主権国家は平等か
主権平等の原則というのがあります。それは、
国連憲章で尊重している原則。加盟国同士は、おたがいの主権が平等であることを原則としている。
主権とは国内を統治する権力のことで、主権が平等であることは対外的に独立権をもっていることと同義。
この原則にのっとり、国連総会では、人口や国の規模によらず1国1票制をとっている。
それは国連憲章で定められていて、その第2条1項は、下記の通りです。
この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
それは、国際社会の現実なのでしょうか、理想なのでしょうか。あるいは、「あること」なのでしょうか、「あるべきこと」なのでしょうか。
各々の後者でしょう。
では、実際の国際社会、「あること」は、どのようなものでしょうか。
ジョージ・オーウェルの『動物農場』で説明できそうです。
荘園農場から人間ジョーンズ氏を追い出した動物たちは、彼らだけの農場を作りました。そこで最初に決められた七戒のうちの七番目は、次のようなものでした。
「すべての動物は平等である」
ところがその後、動物の中の豚が特権階級化し、ある日七戒が一つになっていました。
「すべての動物は平等である。
しかし、ある動物は、ほかのものよりも
もっと平等である」
「ある動物」とは、豚のことです。
これを、国際社会に適用すると、以下のようになります。
「すべての主権国家は平等である。
しかし、ある主権国家は、ほかのものよりも
もっと平等である」
さらに、それを具体的に述べると、
「すべての主権国家は平等である。
しかし、国連安保理常任理事国もしくは核兵器保有国は、ほかのものよりも
もっと平等である」
となります。
それが、国際社会の現実です。