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やさしい香りのする秋に

最近は毎年金木犀の開花が遅いなあと思っていました。
10月上旬の松山地方祭と金木犀の香りが記憶の中で
リンクしている人が多く、地方祭の頃に、まだ咲いてないねと話題になります。
気温が下がらないと咲かないので、花の便りは関東の方が早いです。

普段は花のことなど話題にしない人も
金木犀が香ってきた、とか咲いているとか
よく話題にされています。

金木犀の名前ですが
「犀」は動物のサイのことで、木肌がサイの皮膚に似ていることから
木のサイということで木犀、原種の白い花は銀木犀
黄色い花は金木犀と呼ばれています。

中国では桂花と呼ばれていて
古くから、心身の健康に有効ということで
桂花茶や桂花酒として珍重されています。

日本では、最近まで香りを愛でるのがほとんどでしたが
最近のハーブアロマテラピーブームで
花を集めて、お茶やお酒、ジャムにする人も増えてきました。

我が家にも2本の金木犀があります。
30年間、一度も消毒や化学肥料を使っていない庭に咲いているので
私も花を集めて、ウォッカに漬けて、ちょっとした手土産に
しています。


花を見ると、繊細そうで、触ったら壊れそうですが
意外に花びらは硬くて丈夫なので、枝からしごき取ることができます。


洗うと壊れそう、と思われがちですが
水を弾くし、丈夫なので、ボウルでサッと洗って埃を落としてから
乾かして使います。

昔「りぼん」という少女雑誌に掲載されていた
田渕由美子さんの作品に、金木犀にまつわるものがあります。

単行本では「クロッカス咲いたら」の中に収録されています。



単行本も持っていましたが、処分してしまって
時々クロッカスが咲く頃に思い出しては
懐かしく、もう手に入らないと思っていたのですが

AmazonでKindleになっていて、嬉しいです。
毎年キンモクセイが咲くと読みたくなるので購入しました。

一人の少女が憧れの童話作家にファンレターを書きます。
思いがけなく作家さんからお返事が来て
庭のキンモクセイが満開なので、お茶会にと誘われます。

そこで出会った作家さんは、実は少女が子供の頃に
憧れていて、病気で亡くなったと思っていた人でした。

悲しい結末ですが、少女も、作家さんも再会できて
幸せだったことでしょう。

暑い夏に降り積もった心身の疲れがピークに達して
カリカリして、ああ、これはマズイな・・・と思う頃
ふっと鼻先にキンモクセイの香りが届いてくると
このお話を思い出します。

そして「やさしい」という言葉も。

Kindle本は495円。


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