ベルニーニに恋をして1/4
君知るや
永遠(とわ)にと誓いし 神奈備に
今世に逢うは 悲しきかな
今朝、起きると、真っ青な空から、細かな雹のような雨が落ちてきた。
きつねの嫁入りか?
それとも、君が僕との出会いを悲しんでいるのか?
「私、ベルニーニが好きなんです」
初めて君に会ったのは3年前だったろうか。
快活に一途な想いの篭った口調で、ベルニーニのことを話していた。
「こんにちわ・・・、お久しぶりです」
2年ぶりに東京に出てきたという君の電話になぜか、コルナロ礼拝堂の聖テレジアが浮かんできた。
「ああ、こんにちわ、元気だった?」
そういえば、聖テレジアに似た女の子だったなと思い出しながら、彼女が相変わらず快活にしゃべる言葉に聞き入っていた。
「会いません!?」
君から誘われてドキッとした。
いつもの僕だったらすぐにこっちのペースに引き込むのに・・、今日の僕はどうしたんだろう?
「いいよ。18時以降だったら時間がとれるよ」
「わたし、バレーの公演を観るので遅くなるんだけど・・・、8時半ごろかな?
終わるの」
「じゃあ、ワインを飲みながら待ってるよ。渋谷のMレストラン、わかる?」
「ええっ! わたしの行く公演はすぐそばなの。偶然ね」
君が来るまでの時間が長く感じられた。K君が3杯目のワインを持ってきた。
レストランの雰囲気が一瞬ザワッとした。
視線が一斉に入り口にむかった。シンデレラが踊るように、君が僕のほうに歩いてきた。
ドキッ・・・どうしちゃったんだ。今日は何回ドキッとするんだい?
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