買い手の負担と売り手の負担/国学以前の日本保守のルーツ/ロシアとアメリカの世界観(地政学)的対立と嫌韓嫌中が成立するワケ

3月15日(水)晴れ

昨日は本当に色々なことがあったのだが、とりあえず書けることだけ書くと午前中に市役所に行って母の分の確定申告を済ませた。市役所の申告相談は3月頭の頃はかなり混んでいて、毎年そのあたりに行って結構待たされて大変だったのだが、市の広報を読むと締め切り直前の14日・15日くらいは空いているようなことが書いてあったので今年はギリギリだけどそうしてみるかと思い、昨日行ったのだが、本当に空いていて待たずに申告できた。もともと収入も少ないし控除もそんなにないので順番が来たらすぐ終わるのだが、「待たされる」という先入観があって面倒な気持ちが先に立っていた。

あと、母関係のことで言えば、放送大学を受講しているのだが、施設に入ってからは条件が整わずに受講できない感じになっていて、次の学期に何か取らないと退学だという通知が来たのでとりあえず1年休学することにし、書式をコピーして送付していたのだが、「学生生活の手引き」が送られてきたので確認のため電話した。結局、休学でもそれらは送られてくるということと、本人でないと問い合わせられないが休学許可の通知は4月になってから送られてくるということなので、まあ大丈夫だろうということにした。

仕事の関係で言えば毎年定期購読していた雑誌がその会社のホームページに定期購読の案内がなかったので出版社に電話して確認したら、Fujisan.jp経由でのみ扱うようにしたという話だった。直接送付してもらう方がありがたい感じはあったからその方が良かったのだが、来年度からはそうなるということだったので、Fujisan.jpで登録して申し込んでおいた。こういうものも色々変わってくるなあと思うし、出版社直接の方が出版社も手数料がかからなくていいのではと思っていたのだけど、もうそういう業務も外注になりつつあるのだなと思う。昔は電話一本で話が済み、振り込み用紙が送られてきて入金が確認出来次第送付してもらうという感じだったから、実際その方が楽なのだが、結局売り手の手間を買い手が負担するというのがネットのシステムだよなと思う。これはセルフレジなどでも感じることなのだが。


マガジン、「化物語」最終回。巻頭カラーはえなこさんのコスプレだが、戦場ヶ原さんや羽川さんなど、みんなえなこさんがやってるのが渋いなと思った。最終回は随分明るくて、いい話で終わった感じ。この作品は単行本でなく雑誌連載だけで追っていたけど、面白かったなあ。


昨日も書いたが、「自分のやりたいこと」から世界へ向かうベクトルと、「世界を知る」ことから自分のやりたいことを確かめ、トライしていくベクトルと、人には二つのベクトルがあるなと思う。やりたいことが一つだけはっきりあるならそれをやればいいけど、人間にはやりたいことはいくつもあるのが普通だと思う。しかしその中で、自分の周りの世界を見ることで、自分のやりたいことがよりはっきりしてくるということはあるはずだ。「自分のやりたいこと」が単なる趣味的なことならまた違うけれども、世界をどこか動かしたい、世界を自分の思っている方向に引っ張りたいと思うなら、世界を見ることでしか自分のやりたいことが決まらない、ということもあるのだと思う。

ということで、世界情勢のことと日本保守のことといろいろ考えたりするのも一つの往復なのだが、保守の伝統のルーツとしての国学、みたいなことを考えていたのだけど、国学というのはもちろんそれ以前に日本の伝統文学というかそういうものがあるから成立するわけで、その辺からいろいろ考えてみたいなというアイデアもあったのだけど、例えば家意識というものがいつ成立するかというと平安時代末に貴族の世界では「家職」の意識ができるわけで、摂政関白になるのは摂関家、和歌を家職にするのは御子左家、みたいな感じになっていく。また、日本の保守の一つのルーツであるとも言える農村共同体が成立するのは室町時代、みたいなのもあるし、まだその辺は点と点でしか意識できないけどそういう方向性のことを書いておくとそこから研究が進むということもあるので早めにまとめておきたいなと思う。


世界のことを考えてみると、現状一番問題になるのはやはり中国とロシアかなと思う。中国に関しては自動車の輸出台数がドイツを抜いて(2022年で340万台)日本(2021年で381万台)に次ぐ二位になったというこのニュースが印象的。

そうか、自動車の輸出台数はまだ日本がトップだったのだなと妙な安心感を覚えたりするが、一方で中国の輸出台数の33%が「新エネルギー」車であるとか、南アフリカやUAE、イスラエルへの輸出が増えているというのが一つの注目点かなと思った。

