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やりたいことと、まちづくり 〜「個人的」は、「社会的」〜

これは、物語を通して知恵を紡ぐ『START』という名のアート作品です。さまざまな個人や団体の実体験をもとに、さまざまな「ものの見方・考え方」を物語にして遺していきます。

今回の主人公は、京都府南丹市にあるNPO法人グローアップ。みんなの「やってみたい」をもとに、地域のつながりや広がりを生み出すまちづくりの団体です。

「やってみたい」という気持ちと、「地域に必要」という想い、「個人と社会」がどうつながっていくのか……グローアップの挑戦が始まります。

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◆ 世間がようやく動き出す、秋のイベントシーズン

緊急事態宣言が明け、世間に少しずつ活気が戻ってきました。
延期していたイベントも、控えめに準備していたイベントも、次々に開催のめどが立ってきました。

「行政や地域を巻き込んだイベントがあるから、顔を出してみてね」

代表理事の裕子さんも、まちの賑わいが戻ってきそうで嬉しそう。グローアップで企画しているイベントも含めて、10月は賑やかになりそうです。

グローアップでも、地域の人たちを巻き込むイベントから、法人の体制を整えるマネジメントまで、いろんな予定がいっぱい。

・Webページリニューアルのための写真撮影
・秋シーズンにピッタリのハロウィンイベント
・ものづくりや子育てに関するワークショップ

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そこにはたくさんの「やってみたい」が溢れていました。が、実際に取り組むとなると、気持ちだけでは前に進みません。

「あの書類、どこいきました?」
「丁寧にやりすぎて時間ないかも」
「ホントにこれでうまくいくんかな」

マイペースだったり、突っ走ったり、世話焼きだったり。
一人一人のキャラが発揮された取り組みは、楽しい時も大変な時も、いつも賑やかでした。

◆ 手探り、手作り、足掛かり

大事なイベントや打ち合わせは、頭ではわかっていても、直前になるとやっぱりバタバタするものです。

予算の打ち合わせ、本番のシミュレーション、スタッフ同士の連携……マニュアルがない中での挑戦は、段取りや見通しが立ちません。一つ一つ、確認しながら乗り切るしかありません。

「パソコンのデータが散らかりすぎて……」
「仮装に使える資材がたしかどこかに……」
「行政に提出する書類って、これで全部?」

なんとか締め切りに間に合わせながら、予定は進んでいきました。

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一つイベントをクリアすると、一つ知恵が身につきいきます。

・紙に書き出して整理しておく方がいいね
・弱音を聞いてもらえるだけでだいぶ楽になる
・次に向けて、マニュアルを作るといいかな

余裕がない時ほど、自分からは相談しにくいもの。だから、お互いの苦手を補いあって、得意を活かせると理想的です。

「来年はもっとちゃんとしよ」なんて言いながら、どうにかイベントシーズンを乗り越えることができました。

◆ 「まちづくり」の盲点

結果オーライでイベントシーズンを乗り越え、1ヶ月の振り返り。

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「今月は仕事がんばった」
「いろいろ片付いて次へ進めそう」
「ちょっと見通しが甘かったかも」

途中のいろんなハプニングも、乗り越えてしまえば良い経験です。「でも、気付いたらもうあと2ヶ月で今年終わりなんやな」なんて、今年の締めくくりにも想いを馳せながら。

「……ところでみんな、この前案内したアートフェスティバル、行った?」

和やかな振り返りも締めくくりに差し掛かった頃、代表理事の裕子さんからの投げかけ。

「私たちの町で、実はすごいイベントが開催されてたんだけど、顔を出してみた人は?」

……挙がった手の数は、ゼロ。

自分たちのイベントや予定をがんばっている裏で、「まち」のことが見落とされていたのでした。

・空き家を会場に、アーティストが滞在しながら作品制作
・市民や行政のつながりから、重いシャッターが開く展開
・グローアップの活動へのご協力、その裏にある長いご縁

「まちづくり」に込められた、いろんな人の想いを裕子さんは話しました。

「やりたいこと」を手探りでカタチにしていく道の途中、一つ一つの取り組みが、どのように「ひと」とつながって、「まち」になっていくのか……

自分たちが関わっていなくても、まわりで行われることに興味を持つ。それは「しなければならないこと」というよりは、日々の生活の中で「おもしろい!」と感じることから始まる。

「こんなおもしろいことをどうやって?」
興味を深めて、それを知りたいと思うことが、『まちづくり』につながっていく。

一つ一つの人間関係やイベントや込められた、人の想いをさらに深く知る機会になった、1ヶ月の出来事でした。

NPO法人グローアップに投げかけられた一つの問いが、これからさらに波紋を広げていきます。

「『まちづくり』って、何だっけ?」

(To be continued...)


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