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こうさぎの読書日記マガジン

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こうさぎが書いた、本の紹介記事を集めました。
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#知念実希人

命を紡ぐ者の葛藤/知念実希人「ひとつむぎの手」

命を紡ぐ、ひとりの心臓外科医の葛藤と成長を描く傑作医療小説。 「ひとつむぎの手」は、知念実希人さんの本屋大賞ノミネート作です。 日々の激務に耐える、心臓外科医の平良。キャリアへの不安が膨らむ中、教授から三人の研修医の指導を任され、そのうち二人を入局させれば憧れの出向先に行くことができる、と言われる。 医局を騒がせる怪文書、心臓外科が抱える多くの問題、研修医たち、そして患者の事情……。ひとりの外科医の成長を描く、感動の医療小説です。 この本はこんな人におすすめ ①医療小

死者の言葉を聴く最後の手段/知念実希人「傷痕のメッセージ」

「傷痕のメッセージ」は、知念実希人さんの病理学がテーマの小説です。 知念実希人さんといえば、医療小説を数多く出版する作家さんであり、現役のお医者さんでもあります。「ムゲンのi」や「ひとつむぎの手」は、本屋大賞にもノミネートされました。 本作の主人公は、外科から病理診断科に出向している千早という女医です。彼女の指導医は、同級生だった病理医の紫織。外科と比べると遥かにのんびりした雰囲気の病理診断科に、千早はやや退屈な日々を送っていました。そんなある日、千早の父親が癌で亡くなり