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【クワッドアクセルの時代へ】2023年12月11日

 フィギュアスケートのグランプリファイナルが閉幕した。男女それぞれ6名の12名で争われるシングルにおいて、日本人が6名という快挙。中国開催だったこともあり、その多くが馴染み深い日本人選手を応援した。  ただ、話題をさらったのは米国のイリア・マリニン。  フィギュアは2分40秒でおこなわれるショートプログラムと4分でおこなわれるフリー(ロングプログラム)で行われ、予選ではショートの点数で足切りと上位から6名ずつのグループ分けが行われる。グランプリ大会は世界選手権、四大陸選手

    • 【大谷翔平の選択】2023年12月10日

       ロサンゼルス・エンジェルス(アメリンカンリーグ西地区)一択と思っていたが、大谷が選んだのはロサンゼルス・ドジャース(ナショナルリーグ西地区)だった。しかも10年契約。大谷自身も「最後の球団」として選択した。このチームと大谷には10年にもわたる長い物語があった。  移籍先の候補に上がっていたのは上記2チームの他は、トロント・ブルージェイズ(アメリンカンリーグ東地区)、サンフランシスコ・ジャイアンツ(ナショナルリーグ西地区)、シカゴ・カブス(ナショナルリーグ中地区)の3チーム

      • 【宇野昌磨の回転不足とランピエールの存在】2023年12月4日

         先日のグランプリシリーズ第6戦日本大会、いわゆるNHK杯での宇野昌磨の演技は素晴らしかった。素人目には完璧に見えてたのだが、あまりの点数の低さに驚いた。  実際にはフリーで186.35点。ショートとの合計286.55点は素晴らしい点数であるのだが、誰もが余裕で300点は超えてくると思われたから低く感じられたのだ。この理由はすべてのジャンプで回転不足が指摘され、GOE(Grade of Execution)すべてがマイナス評価になったためだ。これがすべて0もしくは+になって

        • 【河村勇輝世代の新生バスケ日本代表】2023年8月28日

           バスケットを語るうえで田臥勇太の名前は外せない。能代工業時代、3年連続で高校総体、国体、全国高校選抜の3大タイトルで優勝。史上初、その後誰も成し遂げていない高校9冠を達成。高校時代の敗戦はわずか1戦のみだった。2004年11月1日、NBAフェニックス・サンズと契約した田臥は日本人として初めてNBAでプレー。NBA最高のポイントガードだったナッシュと交代で出場し、初得点も記録。岡山恭崇(NBAドラフトにかかった最初の日本人。身長230cm)以来はじめて日本人が米国で注目された

        • 【クワッドアクセルの時代へ】2023年12月11日

        • 【大谷翔平の選択】2023年12月10日

        • 【宇野昌磨の回転不足とランピエールの存在】2023年12月4日

        • 【河村勇輝世代の新生バスケ日本代表】2023年8月28日

          【SCANDALというバンド】2023年8月12日

           バンドブーム全盛を経験し、iPhone音楽再生数が現時点でも「BOØWY」が1位である自分だが、最近は娘の影響もあり、adoやEve、Yoasobiなどがメイン。洋楽はすっかり分からなくなり、邦楽もサザン以外はあやふやな状況。そんな中で比較的いまでも聞いているバンドがSCANDAL。  日本を代表するガールズバンドで、世界でも活躍する彼女たち。ライブ中心のため日本のテレビ番組にはほとんど出演しない彼女たちがどんな存在か知らない人も多いと思うため、恒例の1万字を超える、稿料

          【SCANDALというバンド】2023年8月12日

          【ジャストシステム「一太郎」の栄光と衰退】2023年6月12日

           この記事の中でWindows95がWordと抱き合わせで販売され一太郎が切り替えられたと書かれているが、実は一太郎もWindows95と抱き合わせで販売されていた。つまり、Windows95が発売された直後も一太郎の快進撃は続いており、Wordに負けたわけではない。  ではなぜ一太郎は衰退したのか。  実は当時(現在も)求められていたアプリケーションは一太郎やWordではなくExcelだった。巨大な計算機であったパソコンは主に表計算専用機として使用されており、一太郎やW

          【ジャストシステム「一太郎」の栄光と衰退】2023年6月12日

          【テニス:ボールガールへの危険球】2023年6月6日

           全仏オープンテニスに出場中の加藤未唯がボールガールにボールを当ててしまったことで失格処分となった。  これがテニス界では大いに荒れている。これを3つの視点から説明しよう。 1. ボールガール(ボールボーイ)への返球について ネットにかかったボールやコート内に転がったボールを回収するボールガール、ボールボーイはテニス中継ではおなじみだ。ただ、広いコート内でボールを追い回す彼女たちは試合を中断させる要因であり、これにイラつく選手も多い。しかしイラついたからといって彼女らに

          【テニス:ボールガールへの危険球】2023年6月6日

          【大食い番組の終焉と競技フードファイト】2023年5月8日

           「魔女菅原」の愛称でテレビ東京「TVチャンピオン」などの大食い番組で活躍してきた菅原初代さんが大腸がんで亡くなった。59歳という若さだった。自分はこのフードバトル系の番組が大好きだったので、ちょっとばかりその魅力を語り、菅原さんへの供養にしたいと思う。  大食い番組の元祖は1989年に放送されたテレビ東京の「全国大食い選手権」と言われている。その後「TVチャンピオン」として様々な競技を行う番組の中に組み込まれ、定期的に「大食い選手権」を開催。赤阪尊子、中嶋広文、岸義行、そ

