地方公務員法に書いてあること

「主務官庁の法令・通達文書等に基づき、事業の許認可業務を遂行、騒音被害等発生に対して運営指導権限を行使する立場にある」地方公務員について、地方公務員法上、関係する事項を調べてみました。

・平等取扱いの原則

実態的に、弁護士や町内会長からの要望文書でない限り、個人からの意見を無視する自治体があるようです。
天下りを受け入れてもらっている見返りに事業者の言い分はしっかり聞いている印象があります。

第十三条 全て国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によつて、又は第十六条第四号に該当する場合を除くほか、政治的意見若しくは政治的所属関係によつて、差別されてはならない。

地方公務員法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261

・懲戒

東京都懲戒処分指針では「不適切な事務処理」を懲戒処分の対象と規定しています。不適切な事務処理として、法令等の違反以外に、法令等の誤解釈、見落としも含まれ、懲戒処分の対象となると考えます。

第二十九条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該職員に対し、懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれらに基づく条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/03jinji/choukaisisin.pdf

懲戒処分の指針  東京都

第4 基本事項
本指針においては、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げている。
具体的な量定の決定に当たっては、
① 非違行為の態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度
② 非違行為を行った職員の職責、過失の大きさ及び職務への影響など信用失
墜の度合い
③ 日常の勤務態度及び常習性など非違行為を行った職員固有の事情等のほか、適宜、非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。
個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定にかかわらず免職等の処分をすることもあり得る。

なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。
また、過去に非違行為を行い懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び同様の非違行為を行った場合は、量定を加重するとともに、非違行為を行った職員が、管理監督者の職にある場合には、懲戒処分の対象となるだけでなく、降任などの分限処分をすることもあり得る。

第3 懲戒処分の種類
任命権者は、地方公務員法第29条第1項に基づき、職員が、①法令等に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合及び③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するとき、戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。

(7) 不適切な事務処理
故意又は重大な過失により適切な事務処理を怠り…………(以下省略)

・服務の根本基準

全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するとありますので、運営指導権限を有する場合は、「公共の利益のために権限行使する義務がある」との解釈となります。
通達文書が規定する個別具体的な運営指導権限を行使しようとせず、自治体および自治体職員の都合(労使協定の確認事項、再就職の斡旋等)を優先するようなことがあってはなりません。

第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

地方公務員法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261

・法令等及び上司の職務上の命令に従う義務

認可の主務官庁および関係省庁の法令等に従う義務があります。誤解釈、見落としは許されません。法令違反、誤解釈は地方公務員法上の義務違反と解釈できます。

第三十二条 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

地方公務員法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261

・信用失墜行為の禁止

事業者から金品等を受取りあるいは接待を受ける行為、住民苦情を黙殺する一方で事業者の言い分はしっかり把握する行為、などが該当します。

第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

地方公務員法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261

・職務に専念する義務

被害者からの要望意見は無視・無回答とする一方で、裏でこっそり協議し許認可の見返りに天下りを受け入れてもらうこと、接待の場での事業者との密談などが該当します。

第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

地方公務員法https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261


公務員賠償責任保険制度があるそうです。民事訴訟、住民監査請求等を想定しているようです。

「自治労共済生協の公務員賠償責任保険制度」 Q&A集
https://www.jichiro-kyosai.jp/syoukai/koubai/qa/index.html

https://www.jichiro-kyosai.jp/syoukai/koubai/qa/index.html

2002年の地方自治法改正により、住民訴訟の対象は地方公共団体となりましたが、地方公共団体が敗訴した場合は職員個人に損害賠償または不当利得返還の請求が行われることとなります。また、国家賠償法により地方公務員の業務において本来職員個人が訴訟を受けることはありませんが(但、重大な過失がある場合は本人に求償されることが考えられます)、本人訴訟(弁護士などの訴訟代理人を立てない訴訟)などで、本来は想定しえない個人に対する不法行為責任等による訴訟が提起されることもあるため、職員の精神的・経済的負担がなくなったとはいえない状況にあること。

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