【日本フィギュアスケートの将来〜女子編】2023年5月1日
現在、坂本花織が日本のトップとして君臨しているが、これほど「棚からぼたもち」という言葉が相応しい選手はいないだろう。5年前にピークを迎え、4回転はもちろん、まともなアクセルも飛ぶことができず、指摘されていた体力増強のためのサイズアップは技のキレさえも失わせてしまった。再起をかけた2020〜2021シーズンも紀平梨花に大敗し、このまま消えてしまうと思われていた。しかし、紀平梨花の大怪我により日本のエースに再臨。
ただ2021〜2022シーズンはロシア15歳軍団が4回転を飛ぶようになり、表彰台はおろか6位以内に入ることも難しくなっていた。さらにカミラ・ワリエワが登場すると、その差は歴然。別の競技をやっているかのような差になってしまった。しかし、そこにロシアの薬物問題が発生。ロシア勢が大会からいなくなると、押し出されるように坂本花織はトップに。
4回転を飛ぶロシア勢がいないことを良しとして、坂本は4回転を挑戦せず、浅田真央以下のプログラムでフィギュアスケートのレベルをキムヨナ時代まで戻してしまったのだ。
キムヨナは17歳時点でのプログラムを引退まで変えることはなかった。この時代、女子フィギュアはいっさいの成長がなく、ただ一人浅田真央だけが抗い続けていたのだ。そんな時代に再び戻されてしまうのかと思った矢先、浅田真央の後継者たちが登場してきた。
その最右翼が島田麻央。浅田真央からもらったという名前をつけた彼女は、親の思いをわずか14歳で叶えることに。2022〜2023シーズンの世界ジュニア王者。そしてシニアに混ざって参加した全日本では3位という成績。トリプルアクセルに4回転トーループを取り入れたプログラムは回転不足で減点が大きかったものの、坂本花織の名前を一気に霞ませてしまったのは言うまでもない。
同じ全日本で5位入賞の千葉百音も注目だ。シニア挑戦1年目でありながら四大陸選手権3位と好成績を残し、回転不足になることは多いが、もっとも難しいジャンプであるルッツを多用。3回転ルッツからの3連続ジャンプの破壊力は抜群だ。
15歳軍団の筆頭である中井亜美はすでにシニアの貫禄だ。アクセルはもちろん、6種類の3回転を正確にこなす。世界ジュニア大会3位に全日本4位と実績も十分。彼女に続く15歳軍団の柴山歩は全日本10位、ビジュアルも人気の櫛田育良は全日本8位と全日本のシニア勢を脅かした。
すでに将来の代表候補と言われている吉田陽菜はジュニアGPファイナル6位の実績。全日本でも6位入賞。彼女もアクセルを含む6種類の3回転を飛ぶ選手だ。
最後は11歳の金沢純禾。10歳で3回転5本成功した天才で、早くもポスト島田麻央の声が高い選手。
18歳の千葉百音を先頭に、紀平を飛び越えてエースとの呼び声高い島田麻央。その次の世代の金沢純禾と揃う日本のジュニアはすでに現時点のプログラムで坂本花織を全員が超えている。
浅田真央に憧れた子供達は順調に育ち、恐ろしいほどの層の厚さになっている。日本フィギュアスケート女子の将来は安泰と言えるだろう。