          【大食い番組の終焉と競技フードファイト】2023年5月8日

          【アイルトン・セナのこと】2023年5月2日

           1994年5月1日。夜中に電話が鳴った。  1983年からスタートさせたホンダのF1参戦は2度目であり、通称「第2期F1参戦」と呼ばれている。ロータスに裏切られた第1期の反省から自社チームではなくエンジン供給という形を取る。さらに海外チームのエンジニアの引き抜き、テストチーム編成、大資本の開発部署設立など準備万端で始めたこともあり、翌84年にエンジン供給したウイリアムズが初勝利。86年にコンストラクターズ・タイトル獲得、87年はコンストラクターズとピケのドライバーズチャン

          【アイルトン・セナのこと】2023年5月2日

          【日本フィギュアスケートの将来〜女子編】2023年5月1日

           現在、坂本花織が日本のトップとして君臨しているが、これほど「棚からぼたもち」という言葉が相応しい選手はいないだろう。5年前にピークを迎え、4回転はもちろん、まともなアクセルも飛ぶことができず、指摘されていた体力増強のためのサイズアップは技のキレさえも失わせてしまった。再起をかけた2020〜2021シーズンも紀平梨花に大敗し、このまま消えてしまうと思われていた。しかし、紀平梨花の大怪我により日本のエースに再臨。  ただ2021〜2022シーズンはロシア15歳軍団が4回転を飛

          【日本フィギュアスケートの将来〜女子編】2023年5月1日

          【あまちゃん再放送記念 朝ドラコラム】2023年4月17日

           「あまちゃん」以前以後としても過言ではないほど、このドラマがNHKに与えた影響は大きい。現在108本も作られている朝ドラ史上でも常に1位となるこのドラマは、能年玲奈という怪物を産んだだけでなく、NHKそして民放ドラマのその後を大きく変えていった。  朝ドラが日本中に影響を与えた最初の作品は1966年に放送された第6作「おはなはん」だろう。ドラマが始まると同時に主婦が水仕事を一斉に止めてしまうため、水道の圧力が下がって出が良くなるという逸話は有名だ。そして1974年の第14

          【あまちゃん再放送記念 朝ドラコラム】2023年4月17日

          【ワールドベースボールクラシック第5回大会】2023年3月24日

           2017年に行われた第四回大会で米国が念願の優勝を果たしたことで当初の目的を果たしたと米国をはじめ各国はWBCの終了を報道。その後2020年までいっさいの情報が出ず、Webサイトも更新されないままになったことからWBCの終了が現実性を帯びてきていた。  放置状態のまま約3年が経過した2020年1月16日、第五回WBCの2021年開催がひっそりと告知された。しかし運悪くその年の2月よりCOVID-19が世界中で大流行。3月12日には無期限の延期とすることが発表。この年に開催

          【ワールドベースボールクラシック第5回大会】2023年3月24日

          【ワールドベースボールクラシック第1〜4回の流れ】2023年3月24日

           メジャーリーグの優勝チーム決定戦を「ワールドシリーズ」と呼ぶが、親善試合での日本の強さからその名称にメジャーリーグベースボール(MLB)が疑問を抱くようになった。さらに野球は、米国4大スポーツ(アメフト、アイスホッケー、バスケ、野球)の中でもっとも人気が薄くなってきており、国際野球連盟(IBAF)と協議のうえで「野球の世界一決定戦」開催が提唱された。ちなみに日本野球機構(NPB)は米国主導の取り組みに反対。ギリギリまで参加を表明せず、大会開催の1年前である2005年、正式に

          【ワールドベースボールクラシック第1〜4回の流れ】2023年3月24日

          【ブレードランナーとシド・ミード】2023年2月11日

           先日、久々にシド・ミードの名前を聞いたので、ちょっとばかり長いコラムを。  80年代のSF界でもっとも大きなトピックスは「サイバーパンク」という言葉の誕生だろう。日本を舞台に近未来世界を描いた「ニューロマンサー」(1984年)がその中心で、サイバーパンクとは、作者であるウィリアム・ギブスンとその友人であり「スキズマトリックス」などの作者であるブルース・スターリングによって世界中に広まった世界観を表現する言葉だ。のちに日本でも漫画「攻殻機動隊」で有名になるが、作者の士郎政宗

          【ブレードランナーとシド・ミード】2023年2月11日

          【伝説の終わりと始まり】2023年1月22日

           中学生棋士としてデビューした羽生善治の最初のタイトルは1989年で、その後もっとも永世獲得に苦労することになる竜王だった。読売新聞主催タイトルで、元は九段、その後十段となり1988年から竜王となったもの。初代タイトルホルダーは島朗。その次の年に防衛できず生涯唯一のタイトルとなったが、羽生に負けた際「羽生善治の最初のタイトルの対戦相手として私の名前は永遠に残る」という名言を残し、それは現実のものとなった。  ここから羽生の伝説は始まり、通算優勝回数152回、タイトル獲得99

          【伝説の終わりと始まり】2023年1月22日

          【鎌倉殿の13人】2022年12月19日

           昨日「鎌倉殿の13人」が最終回を迎えた。本当に素晴らしいドラマで、最後の1シーンまで面白かった。三谷幸喜らしい大胆な解釈がぴったりとハマったとも思える。「いだてん」を超えることはないが、大河の中でも優良作品の1つとして後世に語り継がれるドラマだと思っている。  「鎌倉殿の13人」は、歴史が好きな人には認められるだろう。ただ、歴史を勉強している人には拒否されるのではないだろうか。「真田丸」のときもそうだったように、三谷幸喜は正確に解明されていない歴史の1シーンを面白くさせる

          【鎌倉殿の13人】2022年12月19日