喜びのエネルギーの使い方
まさみっちーは、人見知りを克服したコミュニケーショントレーナーです。探求を重ね、実践してきた知恵を武器に、クライアントの人間関係の課題に寄り添っています。
これは、そんなまさみっちーが立ち上げた「コミュニケーションジム」の一ヶ月の物語です。
◆ やりたいことが、実現した瞬間
「ようやく、きた!」
まさみっちーがコミュニケーションジム(通称「コミュジム」)を本格オープンしたのは、2021年8月。
それまで知人からの相談に乗りながら少しずつ進めていたプロジェクトが、ようやく屋号を掲げてスタートしました。
ここに至るまで、まさみっちーは会社勤めで5年、物販業で独立して5年、仕事の土台を積み重ねてきました。ようやく仕事や生活のペースがつかめて、これから本当に好きなことをどんどん仕事にしていけます。
そのために、今年は情報発信やオープン準備も着々と進めてきました。
↓コミュジム公式LINE↓
「ちょっと、相談してもいいですか?」
発信の甲斐あって、8月オープンから問い合わせも少しずつ増えてきました。
「最近がんばってるやん」
様子を見てくれていた友だちからの連絡もありました。
相談や再会が重なって、まさみっちーは手応えを感じていました。
「こういう働き方を、目指してたんだよなー!」
何年も前から夢見た生き方・働き方が、これから始まります。
◆ 意外と知られていない、コミュニケーションの技術
コミュニケーションが大事、とは多くの人が言っていること。でも「どうやって良好な人間関係を築くか」と聞かれると、多くの人は個人的な経験談で済ませてしまいます。
コミュニケーションのための「知識や技術」は、意外と確立されていないのが実情でした。それを分かち合っていくのが、まさみっちーの喜びでした。
「こんなことで、喜んでもらえるん?」
オンラインで、カフェで、飲み屋で、人からの相談に乗る機会が増えました。実際に話を聞いてみると、多くの人の悩みには共通点がありました。
出会いの広げ方、伝わりやすい話し方、相手の話の引き出し方、人に喜ばれる配慮のしかた、人見知りへの対処法……
それらは、まさみっちー自身が何年もかけて学んできたことでした。そして、自分の経験や知識の一つ一つが、多くの人に喜ばれました。
実際に人の役に立てると思うと、誰だって嬉しくなるもの。まさみっちーは頼られたり誘われたりするまま、どんどん人の相談に乗っていきました。
「今は、がんばる時期っすから」
最初からビジネスのことばかり考えるのではなく、まずはこれまでの関わりや積み重ねに感謝して、積極的に人に喜んでもらおうとまさみっちーは考えました。
◆ 喜びの反動
そんな生活が3週間も続いた頃、まさみっちーに異変が起きました。
「仕事はできてんだけど、なんか違うんだよなー」
すべて順調に進んでいるはずなのに、充実感が少しずつ薄れてきました。
・毎週の公式LINEのコラムの発信
・サービスの案内ページ(LP)の作成
・会員向けコンテンツの開発
・イベントや交流会の準備
……気付けば足元には「やらないといけないこと」が溜まっていました。
やりたいことができるとはいえ、今までの仕事を急にガラッと変えるわけにはいきません。物販の仕事を続けながら新たにコミュジムの仕事が増えていったことで、スケジュールはみるみるいっぱいになっていきました。
「あれ? やりたいことやってるはずやんな?」
一つ一つのタスクや予定は、確かに「やりたいこと」のはずです。でも、それがいくつも重なってくると、取り掛かるのが億劫に感じてしまいます。不思議な矛盾にとらわれて、まさみっちーは戸惑いました。
特に文章を書く作業は、がんばっているとはいえ、まだ慣れません。だから計画を立てる時点で、先に時間を多めに確保しています。
それでも、9月の後半に差し掛かると、なかなか手が進まなくなってしまいました。発信できるネタはたくさんあるのに、書けない。そんな焦りがまさみっちーの心に積み重なっていきました。
◆ 抜け出すために、できること
「じゅくちょう、ちょっと相談いいですか?」
9月最終週の夜遅く、まさみっちーはじゅくちょうにLINEを入れました。余裕がなくなる前に連絡すればいいとは思いつつ、相談はいつもギリギリになってから。
「なんか頭の中がごちゃってて……」
「せっかく計画とか教わってきたはずなのにすみません」
「発信して、さらにやることが増えると思うとできなくて」
「やりたいことできて、めっちゃ嬉しいですが」
心に溜まっていたモヤモヤを、まさみっちーは一つずつ吐き出していきました。話せば楽になるとわかっていながら、溜め込むクセはなかなか抜けません。
まさみっちーの話を全部聴き終わった後、じゅくちょうは必要と感じたアドバイスをしました。
「相談は意外とエネルギー使うから、もっと分散した方がいいね」
「情報発信は効果が出るまでに時間差あるから、早めにしよう」
「こだわりすぎても誰も喜ばないから、締め切り優先で」
一足先に「やりたいこと」を仕事にしてきた先輩の話を聞きながら、まさみっちーは気付きました。
「やりたいからって、突っ走ってもあかんのやな」
嬉しさのあまり、冷静さを欠いていたのです。今までの仕事では「やらないといけないこと」に追われることはありましたが、「やりたいこと」に追われるとは思いませんでした。
まさみっちーは早速スケジュールを見直すことで、少し気持ちの余裕を取り戻しました。
◆ 長期的に「やりたいこと」を実現する
自分の好きなことでサービスを始めたのは、これが初めてでした。だから、勝手がわからず、オーバーワークになっていました。嬉しいからといって、エネルギーは無限ではありません。
「この予定は、来月にまわしても大丈夫そうやな」
冷静に予定を組み直すと、後回しにしてもまったく問題がない予定もたくさん見えてきました。
事業には、先に準備しておかないといけないことがあります。
でも、あとから考えればいいこともあります。
そして、少しずつ積み重ねていくこともあります。
いろんな「時間差」が効いて、事業は成り立っていきます。
起業家には、起業家のペースがある。勢いだけでは、長続きしない。
まさみっちーがこの一ヶ月で学んだことは、起業家としての第一歩だったのかもしれません。「やりたいこと」にはたくさんの喜びが詰まっていて、強いエネルギーを秘めています。
だからこそ、「エネルギーの使い方」を身につける必要があります。勢いに任せて突っ走るのではなく、長くクライアントに喜ばれる事業を作る。そのための一歩を踏み出したまさみっちーでした。
挑戦は、まだ始まったばかり。いきなりつまずいても、きっと大丈夫。
「やりたいこと」は、何十年もかけて走り続ける長距離走なのだから。
(To be continued…)
(執筆責任:勉強を教えない塾福幸塾)