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<読書記録>蒼ざめた馬を見よ 〜ロシアはずっと変わっていない

ロシアのウクライナ侵攻を契機に、高校時代に読んだ1冊の本を思い出しました。
1966年に出版された当時、ソビエト連邦としてブレジネフが最高指導者だった頃に書かれた短編小説です。

ロシアの文学者が書いたロシア国内では出版できない原稿を、日本の新聞記者が、受け取りに行って日本で出版するという内容で、最後にどんでん返しがあった、くらいの記憶しかありませんでしたが、改めて読んでみて、今の社会情勢に重ねて、当時は記憶にすら残らなかった様々なものに気がつきました。

この小説はフィクションですが、ストーリーに民主主義国が連携して、共産主義のソ連に自由が無いということを喧伝する、というような陰謀が伏線になっています。
ここでは、西側の陰謀のように扱われていますが、自由主義国対共産主義国の構図が今も少しも変わっていないことに驚かされます。

「蒼ざめた馬を見よ」というのは、小説の作品名として使われていますが、
新約聖書「ヨハネの黙示録」ではヨハネの夢に現れた4頭の馬が

白い馬 戦車
赤い馬 争い
黒い馬 飢餓
蒼ざめた馬 死

の象徴とされています。

小説の中の作品タイトルはそこからの引用だと思いますが、文中の作品とこれをタイトルにした意味がはっきりとは説明されていませんでした。

おそらく説明しなくても読者の想像に任せているのでしょう。

この本を手に取ったのは高校の図書館でした。
窓際の書架の上に置かれたこの本を手に取ったのは、誰かが書棚に返すのを忘れたのだろうと思って、戻しておこうとしたからです。
パラパラと中を見て、当時はミステリーをよく読んでいたので、続きが気になり、一気に読みました。

ソ連、ロシアという、それまで自分の中にはなかったことが芽生えた瞬間だったと、今もはっきり記憶しています。

それを契機に
「恋はルーブルでは買えない」
「ガン病棟」
「罪と罰」
と、軽いものからだんだんロシア文学らしい作品へと読み進めましたが
パタっと読まなくなったのは、登場人物の名前がややこしくて誰が誰だか、ページを戻らないと把握出来なくて、面倒になったからです。

それ以来遠ざかっていたのですが、最近は栞に、主だった登場人物の名前と簡単なプロフィールが書かれているのですね!!

若い頃に読んで良かったと思えるのは、登場人物に入り込んで読むので、ガンを宣告されて、悪化していく様子を体験した気分で、健康管理に気をつけるようになりました。

また、罪と罰では、犯罪者として逃げ回る苦しさを体験して、絶対犯罪者にはならない、と強く決意しました。
(そんなの当たり前ですけど)

 
余談ですが

ソビエト連邦の再興を目指してウクライナに攻め込んでいるのはプーチンだけが悪いように思われていますが、2019年に書かれたこの記事によると、ソ連邦崩壊を残念に思うロシア国民が増えてきているようで、ウクライナ侵攻は国民の意志のようにも思います。

https://globe.asahi.com/article/12066752


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