と考えた時に「難しいのかもしれない」と思いました。

ーー学校というフィールドや環境では自分が理想としている生徒との関わり方ができないと思ったということですか?

その通りです。私はクラス40人全員平等に接したいし、関わりたい。けれど、現実的にはかなり難しいです。乱暴に言うと「1クラス40人もいらない!10人でいいのに」と思っていました。生徒と関わるところを一番大切に時間を取りたいのに、十分に時間が取れず、その他のやらないといけないことも多くて、はがゆさがありました。

また、先生という立場から40人の生徒に向かって、上から「ああしなさい、こうしなさい」と言いたいわけではありませんでした。私の理想は、同じ目線に立って言ったり、考えたりすることです。

でも、体育教師というと当時は生活指導の役割を担うことも多く、学校から求められる先生像と自分がなりたい先生像に乖離があるという気がずっとしていました。

ーー改めて立ち止まって考えてみたら、自分が理想としている関わり方ができていないと感じたと。

はい。もっともっと一人一人に寄り添いたいけれど、学校のシステムや現状の中ではどうしても難しい。自分の理想としているのは1対1でじっくりと寄り添う関わり方なんだと改めて確認したというか、実感しました。

それで、1対1の関係性を構築していくような関わり方ができる新しいことは何かないだろうかと。15年自分なりに精一杯、教師をやってきたし、これからの15年は違う道を選んでもいいかもしれないと直感的に思ったんです。

メディカルアロマとの出会い
1対1の関係性をじっくりと大切に構築したい

ーー1対1の関わり方ができる新しい職業が「セラピスト」だとそこにたどり着いたのには何かきっかけがあったのですか?

一人一人に寄り添うという部分を大切にしながら、次にできることはないかと考えていた時に、ふと思い出したんです。妊活中、病院に通っていた時に、院内にあるサロンに行ったことを。

お薬や注射だけではなく「自分の体の中にある力を高めたり、促進させたりすることがセラピーでできるんだ!」ということを初めて知って、衝撃を受けました。

サロンというと私の中では、エステとか美やリラックスというカテゴリーの中にあるものと思っていたので、病院内で西洋医学に替わる、代替療法や補完療法として行っているということにも驚きがありました。

ーーそれがメディカルアロマとの出会いだったんですね。セラピーを実際に受けて自分でも体の変化を感じたんですか?

一度の施術で体が凄い変化したというよりかは、自分の体が凄く緊張していたんだっていう状態にセラピーを受けて気がついたんです。

私は、昔から病院が苦手で妊活中も行くのがとても嫌でした。でも検査だけでもと頑張って通っていたんですよ。その時にサロンにふらっと入ったんですが。そうしたら、セラピーをしてくれた先生の手がとっても温かくて、優しくて。

手で触られている時に「ああ、私は凄く緊張していたんだ、内心はとても嫌だと体が反応していたんだ」と感じて、同じ苦手な病院内なのに「こんなにも癒されるのか!」と。「癒されるってこういうことなのかな?」と体感したんです。

ーー今、人見さんがサロンで大切にされていることを実際体感されたんですね。サロンは1対1ですしね。

そうなんです。一人一人と向き合ってできることで何かないかと探していた時に、先生がされていた妊活を頑張っている方に寄り添い、心身ともに癒す活動がすごくしっくりきて。直観的に「これだ!」と。

そこからは、早かったですよ(笑)。まずはメディカルアロマの勉強をしようと学校に通い資格を取り、手技を学ぶためにスクールにも通いました。その後はリラクゼーションサロンで働きながら実際にお客様に施術をし経験を積みました。

スクールに通っていた時に「言葉使いがちょっと……。接客も学んだ方がいいのでは?」とも言われたのでホテルのスポーツ施設で働きながら接客も勉強しました(笑)。
同じ時期に、カウンセリングの資格やタイ式のマッサージやヨガなども学び、最後に初めてセラピーを受けた先生のところで、ファータイルなど今の土台となるところを学びました。

