見出し画像

嫌いってほどでもないを目指して~紙コップでホットコーヒー飲むの怖い~

休みの日にカフェに行くことがある。
毎回僕は、ホットコーヒーを注文する。
ホットコーヒーを頼むと、熱くて一気には飲めないので、ちびちび飲むことになる。
そうすると、カフェでの時間を長くゆったりと過ごすことができるのである。

ある休みの日、読みたい本があったので、その本を集中して読むためにカフェに行った。そこで、例外なく僕はホットコーヒーを頼んだ。ついでにまだ朝の9時くらいだったので、その店はモーニングをやっており、パンにソーセージだけというシンプルなホットドッグも一緒に注文した。

そのお店は、ホットコーヒーをマグカップではなく、ふたが付いてる紙のコップで提供していた。
紙コップを受け取り、席についた僕は、テーブルにならんだホットドッグとコーヒーを見つめ、カフェで優雅な朝を迎えることにワクワクしていた。

まずは、コーヒーを一口飲もうと、狭い飲み口に静かにフーフーと息を吹きかけ冷ましながら、慎重にカップを斜めに向けた。

あちぃぃぃ!!

一口目はコーヒーの味を全く感じなかった。感じたのは痛みだった。
思っていた6倍熱いコーヒーを飲んだ僕は舌に軽いやけどを負った。

そう、この蓋つきの紙コップは、中身がまったく見えないので、普通のマグカップとは違い、コーヒーが口まで届くまでの距離感がわかりにくい。熱々のコーヒーがいつやってくるのか分からないので、やけどへの恐怖感と緊張感を持ちながらコーヒーを飲む必要があるのである。


僕は、コーヒーをいったん諦め、先にホットドッグを食べることにした。
ホットドッグを半分食べたあたりで、さすがに飲めるだろうと思って、飲み口に唇をつけてみた。

紙コップを持った右手で感じるコーヒーの熱。息を吹きかけるための助走として息を吸ったときに口に入ってくるコーヒーの湯気。
だめだ、やけどが怖すぎてまったく飲めない。
このまま僕はコーヒーの香りしか飲めないのだろうか。

ホットドッグを一口食べ、コーヒーを飲もうとするが、まだ熱くて飲めない。また一口食べ、コーヒーにチャレンジするけど飲めない。もう一口、飲めない…。
結局コーヒーを飲むことができないまま、ホットドッグを食ベ終えてしまった。

このやけど怖い問題を解決するのは、時間しかないと悟った僕は、仕方なくコーヒーを一旦諦め、本を読むことにした。

10分後、本に集中できたおかげで、コーヒーを飲める温度まで冷ますことができた。そして僕は、ようやくコーヒーを飲むことに成功し、コーヒーの香りではなく味を楽しむことができた。

でも、紙コップにはもう一つ問題点がある。
それは、蓋つきの紙コップは中身が見えないので、コーヒーを飲むペース配分が難しいことだ。
もっとも、カップを持ちあげれば重さがわかるので、その重さでどのくらい中身が入っているか予測することはできる。
しかし、例えば何か作業をしていて、作業の合間にコーヒーを飲んでいる場合、その作業に意識が向くことになる。
そのため、飲むときに紙コップを持ち上げることがあったとしても、その重みには意識が向かず、どれくらい中身が残っているか把握してないケースが多々ある。そうなると、気づいたらいつの間にかコーヒーがなくなっていたり、逆に作業に没頭しすぎて、びっくりするくらいコーヒーが残っていたりすることがある。

人は、受け取る情報の8割を視覚から得ている、という一説を聞いたことはないだろうか?この説から考えてみても、紙コップよりもマグカップの方が、視覚的に残量を確認できるため、飲むペースを調整しやすく、一方で紙コップはペース配分がしにくいのである。

ただ、一方的に紙コップを否定したいわけではない。紙コップはマグカップみたいに落として割るリスクがなく、ふたがついているのでコーヒーをこぼして、やけどをする危険性も少ない。
また、基本使い捨てなので、コーヒーを飲み終わった後に、ファミレスみたいにテーブルに置いたまま帰っていいのかな?それとも返却コーナーに返す必要があるのかな?と悩む必要がなくなる。あと、飲みきれないときは、そのまま家に持ち帰ることできるという利点がある。
(店側としても、洗い物が少なくなるし、衛生面の心配もいらないので、好都合。)

そう考えると、紙コップにもちゃんと良いところがあることがわかる。

なんか嫌いだなと思ったことでも、そこで嫌いという言葉を使って諦めるのではなく、なぜそれが嫌いなんだろう?と理由を探っていくと、逆に良いところが見つかることがある。
そして最終的には嫌いってほどでもなかったな、と思うことが多々ある。
だから嫌いってほどでもないな、くらいを目指して僕は、これからもこの複雑すぎる世の中を楽しく生きていきたいと紙コップを通して改めて思った。

読書をするつもりがいつの間にか、Noteに投稿する記事をメモ帳に書いていた。よし、そろそろ家に帰ろうかな。
あれ?メモ帳に書くのに没頭しすぎてコーヒーがめっちゃ余っている。
やっぱり紙コップで飲むと、ペース配分がむずいな。
でもそんな紙カップは嫌いってほどでもないな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?