少し調べてみると、2023年の南アフリカでの販売台数はトヨタがトップで26%、続いてフォルクスワーゲンで12%という感じだが、トヨタでも約11000台なので中国メーカーが入っていく余地は多いだろう。というか現実的には中古車が多いのだろうな。イスラエルは現代、トヨタ、起亜とつづき、韓国メーカーが強いというのは少し意外な感じ。UAEでは金額ベースで日本車が42パーセントというデータもあり、それぞれ中国メーカーがどのように進出していくかというところだろうか。EVにかなり振ってきているという印象は強いが。

自動車も流れはEVという雰囲気は強いが、まだまだ長距離にはバッテリーの問題があるわけだし、ガソリン車の強みはそう簡単には消えないだろうとは思う。中国も経済で勝負していけばまだいいのだが軍事的な脅威の面も強めているのが困ったものだ。


もう一つの焦点になる国、ロシアについて「地政学」的な観点からその行動規範を指摘しているのがこちら。

地政学と言っても英米流のマッキンダー・スパイクマン理論とドイツ流のハウスフォーファーの理論とではかなり考え方が違うと。前者は各国の独立は自明と見做し、ハートランドに強大な国家が現れたら領土拡大を狙うので、それらを集団安全保障の考え方から「封じ込めて」いくという思想で、つまりはイギリスによるロシアの「南下政策」封じ込め論、アメリカのソ連(共産圏)封じ込め政策がその典型だというわけだ。日本の、というか安倍元首相が唱えた「自由で開かれたインド太平洋」というのも中国やロシアを封じ込めるという方向性で言えばその系列上にあるということかもしれない。

ハウスホーファーの地政学は「生存圏(レーベンスラウム)」「経済自足圏(アウタルキー)」といったナチスの思想への影響が言われるけれども、山縣有朋の「主権線と利益線」であるとか「満洲は日本の生命線」と言ったような思想への「圏域」という考え方の影響が感じられる。本来海洋国家である日本が大陸進出を目指したのもこうしたドイツ流の地政学の影響があるとも考えられるし、米英に比べて劣った海軍力しか持ち得なかった戦前日本にとっては他に取れない政策だったのかもしれない。というか逆に言えば第二次世界大戦の時に初めて海洋国家的な戦略を実行していったとも言えるのだが、米英と対立してのその政策はやはり困難だっただろう。

逆に言えば海洋国家としての性格と大陸国家でもあることを目指した政策の両面があったから戦前日本の方向性が分裂したとも言えるしだからこそアメリカとしてもやりにくい感じはあったのだろう。大陸での戦いは同じ大陸国家である中国やソ連に任せていたという感じが強い。

こうした思想の継承者とも言えるロシアのドゥーギンはロシアを中心としたユーラシアにその圏域が存在するのだが、冷戦終了後それが削り取られてしまったので、その圏域を回復することが急務であるという思想なのだという。

現在のウクライナの動きについて、

「「英米系地政学」理論にそって言えば、ウクライナは、現代国際法秩序にそって、「大陸系地政学」の世界観を否定し、ロシアの「勢力圏」に服することを拒絶しているだけである。」

と指摘している。つまりロシアから見れば、ウクライナの動きはこうした思想を否定する、「裏切り行為」であると見做しているということになるわけだ。

読んでいて思ったのは、「英米系世界秩序」という言葉を私自身もよく使ってきているけれども、それを支えているのは国際法思想や民族自決論、集団安全保障論だけではなく、背景にあるマッキンダー・スパイク漫画他の地政学的世界認識、ということがあるのだなと思った。

ただこの前提そのものがロシアや中国といった大陸国家は最初から「封じ込められる存在」であると見做しているわけだから、この世界観をロシアや中国に納得させるのは無理だろうなと思う。同じく大陸国家であるドイツが腰が定まらない感じがするのもそういうことがあるのかもしれないと思う。

逆に戦後日本の立場は、アメリカという海洋国家による大陸国家封じ込め政策に乗っていれば良かったわけだから、本来の日本の海洋国家としての立場と矛盾が生じず、明確な摩擦が起こらない限りは安泰だということになって長期間の平和を享受できたという面はあるのだろう。「中国や韓国に関わるのは懲り懲り」という嫌韓・嫌中が成立し得るのも、「韓国や中国の大陸国家とは最初から明確な利害対立がある」という世界観に支えられている面があるのかもしれないと思う。

まあ仮の理解としてだが、そんなことを思った。

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kous37
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