ーー「もりのいるか」を開くまでの準備期間として4~5年間、集中して学ばれたのですね。すごい行動力です。

接客まで学ぶって他の人ではあまりないかもしれませんね(笑)。目標が定まると後は実践していくのみということで、とにかく知識と経験を詰め込みました。

そして、今の「もりのいるか」をオープンするに至ったんです。今、振り返ってみれば、2人目の妊娠や死産というきっかけがなければ、自分の人生を改めて見つめなおして、軌道修正することはなかったと思うので、本当に感謝しています。何かきっかけがないと止まれなかったと思うんです。

代替療法として心身を健やかに導く
夢は医院の中でセラピーをすること


ーー人見さんのストーリーをしっかりとお伺いできました。セラピストとして今後さらにやっていきたいことなどはありますか?

教師は15年やりました。なので15年はセラピストとしてやろうと決めています。サロンが今8年目なので、後7年ですね。そうしたらちょうど60歳になるんですよ。そこでまた一度立ち止まって考えようと思っています。

今後の展望としては、一番最初にサロンで出会った時の先生の状態になりたいということでしょうか。

ーーファータイルを教えてもらった先生と同じ状態になるとは?

私も、病院内で代替療法としてセラピーをするということです。それが目標です。今は自宅のサロンだけですが、いつかは院内で同じことをしたいんです。もちろん「もりのいるか」は続けていきますよ。

週7日あるうちの、4日は自宅サロン、2日は病院、1日がお休みというのが理想ですね。

ーーとても素敵ですね。病院内というのがポイントなんですか?

先程もお話したかもしれませんが、西洋医学と肩を並べる形で、代替療法として認識してもらったうえで、選択肢の一つとしてセラピーも選んでもらえるようになっていけばいいなと。

そう思うと、病院内にサロンがあるということには大きな意味があります。
西洋医学の先生にも認めてもらうというか、理解してもらって、同じ立ち位置に立てたらいいなという夢があります。

ーー患者さんにとっても、同じ病院内で科が違うようにメディカルアロマやファータイルなどの自然療法を選べるのはとてもいいように思います。

そうですよね!病院というと西洋医学のイメージ強いですが、それだけじゃなくて、ファータイルもそうですが、漢方や鍼灸などの東洋医学もあって、自分で選んだり、併用できたりする環境がいつか整えばいいなと思います。

それぞれ得意分野が違うといいますか、漢方などの東洋医学は未病や不定愁訴など病気まではいかないけれど辛い状態の時や体質改善に効果的だったりしますし、ファータイルなども術後の衰えた体の回復を助けたりするのに力を発揮したりもしますので、そうやって病院内で選択肢のひとつとして存在できるようになれば嬉しいです。


人見さんに前編、後編とお話をお伺いして、教師とセラピストと職業は全く違えど、核にあるのは「一人一人に寄り添い、貢献したい」という想いで、原動力にもなっているのではと感じました。また、妊娠や出産という部分で、ご自身の辛かった経験を全て生かして、今のサロンが誕生し、そこで輝いている一人の女性としてとても素敵だなと改めて思いました。まさに「人生には無駄なことは一つもない」ということを体現されている人。これから進化していく人見さんからも目が離せません。

プロフィール:人見祐三子(ひとみゆみこ)
1993年から15年間、県立高校の保健体育の教職員として働く。自身の第2子妊娠・死産をきっかけにキャリアを方向転換。代替療法やメディカルアロマの勉強を始め「日本アロマセラピー統合医学協会メディカルアロマセラピスト」「チェンマイクラシックアカデミー(CCA)タイ古式マッサージセラピスト」の資格を取得。スポーツ施設やサロンで働きながら、ホットストーンセラピー、マタニティセラピーを習得し、2016年に自宅サロン「もりのいるか」を開業。その後「ルーシーダットンインストラクター」「国際ホリスティックタッチケア協会妊活セラピスト」を習得し、妊娠を望む女性をはじめ、更年期障害など体の不調に悩む女性たちの心身を癒している。


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