【ゲームソフト紹介】零~zero~
今回紹介するゲームは『零~zero~』です。2001年にPS2で発売されました。
見てわかる通りホラーゲームです。
洋ゲーテイストのバイオハザードと対照的に、本作は典型的な和ゲーとしてデザインされています。古びた日本家屋を探索しながら恐怖を体感できるゲームです。
ストーリーは5章構成。序章がチュートリアルのような位置付けで、残り4章が本編です。
主人公は雛咲深紅(ひなさき みく)で、行方不明になった兄・真冬(まふゆ)を追って「氷室邸」にやってきます。そして、そこで恐ろしい「儀式」を目の当たりにすることに。果たして深紅は氷室邸から脱出できるのか?
ざっくり言うとこんなお話。
主人公は武器を持っておらず、代わりに「射影機」と呼ばれる特殊なカメラを使って戦います。主観視点で幽霊を撮影することでヒントを得たり、敵にダメージを与えることができます。
敵との距離が近いほどダメージが大きくなりますが、攻撃を受けるリスクも高まるため、ハイリスクハイリターンとなります。このあたりは恐怖の演出としても優れていますね。
射影機は幽霊を撮影したときに得られるポイントを消費し、強化することができます。射程距離を伸ばしたり、攻撃範囲を広げることができ、戦闘を有利に進められます。
しかし主人公の肉体強度は上げられないので、「華奢な女性が不気味な幽霊に追い回される」という構図は変わりません。
バイオハザードでも女性キャラはいましたが、ナイフやハンドガンを持っており、弱々しい感じは全くありませんでした。それと対照的ですね。
また、バイオハザードの雑魚敵(ゾンビなど)は特にバックグラウンドを持ちませんが、本作の幽霊は雑魚敵を含め、細かく背景事情が設定されています。しかもその事情が非常に悲しいものになっているのが特徴。
シリーズ第1作ということもあり、荒削りな部分もあります。雑魚敵の攻撃力がやたら高い、というか主人公が打たれ弱いのですぐにHPがなくなります。もっとも、これが恐怖感を与えているため、一概にマイナスポイントではありません。
また、ラスボスは触れると即死なのですが、このとき鏡石(HPが0になったとき自動で発動し、体力を全快するアイテム)を持っていても、発動できずゲームオーバーとなります。これは恐怖の演出だと擁護することは難しく、ゲームバランスの調整不足による理不尽な仕様だと思います。そもそも陰鬱な雰囲気でじわじわ追い詰められる「薄気味の悪さ」が本作のウリだっただけに、こうした雑な仕様は興醒めといえるかもしれません。この仕様はシリーズ3作目でやっと改善されます。まあ即死攻撃自体は残っていますが・・。
ストーリーに関しても作中の説明が少なく、脳内補完しなければならない面があります。ゲーム中に拾う日記や古文書を注意深く読まず、ただムービーを追うだけだとストーリーはよくわかりません。シリーズを重ねるごとに文書の比重が重くなり、読まないとわけがわからなくなります。私が以前考察記事を書いたのはこのためです。ストーリーに説明が不足しており、考察(空想)しないと辻褄が合わない。
ただ現在はネットが発達しているため、他のプレイヤーの考察を参考に自分でストーリーを読み解くことができます。考察好きなら楽しめるでしょう。
全体的に粗が目立つ作品ではあるものの、バイオハザードとはまた違った恐怖を味わえる「零~zero~」。難易度はアクションに慣れていないと難しいですが、やりこむほどに実力がつき、自分の成長を実感しやすいデザインになっています。次回作の『紅い蝶』は難易度がかなり易しくなっているため、本作が難しい方は『紅い蝶』で慣らし、物足りなくなった方は本作を遊んでみると良いでしょう。
ストーリーも万人向けではなく、かなり人を選ぶと思います。ですが、何かと世知辛い昨今、「人の弱さ」にフォーカスした本作のストーリーに触れ、寛容な心を取り戻すのも良いでしょう。もっとも、それと引き換えに恐怖を体感することになりますが 笑
最後までお読みいただき、ありがとうございました。