<読書>星新一の世界 「スターワーズ」〜「マタンゴ」
スターワーズ 星新一の言葉
星新一さんの言葉です。
この本は、星新一さんの次女 星マリナさんによって書かれています。
星新一については多くの人が出版されています。
全部を読んだわけではありませんが、熱烈な星新一ファンとしては
う〜ん、そうかなあ?と思う部分が必ずあります。
ところが、この本は、星新一さんを間近で見ていた娘さんが書かれただけあって
作品の中からではありますが、星新一らしい言葉が選ばれています。
高校時代夢中になって星新一さんのショートショートを読みましたが、こんな珠玉の言葉に、高校生の私は気づきませんでした。
コロナ禍で次々と中止された行事。
私たちは不本意ながら、時間を得て「深く考える」機会を与えられたのかもしれません。
出歩かず、本を読み、考え、力を蓄えて、アフターコロナに備えられたでしょうか?
「スターワーズ」
星新一さんの作品中の言葉が紹介されています。
高校時代に見たはずなのに記憶に残っていない言葉が今、素晴らしい輝きを放っています。どんな作品もそうだと思いますが、出会う年齢、環境によって受け取る情報は違っています。
大量の言葉から、ごく一部を・・・
星新一との出会い
星新一さんとの出会いは、高校時代、友人に「ボッコちゃん」を薦められて読んでみて、すっかりファンになりました。
ショートショートというジャンルで、短いものは1ページ、だいたい、2、3ページで、奇想天外なお話が完結します。
文庫を持っていると、ちょっとした空き時間を利用して楽しめます。
たぶん、彼の作品は全部読んでいる・・・はずです。
当時は、未来はこうなるかも・・・といいつつ「ありえない」ことのはずでした。
ところが、今、様々なことが実現していて、改めて見直すと驚きます。
地デジの「双方向」も、星氏は、お上が、国民の情報をすべて把握するという「ありえない」はずのショートショートをいくつも書いていますが、これは既に現実になっていますね。
アマゾンサイトを開くと、あなたは、こんな本をチェックしたのでこちらもお好きでしょ?と親切に私のプロフィールや嗜好までPCが語りかけてきます。こんな話題も星氏のショートショートの中にさまざま取り上げられています。
星新一さんの文章は、枝葉を徹底的に削ぎ落とした簡潔でわかりやすい文章で
情緒的な文章を好む方にはシンプルすぎるかもしれませんが
これぞ理系の文章、と大人になってから気づき、どんな方か調べてみると
父は星薬科大学の創立者で星製薬の創業者
母方の大伯父は森鷗外
父の死後、短期間星製薬の社長を務めたことがあり、日本の有名作家としては稀有な東証一部上場企業(当時)の社長経験者
東京大学農学部農芸化学科の卒業論文は固形ペニシリンの培養について
なるほど・・・・
星新一さんと初めて出会ったのは、高校時代とずっと思っていました。
ところが、それよりずっと前、小さい頃に出会っていたことがわかりました。
星新一との初めての出会い
小さい頃に、従兄に連れて行ってもらった映画「マタンゴ」
とにかくとても恐ろしくて、18歳で一人暮らしを始めた頃は、夜トイレに行こうと思ってこの言葉が脳裏に過ぎると怖くて、怖くて何度トイレを我慢して眠ったことでしょう。
社会人になってからも、暗い夜道でふと思い出すと、背中が震えて怖くて仕方なかったです。
あんなキノコのお化けが追いかけてくるとは思いませんが、記憶の中の映像や、怖いものが不意に現れる恐怖が蘇るのです。
子供たちが小学生の頃に、レンタルショップで、「マタンゴ」を見つけました。
帰宅して、子供たちに自分の思い出を話すと、見たい、見たいといいます。
自分のトラウマを子供にまで・・・と迷いましたが、怖かったら途中でやめようね、といいながら・・・映画が始まりました。
小学生ですから、船の中での大人のいざこざなどは面白くない様子でだんだん退屈していたころに、マタンゴが登場しそうな場面がやってきました。
マタンゴトラウマからの解放
そして、ついに、恐怖のマタンゴ登場! ところが子供たちは大爆笑なのです。
CGやリアルなメイクの特撮を見慣れている子供たちには、張りぼてみたいなキノコ人形は、おかしいやら可愛いやら、のようなのです。
木陰から不意に、マタンゴが現れると、また爆笑。
動きにくそうな着ぐるみですから、ヨタヨタしていてこんな子供に笑われてなんだか気の毒になってきました。
そこで映画について、調べてみるとなんと、製作に星新一さんのお名前がありました。
ストーリーは、こちらのブログに詳しく書かれています。
http://abysssky.blog28.fc2.com/blog-entry-27.html
ラストシーン、主人公が振り返った顔に、私は戦慄しましたが、子供たちは「汚い顔~」とまた笑いました。
笑っている子供達を見ているうちに、私のトラウマもすっかり消えていました。
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