ウクライナ戦役:この戦争はどういう戦争なのか

3月20日(日)晴れ

昨夜は疲れていたので9時には寝てしまったのだが、11時半頃目が覚めて脚が攣っていたので温めようと入浴したらよく眠れた。目が覚めたのが5時ごろでそう寒くは感じてなかったのだけど、今朝の最低気温はマイナス0.6度で、久しぶりに零下まで下がったようだ。外に出ると車のフロントガラスは凍っていたのでしばらく暖房をつけておき、西の空を見たら月が明るく輝いていた。

昨日は懸案ぽかったことがいくつか片付いたので少し気が楽になったところもあり、結構ちゃんと寝られたのだけど一方では気がつかなかった体の軽い不具合みたいなものが結構出てきてその調整をしている感じ。一番大きいのは目と頭の疲れだけど、なかなかこの二つを使わないで休めておくのは難しい。

上記のたらればさんのツイートで、なるほどウクライナ戦役に関し、それぞれに認識の枠組みが違うことはあり得るなと思った。この戦争は

1・ロシアとウクライナの戦争である

2・ロシアと西側諸国の対立である

3・力による現状変更を認める勢力とそれを阻止する必要がある勢力の対立である

という三つの対立する捉え方が存在しているということだ。私はどちらかというと

4・大ロシアの復活を称えるプーチンと大ロシア的枠組みからの離脱を求める勢力の戦争である

という文化面からの対立と見てきた面が強いが、つまりはウクライナの国際的地位をめぐる戦争、「ロシアの属国」か「自由な独立国」かをめぐる戦争だと考えている。

ロシアには大国中心の勢力圏的な思想が残っていて、これは中国にもあるし、実際にはアメリカにもまだあるだろう。それは時代遅れだといえばそうなのだが、世界的には根強い力を持っているし、アメリカというスーパーパワーの存在を前提として世界は動いてきたのが、ロシアがスーパーパワーの存在としての復活を目指すとともに新興の世界帝国たることを目指す中国の動向にも関わっている。

ロシアや中国は比較的「力による現状変更を認める勢力」とみなされているしロシアは実際にそれを行い中国も台湾に関してはそれを公言しているので、3の分類は事実上2とあまり変わらないようにも思う。

19世紀的な大国間の勢力均衡思想と2度の世界大戦を経ての20世紀後半的な主権国家体制の国際ルールに基づく思想との対立という意味では古い戦争なのだが、ロシアとウクライナは冷戦終結までソヴェト連邦という一つの国であったということがこの戦争がこじれている原因なわけで、出ていこうとするウクライナを力づくでロシアが引き止めているという意味では、ソヴェト連邦の最後の断末魔という意味でもある。

だからこれはロシアにとっては「家庭内の出来事」でありせいぜい「特殊な軍事作戦」であって「刑事事件=侵略」ではないということになる。これは条約によって特殊な地位が認められた香港を徹底的に弾圧している中国と同じようなことをやっている(中国は軍事的な措置は取ってはいないがそもそも香港には固有の軍隊がない)わけで、「力による現状変更も場合によってはやむを得ない」と考えていることは間違い無いだろう。

実際のところ、ロシアのそういう行動はウクライナに対してが初めてでは無いわけで、ジョージアに対してもすでに行っている。このいわゆる南オセチア紛争は短期間で停戦したので問題は拡大しなかったが、それはジョージアの国家規模が人口が400万弱、面積では7万平方キロと小規模であることも大きかった。また戦争目的も今回の方がより深刻な「ウクライナの中立化と非軍事化」というものでありより引けなかったということもあるだろう。ウクライナの徹底抗戦と西側の軍事援助、そしてゼレンスキー大統領の見事な外交展開がそれを支えているが、何よりもウクライナの国家規模が人口4000万以上、面積にして60万平方キロ以上といういずれも準大国と言える規模であることも大きいだろう。

この規模の国がロシアの力による現状変更、力でねじ伏せる軍事外交戦略の餌食にされているということは多くの国が強い危機意識を持つのは当然だろう。

日本でもロシアに反対しウクライナを支持する力が強いのは「ロシアに対する警戒」「ロシアの行動に影響を受けそうな中国に対する警戒」「国際ルールを無視するならず者国家に対する憤り」の三つがあるからで、特に3番目を強く支持すべきリベラルが日本ではロシアや中国への親近感を強く持っていて発言が「ウクライナは弱いくせに逆らうな」とか「降伏した方が平和になる」などというべきで無いことを言っている醜態を晒しているのは如何にも残念なことだと思う。

私は基本的にどの立場から見ても日本はウクライナを支持すべきだというのは当然だと思っていたのでたらればさんの指摘は割と新鮮だったのだが、確かに「よその国同士の戦いだから日本とは無関係」だとか「西側にいじめられてるロシアにも一理ある」みたいに考える人はいるかもなあと指摘されてみて思った。

まあ私もアメリカによる世界支配が正しいとも思わないしそれがいつまでも続くとは思わないので日本は自分の国くらいは自分で守れるようにしておかないといけないと思うけれども、日本の周りにはロシアや中国、北朝鮮など力による現状変更を辞さない強大な勢力がいくつもあるわけだからそれなりに防衛的な意味での軍事力を持たなければならないのは当然だと思う(韓国すら竹島を不法占拠しているわけだし)。

今後アメリカの西太平洋におけるプレゼンスの漸次低下を見据えた上で、少なくとも西太平洋全体の日本独自の防衛戦略も考えていかないといけないと思う。その要が今のところは「自由で開かれたインド太平洋」であるのだろうと思うし、今回の事態を踏まえてその重要性はより強まってはいるだろう。

しかし根本的にはウクライナがそうだったようにその国民が奮戦しなければ周りの国は助けてくれることはないわけで、日本が現実的な戦力を養っておくことは今後より重要になっていくだろうと思う。

サポートありがとうございます。記事内容向上のために使わせていただきます。