建築基準法は建築物だけを対象としていると(一般的には)思われていますが、違います
建築基準法にて、建築設備設計についても言及している(「建築設備」という用語が、建築基準法第2条第三号で定義されていることを指す)ことは意外に知られておりません。
とりあえず、以下のケースを参考に「官庁工事」として設置されたガスヒートポンプにて発生した騒音公害の設計責任について調べてみます。
官庁工事なので、当然、国土交通省「建築設備設計基準」を遵守することとなります。
本基準の紹介文には、「建築設備設計基準は、基本計画により設定された内容に基づき、官庁施設の建築設備の実施設計を行う場合に適用する」とあります。
官庁工事にて設計業務が外注となり、設計事務所判断でガスヒートポンプ採用する場合、基本設計段階で、レイアウト設計、ガスヒートポンプの機種選定、防音壁設置等検討するはずです。
「建築設備設計基準」においては、「第5編給排水衛生設備」にて、ヒートポンプ給湯器の基本仕様についての記述があります。また、「第8編共通編」にて、(ガスヒートポンプ採用を想定した)防音及び防振の記述があります。
官庁施設のガスヒートポンプにて騒音公害発生する事態となった場合、設計上「建築設備設計基準」に適合していないと言えそうです。
次に、建築士法の懲戒に関する記述を参照します。
官庁工事「建築設備設計基準」に適合していない状態は、上記二項の字句から、とりあえず、不誠実な設計と解釈できそうです。
以上から、官庁施設で官庁工事の設計基準が存在する以上、ガスヒートポンプを採用する際の基本設計業務はかなり慎重にやらざるを得ないこととなります。
官庁工事以外で、建築設備設計マターで設計責任を追及できるかどうかは、国土交通省に問合せしないとはっきりしません。が、官庁工事による騒音被害で設計業務に瑕疵があったと主張することは、再発防止のうえで効果が期待できるかもしれません。
なお、会計検査院は受注企業からみて、かなり嫌がられる存在です。知っておいた方がいいでしょう。