<読書記録>ショパンの流れる場所
「純喫茶トルンカ しあわせの香り」
喫茶店に集まる人たちの3つの物語です。
第一話「午後のショパン」
キーワードは
「再会とは、人生における一番身近な奇跡である」
もちろんフィクションではありますが
多くの人が思いがけない場所で様々な人と「再会」した経験があると思います。
最近思うのですが、意見が違う人でも、いつか何事もなかったように再会できるよう
決定的な言葉を投げつけず、穏やかに距離を取るようにしたいと思っています。
第二話「シェード・ツリーの憂鬱」
シェード・ツリーとはコーヒーの木を灼熱から守る役割の木のことですが
そこにコーヒーの木があるから、役割が果たせるわけで
人も、誰かを守るシェード・ツリーのような役割を果たしているつもりでも
守られる人が居て初めて役割を果たせるということや
同じ場面でも自分の心持ちの違いで行動は大きく変わる、そんなことを
なるほど、と思わせてくれます。
第三章「旅立ちの季節」
ここでも、長い年月を経たおもいがけない再会から
物語がスタートします。
相手の気持ちは、本人にしかわからないことで
こちらが憶測していることとは実際違うということ
若い頃は、聞きただすこともできないし
正直に気持ちを伝えることもできずすれ違っていくけれど
人生経験を重ねて再び出会った時には関係性も変わる
そんなことをなるほど、と思わせてくれます。
(第二章の感想と同じですみません)
この本を読んでいる間、何杯もコーヒーを飲みました。
香り高いコーヒーの描写があるたびに飲みたくなりました。
小説なんか役に立たない
実用書しか読まない・・・
そんな人がいますが
小説で語られている言葉は、筆者のエッセイでもあり
人生訓なのだと思います。