建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

建設業法上の公衆災害条項の取扱いの追加情報となりますが、「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」(最終改正 令和5年3月3日国不建第578号、国交省文書)を見つけましたのでご紹介します。


建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001589956.pdf

建設業法上の「公衆災害」について(官庁情報まとめ)
https://note.com/kousansha/n/n2f11d2efa7de

建設業法上の「公衆災害」の取扱いについて(問合せ結果)
https://note.com/kousansha/n/n7d6235258b6a


とりあえず、簡単に解説します。

・建設業 許可の要件

不誠実な行為をするおそれがあることが明らかな場合、許可しないと書いてあります。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html

3.誠実性(法第7条第3号)
 請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。これは、許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等についても同様にです。


・建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準

監督処分の基準において、「2 具体的基準 (1)公衆危害、(3)請負契約に関する不誠実な行為」にて国交省大臣が監督処分を行う場合の基準が示されています。

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001589956.pdf

建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準
一 趣旨
本基準は、建設業者による不正行為等について、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準を定めることにより、建設業者の行う不正行為等に厳正に対処し、もって建設業に対する国民の信頼確保と不正行為等の未然防止に寄与することを目的とする。

三 監督処分の基準
2 具体的基準
(1)公衆危害
建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために、公衆に死亡者又は3人以上の
負傷者を生じさせたことにより、その役職員が業務上過失致死傷罪等の刑に処せられた場合で、公衆に重大な危害を及ぼしたと認められる場合は、7日以上の営業停止処分を行うこととする。それ以外の場合であって、危害の程度が軽微であると認められるときにおいては、指示処分を行うこととする。
また、建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼすおそ
れが大であるときは、直ちに危害を防止する措置を行うよう勧告を行うこととし、必要に応じ、指示処分を行うこととする。指示処分に従わない場合は、機動的に営業停止処分を行うこととする。この場合において、営業停止の期間は、7日以上とする。
なお、違反行為が建設資材に起因するものであると認められるときは、必要に応じ、指示処分を行うこととする。

(3)請負契約に関する不誠実な行為
建設業者が請負契約に関し(入札、契約の締結・履行、契約不適合責任の履行その
他の建設工事の請負契約に関する全ての過程をいう。)、社会通念上建設業者が有すべき誠実性を欠くものと判断されるものについては、次のとおり監督処分を行うこととする。

③ 粗雑工事等による重大な瑕疵
施工段階での手抜きや粗雑工事を行ったことにより、工事目的物に重大な瑕疵が
生じたときは、15日以上の営業停止処分を行うこととする。ただし、低入札価格
調査が行われた工事である場合には、30日以上の営業停止処分を行うこととする。


以上から、ガスヒートポンプ等の施工の手抜き、粗雑工事等により、甚大な被害等発生している場合、建設業者の不正行為等に該当すると判断、①当該建設業者が設置した施設について建設業法上の公衆災害発生報告、②不正行為等に伴う建設業の許可の取消し等大臣監督処分を要望することが可能と解釈できます。

ただし、大臣承認案件なので、提出文書は正確、必要かつ十分な事実情報を含むもの(対応経緯に関するもの、設置者に関するもの、設備に関するもの、被害者に関するもの)であることが求められます。自殺者、入院、転居者の数(実績)も処分判断の参考となるはずです。

手段的には、お金がかからない点での最終手段という位置づけとなります。
国交省大臣が公明党出身なので、地元の公明党議員の紹介あるいは大物議員事務所に対応お願いすることが現実的です。

この種の手段の確実な実施を含む、法整備等に関する要望書提出を検討しております。

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